2022年度のメディカルバイオニクス(人工臓器)市場は前年度比2.5%増の6,777億7, 200万円の見込み
~世界的なサプライチェーンの混乱や円安等の問題などメーカー側の供給面・コスト面での課題が発生するも、コロナ禍における手術延期や中止などから症例数が戻ったことで、需要は回復傾向~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のメディカルバイオニクス(人工臓器)市場について調査を実施し、製品別市場規模推移、今後の成長要因、市場特性などを明らかにした。
1.市場概況
メディカルバイオニクス(人工臓器)製品とは、病院、クリニック、検査センター等で使用される体内埋込み型及び関連装置の医療機器(デバイス)である。
体外循環を除いた人工臓器の市場では、より低侵襲な手術手技の発展、新たなデバイスの上市が市場の趨勢である。適用基準はあるものの、臨床では経皮的手術デバイスが継続して採用されている。こうした流れが、Open surgery(直視下手術)デバイスに影響を与えている症例や製品群は増えている。
また、慢性疾患においても、骨粗鬆症薬やリウマチ治療薬を投与される患者の増加が、一部ではあるが手術件数の変動要因になっている。
このような状況下で、2021年度はコロナ禍における待機症例を中心とした手術延期や中止などから回復傾向となり、また受診控えしていた外来患者等も徐々に戻りつつあり、2021年度のメディカルバイオニクス(人工臓器)市場(主要34項目68製品合計)は、前年度比1.5%増の6,614億8,300万円と推計した。
2.注目トピック
脳外科6製品の動向
メディカルバイオニクス(人工臓器)市場のうち、脳外科6製品の2021年度市場規模は前年度比3.2%減の104億1,800万円となった。
脳外科領域では、コロナ禍の影響からは回復傾向にあるものの、塞栓コイルを含めた脳血管内治療用デバイス症例や放射線治療件数の増加で開頭術は減少傾向にあり、引き続き開頭術関連製品は伸び悩み傾向にある。脳動脈瘤クリップ、マイクロプレートシステムや脳外科領域で採用される人工骨市場でもマイナス推移となった。また、患者数が減少しているシャントバルブもマイナスとなった。
3.将来展望
メディカルバイオニクス(人工臓器)の動向を診療科目別にみる。
人工腎臓および関連市場では、慢性透析患者数の伸び率は減少しているものの、コロナ禍の影響はほとんど無く、引き続き微増傾向にある。
整形外科領域では症例数が回復傾向にあり、人工関節市場がプラスに転じ、コロナ禍の影響が少なかった脊椎固定システム市場も引き続きプラス推移となった。
胸部・心臓血管外科、循環器系領域は、新型コロナウイルスによる待機症例の手術延期等の影響が一部で続いている。TAVI・TAVR(経カテーテル大動脈弁植え込み術)の適応拡大などがあり、人工弁はマイナス推移となった。人工血管は手術延期等の影響が残り、また、腹部・末梢血管領域でのDCB(薬剤コーティッドバルーン)を始めとする治療用デバイス上市があり、減少傾向にある。
このように新型コロナウイルスによる症例減等の影響が残る製品、回復傾向にある製品に分かれる中で、2022年度のメディカルバイオニクス(人工臓器)市場は前年度比2.5%増の6,777億7,200万円を見込み、2026年度は7,126億5,200万円と予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2022年4月~2023年1月 2.調査対象: 国内メーカー及び輸入製品の製造販売業:販売元 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに電話取材調査併用 |
<メディカルバイオニクス(人工臓器)市場とは> 本調査におけるメディカルバイオニクス(人工臓器)市場とは、病院やクリニック、検査センター等で使用される体内植込み型及び関連装置の医療機器(デバイス)を指し、インプラント材や体外循環関連装置・製品(主要34項目、68製品)によって構成される。 主なデバイスは、循環器分野では人工心肺や人工血管、ペースメーカー、人工弁等、整形外科分野では人工関節や人工骨、人工靭帯、各種プレート、その他分野は人工腎臓(透析)、皮膚欠損用創傷被覆材、人工肛門・膀胱(ストーマ)、各種ステント製品等が該当する。 |
出典資料について
資料名 | 2022年版 メディカルバイオニクス(人工臓器)市場の中期予測と参入企業の徹底分析 |
発刊日 | 2023年01月31日 |
体裁 | A4 798ページ |
価格(税込) | 132,000円 (本体価格 120,000円) |
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