日本人のうち4人に1人に「趣味がない」といわれている。マルチに趣味がある人も多くいるが、経営者にとって無趣味でいることにどのようなメリットやデメリットがあるだろうか。お金や時間の観点に加え、経営者が趣味を選ぶ際のポイントなども押さえておきたい。
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無趣味の人は4人に1人もいる!?
一般的に趣味といえば、ゴルフやテニスなどのスポーツ、登山やキャンプ、旅行などアウトドアで楽しむもののほか、最近人気が急上昇しているサウナや温泉、楽器演奏や映画鑑賞、読書など幅広い。このような行動を趣味として休日などに満喫する人がいる一方、「熱中するほど好きになれる趣味はない」と感じる人も一定数いる。
博報堂生活総研が隔年で実施している意識調査「生活定点1992-2022」によると、「遊びについて、あなたに当てはまるものを教えてください」との質問に対し、「自分は無趣味である」と答えた人の割合が25.2%に上った。およそ4人に1人が無趣味ということになる。
無趣味と回答した人の割合は、統計を開始した1998年からほぼ横ばいで推移している。男女別に見ると女性の方が約8ポイント高い。年齢別では20代が19.2%と最も低く、60代が27.2%と最も高い結果となった。
コロナ禍で生活様式が大きく変化する中、人々の趣味は多様化する傾向にあるものの、無趣味でいることもすでに一つのトレンドとして定着しているといえるだろう。
経営者の「無趣味のメリット」は何か?
経営者やビジネスエリートの立場として見ると、無趣味でいることのメリットとは何だろうか。2つのポイントを例に考えてみたい。
仕事に費やせる時間が多くなる
趣味に割く時間がないことで、仕事に費やせる時間が多くなることが挙げられる。無趣味であれば、仕事を早く切り上げて趣味の時間に回したり、休日を趣味だけに費やしたりすることはない。多忙な経営者をはじめとした仕事が充実している人こそ、趣味ではなく仕事に費やす時間を確保できるのはメリットだ。もはや仕事が趣味である。
仕事に費やせるお金も多くなる
趣味の中でも美術品や時計、車、ワインの収集などお金を費やす趣味を好む経営者も少なくない。投資や資産運用などは別として、モノにお金をかけるよりも、そのお金を仕事に回したいと考える経営者にとって無趣味でいることはメリットである。
経営者の「無趣味のデメリット」は何か?
無趣味であることは時間やお金にとらわれないメリットがあるが、一方でデメリットはどのようなものが挙げられるか考えてみたい。
趣味がもたらしてくれる「新たな視点」を得られない
たとえば、創造性や知的好奇心を刺激してくれる美術館や博物館めぐり、ビジネスや経営のヒントにもなる読書、戦略性や計画性の向上に役立つチェスや囲碁といったテーブルゲームなどは、趣味の範囲を超えて仕事にも「新たな視点」を与えてくれるだろう。
無趣味でいることは、仕事に没頭できる環境を作れることにつながる。しかし、仕事一筋では得られない新鮮な視点というのは、趣味を通じて築くことができるかもしれない。
「初心」を思い出す機会を逃す(不得意分野を趣味にした場合)
もし、あなたが苦手意識を感じる不得意な分野を趣味にした場合、たとえそれが好きな時間に変わったとしても、「初心」を思い出す機会になり得るだろう。苦手を乗り越えて得た経験は、仕事だけでは味わえないものになるはずだ。
経営者は趣味を選ぶ際のポイント
経営者が趣味を選ぶには、その時間を楽しむためだけでなく、さらなる成功をつかむきっかけをくれるものが良いだろう。たとえば、ビジネスに直結する知識を得られる読書や、営業に生かせるゴルフ、会食で役立つワインや日本酒なども仕事につながるだろう。
仕事に関係がなさそうな趣味でも、集中力や注意力、意識向上に結び付くものが多い。たとえば登山やハイキングなどで自然に身を置いたり、ヨガや瞑想でマインドフルネスを取り入れたりと、自分と向き合う時間は精神面に良い影響を与えてくれるはずだ。
経営者として、ビジネス以外の知識に長けていることは理想的でもある。スポーツ、美術や歴史、お酒など、何か一つでも詳しい分野があれば交友関係は広がり、相手に関心を持たれて印象付けることができる。趣味はビジネスの1ツールにもなり得るのだ。
経営者視点で考える無趣味とは
日本人のうち4人に1人が無趣味とされる。経営者のあなたにとって、趣味がなければその分の時間やお金を仕事に注ぐことができる。それはメリットであろう。一方趣味がなければ、自分自身や仕事に対しても新たな視点を得られることができない。
仕事に直結しないように思える趣味でも、自分自身の創造性やマインドにプラスに働いたり、知識があることで相手に良い印象を与えたりすることがある。さらなる成功をつかむきっかけとして、新しい趣味を見つけてみるのも良いかもしれない。
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文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)