(本記事は、平川 憲秀氏の著書『日本一働きやすい治療院を目指したら、人が辞めない会社になりました』=あさ出版、2022年5月6日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
採用は男女関係なく。気がつけば約半分が女性社員の会社に
●体力勝負ではない職場
治療院業界は男性が多い業界でもあります。実際、女性が占める割合は2割くらいだろうと言われています。
つまり、この業界で働く8割くらいは男性というわけです。一方、当社の場合、こうした業界の常識と異なり女性が多い職場です。社員数79名(パートさんを除く)のうち女性が34名。なんと女性が全体の約43%を占めているのです。さらに、女性の院長も多い。2022 年1月時点では16店舗中6店舗で女性が院長を務めています。
こうした数字を同業他社の経営者などに伝えると、かなり驚かれます。というのも、この業界は「体力勝負」という部分が無きにしも非ずで、「女性には体力的に厳しいのでは」と女性の採用を避けがちな経営者がいまだに結構いらっしゃるのです。
とくに、保険治療をメインにしている治療院では、先述した通り売上をしっかり立てていくには「施術の数をこなす」とならざるを得ません。それには何時間でも働けるような体力が求められ、その結果、こうした治療院では、男性の、しかも体育会系の人が重宝がられるわけです。
こうした治療院にたとえ女性治療家が採用されても、「体力的に厳しい」という理由で辞めてしまいがちです。そうした経験を何度かするうちに、「女性はあまり採用しない」としている経営者もいます。
一方で当社の場合、自費治療がメインのため、「施術の数をこなす」必要がさほどありません。また、予約制をとっているため、基本的に施術は受付時間内に終了し、夜遅くまで働くこともありません。
つまり、当社ではやみくもに「量」だけをこなすことがあまり求められないのです。そのため、体力は人並みにあれば十分、というわけです。
それよりも当社で求められるのは「毎回の施術で、きちんと患者さまから〇をいただけているか」。つまり、技術力、問診力、接客力などです。
施術をやみくもにこなしているだけの人は、まったく評価されず、1つひとつの施術にしっかり取り組めている人が評価されるのです。
このように「体力勝負ではない職場」だからこそ、女性の治療家にとっても、かなり働きやすい。
また、経営計画書で業務等のさまざまな部分がルール化されていたり、施術においてはマニュアルの徹底が求められたりと、さまざまな部分で「やること」や「やり方」が統一化されています。
こうしたことも、男女という性差に関係なく仕事ができる仕組みとして機能しています。
●なぜ、女性社員が多いのか
それにしても、なぜ当社の場合、この業界では珍しく女性社員が多いのでしょうか。その理由としては、今、挙げたように、体力的にきつくないことがあるでしょう。そのため、女性社員があまり辞めない。
それともう1つ、私も含めた採用する側の人間が「男だから」「女だから」という感覚があまりなく採用活動を行っていることも大きいと思います。性別に関係なく、「この人は、うちの会社と合う」という基準で採用しているのです。その結果、気がついたら男性と女性がほぼ半々の会社になっていた、というわけです。
そして、万事が「男女にかかわらず」なので、女性だろうと男性だろうと、その役割を担うだけのスキルが身についていれば「院長」にも抜擢します。それが「16店舗中、6店舗が女性院長」という数字となって表れているのでしょう。当然のことですが、女性院長だからといって特別扱いすることもしません。
女性院長の多さに、同業他社の経営者の中には、「男性中心のこの業界で、女性が上に立つのは、かなり大変なのでは?」と心配してくださる方もいます。
しかし、それは杞憂です。当社の場合、男女の比率がほぼ半々です。そのため、男女に関係なく、院長という役割を十分に務められるのです。
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