成功している経営者と言えばワイン──。そう言っても過言ではないほど、ビジネスで富を築いた社長や会長、創業者たちにはワインをこよなく愛している人が多い。なぜ成功者たちはワインにハマるのか。その魅力に迫っていこう。
ワインは「味」だけを愉しむものじゃない
冒頭で触れたようなワイン好きの大経営者たちの名前をまず列挙してみよう。
・出井伸之(ソニー)
・御手洗冨士夫(キヤノン)
・三木谷浩史(楽天)
・張富士夫(トヨタ)
・後藤高志(西武ホールディングス)
・前澤友作(スタートトゥデイ)
・藤田晋(サイバーエージェント)
※敬称略
そうそうたる成功者たちがワインをこよなく愛していることが分かって頂けるだろう。
ワインの魅力とは何か。「味」やワインと料理の組み合わせである「マリアージュ」はもちろんだが、それ以外に「味わい」があることにも注目したい。歴史や産地、ワインに関するさまざまなエピソード……。これらはワインを語る上で外すことはできない。
ワインの「味」以外の味わいとは
ワインの「味」以外の味わいについて、それぞれ説明していこう。
「歴史」的な魅力
「歴史」はいつの時代も人々にロマンを与えるものだ。ワインには長い歴史があり、人類の歴史と重なっている側面もあることから、ワインの魅力を高める事に一役買っている。
ワインに関する歴史をさかのぼると、ワイン造りが始まったのは紀元前5,000年ごろとされる。現代の西アジアからエジプト周辺に存在した古代オリエントがその地とされており、そこを起点に世界にワインが広がっていったというのが定説だ。
その後、ワインはヨーロッパに広がった。ローマ帝国の領土が拡大していったことや、キリスト教の布教がヨーロッパ各地で活発になったことが背景にあるとされている。16世紀の大航海時代に入ると、ヨーロッパから見た「新世界」である北米や南米にワインは広がっていった。
ワインは日本を含む世界中で愉しめるようになり、「世界三大美酒」には日本酒や中国の紹興酒とともに、ワインも含まれている。
産地的な魅力
ワインは産地によって果実味や香り、味わい、口当たり、色調などが異なる。これらは使用するブドウの品種の違いはもちろんだが、平均気温や降水量といった気候的な側面や熟成方法などにも違いがあるため生じるものだ。
産地ごとの特徴を知れば知るほど、さまざまなワインを飲み比べるのが楽しくなる。そして、ワインは世界に広がった分、産地として挙げられる国や地域は数多くあり、産地に関する知識を網羅しようとすることに極め甲斐を感じる経営者も少なくない。
代表的な産地を挙げるだけでも、例えば「旧世界」に分類されるフランスやイタリア、ドイツ、スペイン、「新世界」に分類されるアメリカやチリ、オーストラリア、日本などがあり、もちろんワイナリーによっても味わいは異なる。
「エピソード」的な魅力
ワインに関するエピソードや名言なども、味わいに奥深さを添える。
かの有名なドイツの哲学者ゲーテは、「ワインのない食事は、太陽の出ない1日と同じ」という言葉を残した。ドイツの哲学者カントは、ワインを「ひとつの道徳的かつ心の素直さを運ぶ物質」と表現した。ナポレオンとワインのヒストリーについても、ぜひ調べてみてほしい。
素敵なワインバーを探す楽しみもある
せっかくワインに関する深い知識を得ても、それが自分の中だけで完結したのではあまり面白くないだろう。ただ、素敵なワインバーに出掛けていけば、得た知識とともにさまざまなワインを愉しむことができる。
日本におけるワインの1人当たりの消費量は、50年ほど前から比べると約20倍になっている。キリンの公式サイトによれば、1973年当時は1人当たり年間0.13リットル程度だったが、2020年には2.84リットルまで増えており、近年は消費量が高止まりしている。
ということは当然、ワインが飲める場所も以前に比べて増えているということであり、ワイン好きにとっては嬉しいことだろう。
ワインがつなげてくれる「人脈」
最後に、ワインがつなげてくれる「人脈」にも触れて記事を締めくくろう。
ワインというのは経営者同士の「共通点」にもなり得る。
ビジネスは数字の世界であり、話そのものや人間関係がドライになることも少なくない。しかし、ワインに関してお互い嬉々として話をする時間を共有すれば、その相手との人間関係は一歩深まるだろう。その人間関係が、いずれビッグビジネスが始まる起点になることも珍しくない。
ワインは味の魅力、味以外の味わい、そして人間関係の広がりを愉しめる、一石三鳥の存在なのだ。
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