面倒なお願いでも、気持ちよく相手に届く伝え方は? 人を動かす伝え方50の法則
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(本記事は、川上 徹也氏の著書『面倒なお願いでも、気持ちよく相手に届く伝え方は? 人を動かす伝え方50の法則』=アスコム、2022年11月11日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

相手に忘れがたい強い印象を残したいとき

「数字のリズム効果」を使う

文章、キャッチコピー、製品名などに適切な数字を使うと、「脳に強い印象」を与えることができます。その結果、好感度を上げることができ、商品の販売にいい影響が出ることがわかっています。また、数字を使うときは、イメージをわかせやすくするために、リズムを考えることも重要です。

テキサス大学の消費心理学者ダン・キングらは、数字に関する興味深い研究を行いました。AとBの2つのグループの被験者たちに、キャンベル社の野菜スープと野菜ジュース(V8)のどちらかを選んでもらうという実験です。被験者たちに選んでもらう前に、AとBで野菜ジュースのキャッチコピーを変えました。

A 4種類のビタミンと2種類のミネラルの必要量をⅤ8ジュースで補給しよう
B ビタミンとミネラルの必要量をⅤ8ジュースで補給しよう

すると、「4、2、8」の数字が入ったキャッチコピーを見せられたAグループの被験者のほうが、野菜ジュースを選ぶ割合が多くなりました。これは4×2=8という計算が簡単にできることから、脳に印象を残す「数字のリズム効果」が生まれたからだと推測できます。

数字使いの名人といえば、スティーブ・ジョブズを思い浮かべる人も多いでしょう。ジョブズがプレゼンで数字を効果的に使ったことは有名です。

たとえば2001年、初代iPodが発売されたときのプレゼン。このときは5ギガバイトの容量を持ちながら185グラムという小型軽量のミュージックプレイヤーであるiPodのよさをどう伝えるかが課題でした。

容量や重さなどの数字を出してもお客さんは実感できないと考えたジョブズは、次のキャッチコピーを考案しました。

「ポケットに1000曲を」

すぐにイメージがわく、すばらしい数字の使い方ですね。
ちなみに、英語にはこんなことわざがあります。

Figures don't lie, but liars figure.
(数字は嘘をつかない。しかし嘘つきは数字を使う)

嘘つきになってはいけませんが、 ここぞというときは数字に味方してもらえると心強いですよ。

まとめ

キリのいい数字を使えば、自然と相手は覚えてくれる

面倒なお願いでも、気持ちよく相手に届く伝え方は? 人を動かす伝え方50の法則
川上 徹也
湘南ストーリーブランディング研究所 代表/コピーライター
大学時代、霊長類学や社会心理学の研究に没頭。世界中の論文との出会いを求めて図書館に通いつめ、狭いアパートの部屋を学術論文のコピーでいっぱいにして暮らす。
「人の心を動かす」仕事に興味を持って、広告代理店に入社。大阪支社で暗黒の営業局時代を経て、29歳で転局しCMプランナーに。しかしそこでも芽が出ず、会社を辞め何のあてもなく上京。フリーランスという名のフリーターをしながら通った広告学校の講師から、コピーライターとしての才能を見いだされ、TCC新人賞を受賞。その後、フジサンケイグループ広告大賞制作者賞、広告電通賞、ACC賞などを多数受賞する。
現在は、ブランドの魅力を物語にして伝える「ストーリーブランディング」という手法を確立し、企業や団体のマーケティング・アドバイザーとして活動。ジャンルの垣根を超えて、様々なものの魅力を伝え続けている。
『物を売るバカ』『1行バカ売れ』 (角川新書)、『ザ・殺し文句』(新潮新書)など著書多数。海外へも広く翻訳されている。

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