日本M&Aセンターは提携統括事業部 コンサルタント戦略営業部 部長(東日本統括) 上夷聡史氏を著者として、会計事務所の経営にフォーカスした書籍『M&A支援業務による会計事務所の成長戦略』を2023年1月31日に発売いたしました。
本著は、日本M&Aセンターが設立以来、会計事務所とM&A支援業務に携わってきたからこそまとめることのできた一冊。会計事務所の成長戦略としてM&A支援業務を取り上げ、その有効性や取り組みについて事例を交えながら解説しています。発売にあたり、著者の上夷聡史氏に出版の背景や読みどころを聞きました。
顧問料が増えない、顧問先が減少…差別化必須の時代
今、会計事務所の経営は多くの課題を抱えています。一つは顧問料が変わらないこと。会計事務所の収益の大半を顧問報酬が占めているにも関わらず、多くの会計事務所が既存の関与先に対して値上げを要求できていません。
加えて懸念されているのが、中小企業の廃業による顧問先の減少です。中小企業庁によると、2025年までに、70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人に達し、うち約半数の127万人が後継者未定とされています。このうち半数の約60万社が黒字廃業の可能性があり、このデータは会計事務所にとっての顧問先が今後減っていくことを示しているのです。事務所が成長していく絵が描けないという、業界全体に閉塞感があるのかもしれません。
これらの課題を乗り越えていくには、高付加価値で独自性のある業務で新たな収益の柱を立てて顧客を開拓する必要があります。私は、その収益の柱がM&Aの支援業務だと思っているのです。
本著では、会計事務所の成長戦略としてM&A支援業務を取り上げ、その有効性や取り組み方について具体的に解説しています。先生方と共に苦労しながら考えてきたことをまとめた一冊ですので、会計事務所の経営や成長戦略のヒントを見いだしていただければ幸いです。
「M&A支援」に必要な知識を徹底解説
積極的にM&A支援業務に関わる会計事務所の先生は、顧問先である経営者の困りごとを解決することに真剣に向き合っています。経営者が潜在的に抱えている悩みを引き出して、その解決策としてM&Aを提案、支援しているのです。
もちろん、どの会計事務所も顧問先に日々、真摯に向き合っています。しかし、顕在化したM&Aのニーズに対して、どのように支援したらいいか、M&Aを知識として知ってはいてもどう関わっていけばいいかわからないという先生もまだいらっしゃいます。
そこで、本著では支援業務の流れを細かく説明しながら、その中で会計事務所がどう関わっていけばいいかの具体的な手法を提案しています。顧問先の中にあるM&Aニーズの情報をどうつかんでいくのか、読み進めながらイメージできるのではないかと思います。
さらに、実際に会計事務所が支援に携わったM&A事例を4つ掲載しています。特に意識して書いたのは、M&A後に顧問先が継続されたかどうかという点です。M&Aに関わると顧問先がなくなってしまうのではないかと思われる方がいらっしゃいますが、それは「半分正解で、半分間違い」です。必ずしも顧問先がなくなるわけではないということを、実際の事例を通じてお伝えしています。
私はこれまで多くの会計事務所の先生方とM&Aに取り組んできましたが、M&A支援業務によって事務所を拡大し、「M&Aで世界が広がった」とおっしゃる先生もいます。私自身も志をもった先生が事務所を成長させていく過程に携わる事で多くの事を学んでいます。今回、この本を多くの会計事務所の先生方にお読みいただくことで、M&Aに取り組むことの意義を広め、さらにM&A業務を推進していけたらと願っています。
著者プロフィール
上夷 聡史(かみえびす・さとし)
日本M&Aセンター 提携統括事業部 コンサルタント戦略営業部 部長(東日本統括) 行政書士。2002年青山学院大学法学部卒業後、法律事務所MIRAIO入所。会社倒産・民事再生申立、債権回収、企業法務、企業再生、中国ビジネス(進出・M&A・撤退)、経営コンサル業務などを行う。2010年行政書士事務所開設、BrandNewConsulting株式会社を設立し、アパレルブランド立ち上げに関わる。その後2011年日本M&Aセンターへ入社、譲渡案件の開拓業務を中心に携わり現職に至る。M&Aの成約実績は100件を超える。
著者
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