日本の高速道路のほとんどは、高速道路事業会社であるNEXCOが管轄しています。東名高速道路(以下 東名)や名神高速道路などの主要路線から、近年では地方都市間を結ぶ、いわゆるローカル路線も発達してきました。
そんなNEXCOが管轄する高速道路とは別に、東京や大阪などの大都市の都市圏内を通る都市高速も存在します。首都高や阪神高速がその代表例です。都市高速は、高速という名はついているもののNEXCOが管轄する一般的な高速道路とは区別されており、なかには首都高3号渋谷線〜東名のように直接接続されているポイントもありますが、料金形態は分けられております。
都市高速はNEXCO管轄の高速道路とくらべ近距離の移動に重点がおかれていて、インター間の間隔が短いところが多いうえに、都市高速内にいくつもの路線が入りくんで構造されているため、走行しているとかなり複雑さを感じます。そのため、一般的な高速道路の走行には慣れている方でも、交通量が多く車線幅が狭い都市高速の走行は苦手という方も結構いらっしゃいます。実際、私もそのような時期がありました。
そこから、仕事やプライベートで都市高速を走行する機会が増えてきたことにより、都市高速を走行するためのコツやポイントを身につけてきました。基本的な運転方法は変わりませんが、都市高速をスムースに走行するには、ポイントを押さえる必要があります。
今回は、都市高速の走行に慣れなかったり苦手だと感じる方にむけて、週5日は首都高を運転する私が、都市高速の走行をより安全に、苦手意識がなくなり運転が楽しくなるポイントをいくつかお話しいたします。
一般的な高速道路以上に「車間距離」と「車線変更」に気をつける
都市高速は、NEXCO管轄の高速道路よりも車線の幅が狭く設計されています。さらに、都市景観の間を通っているところも多く、急カーブが連続するところも少なくありません。
さらに都市部ということで交通量が多く、平日・休日問わずに各地で渋滞も発生します。さらに、路線が複雑に入りくんでおり、どちらに行けばいいのか迷ってしまうことも、よくあります。
高速道路の走行ではさまざまなことに気をつけなくてはなりませんが、そのなかでも前の車との車間距離と車線変更の操作は重点的に気をつかうことが必要です。そして、都市高速では上記の特徴があることから、車間距離と車線変更の意識をより強めることがポイントになります。
普段の高速道路の走行よりも、前車との車間距離をあけることと、車線変更の際に周囲の確認に時間をかけて、もっと視野を広くみて慎重に操作するなどを心がけるだけでも、都市高速の走行を安全にすることができるのです。
また、走行時の速度も通常より控えめにすることにより、ゆとりや余裕をもって運転できるため、さまざまな判断時に適切な操作をすることができます。
標識や看板をよくみる
都市高速をより安全に走行するために、標識や看板をよくみることも大事です。みなさん、普段の運転で標識や看板をどれだけしっかり確認できているでしょうか。
都市高速では、たとえば制限速度がNEXCO管轄の高速道路よりも低めに設定されているうえに、制限速度の設定の変化が激しいのも特徴にあります。そのため、標識をしっかりみて対応する必要があります。
制限速度の標識以外にも、車線変更禁止のラインや急カーブを警告する標識など、さまざまな標識・標示が設置されています。これらを活用することで、慣れない都市高速の走行も安全にできるわけです。
また、ランプ(都市高速ではインターのことをランプと呼びます)やジャンクションの案内看板も数多く設置されており、これからも都市高速を快適に走行するためにはかかせないものです。
とにかく、都市高速上に設置されているさまざまな情報を取り入れることで、自分自身が運転しやすくなります。標識や案内看板はなるべく見るようにしましょう。
なるべく左側の車線を走行する方が良い?
都市高速ならではの特徴として、NEXCO管轄の高速道路ではほとんどない右側にランプ出口があったり、ジャンクションやパーキングエリアからの合流が右側というところが多々あります。
都市高速は、立地面積の都合上NEXCO管轄の高速道路よりもランプの出入口や料金所、パーキングエリアが簡易的につくられています。その影響もあり、本線に右側から出入りするところが多いのです。
大事なのは、都市高速には右側の出口や右側からの合流があることを認識しながら走行することです。認識するだけでも、警戒しながら走行するため、結果的に安全に走行することにつながるのです。
右側に出口や合流があることにより、右側の車線がつまることもよくありますので、状況にあわせて車線どりをすることも、都市高速を安全に走行するポイントといえます。
もし、都市高速の走行にあまり自信がなかったり苦手だったりする方は、なるべく左側の車線を走行するようにして、自分が利用したい右側出口や右側分岐に近づいた際に、余裕をもって右側の車線へ車線変更するようにしましょう。
路線図のあらかたの理解
都市高速が苦手だと感じる一番の障害が、路線が複雑で迷いやすい点ではないでしょうか。首都高しかり阪神高速しかり、いくつもの路線が入りくんでいるため、逆に初見で迷わない人の方が少ない気がします。
分岐の数や間隔の短さも、NEXCO管轄の高速道路との違いで、案内の看板をみたところで限界があり、なかなか自分の行きたい方面へいくのは難儀を極めます。最近は、カーナビが発達したとはいえ、カーナビに頼ってもやはり迷うときはあります。
迷わないようにするためには、やはり都市高速の路線図を把握しておく必要があります。完璧にとまではいわないまでも、ある程度知っていれば迷うことも少なくなりますし、都市高速を安全にスムースに運転することができます。
自分が行く目的地までに通るルートの路線から、通過するランプやジャンクションの名称から覚えはじめて、徐々に範囲を広げていくことで効率よく路線図が頭のなかへ入っていきます。都市高速では、片方面のみ出入口があるランプも多いため、どのランプがどちらの方面に行けるか、どちらの方面からなら降りられるかなども覚えると、より活用できます。
近年は、カーナビやスマホでも都市高速の路線図をみることができますし、昔ながらの地図やマップでも、路線図を覚えることに効果的ですので、自分に合った方法で、路線図を覚えましょう。
都市高速を安全に走行するためのポイントまとめ
都市高速の走行はみなさん苦労されるものです。実際、週5日は首都高を走行する私でも、知識や技術で安全に走行はできるものの、いまだに多少の不安や心配はあるものです。
大事なのは、都市高速は一般的な高速道路とは違うという認識をもつことです。そのため、都市高速では都市高速なりの運転をすることが求められます。
都市高速の運転に慣れている方は、都市高速仕様の運転とそれ以外の運転を、無意識に瞬時に切り替えることができます。無意識レベルで変化に対応するまで到達するのは、かなり時間と労力を費やす必要がありますが、まずは意識的に都市高速と都市高速以外の運転の切り替えができるように努めてみましょう。
都市高速の運転も慣れてくると、独特な味わいを楽しめるため、だんだんおもしろくなってきます。運転は、楽しくするのが一番ですのでそこを目指して、みなさん都市高速の運転をしてみていただけたらと思います。