日本ハム・畑佳秀代表取締役社長と、井川伸久代表取締役副社長
(画像=日本ハム・畑佳秀代表取締役社長と、井川伸久代表取締役副社長)

日本ハムは1月10日、4月1日付で井川伸久代表取締役副社長が代表取締役社長に、木藤哲大代表取締役副社長が取締役会長に就任する人事を発表した。

それに伴い、1月11日に大阪市内で代表取締役社長交代に関する会見を行い、畑佳秀代表取締役社長、井川伸久代表取締役副社長らが出席した。畑社長は6月開催予定の定時株主総会で取締役を退任して相談役に、井川副社長は3月17日で北海道日本ハムファイターズのオーナーに就任する予定。

畑社長は会見で、「2018年の社長就任以来、『持続的な変革』と『飽くなき挑戦』をモットーに中期経営計画2020・同2023の5年間、企業価値の最大化を目指し、最適な事業ポートフォリオの追求と成長戦略によるビジネスモデルの変革に注力してきた」と社長就任後の5年間を振り返った。

主な取組みとして、「最適な事業ポートフォリオの追求に向けて、生産体制の最適化、経営資源集中に伴う事業売却など大きな決断もしてきた。企業理念である『食べる喜び』を届け続けるため、2030年におけるありたい姿として『ニッポンハムグループ Vision2030』を策定した。そして、『たんぱく質を、もっと自由に。』を企業メッセージとして、浸透・発信を図り、たんぱく質の可能性を広げていく当社グループの方向性を定め、けん引してきた。これまで、事業本部間を横断した連携した効率化が大きな課題だったが、物流改革や営業改革などの全社横断戦略を進めることで一体感が生まれており、様々な可能性を感じている」と、これまでの成果を述べた。

そして「中計2023最終年度の本年、井川次期社長にたすきを渡すこととなった。井川次期社長の加工事業本部長、経営企画本部長としてのこれまでの実績と経験、最大の強みである強いリーダーシップ、変革実行力によってこの難局を乗り越え、グループの成長発展を成し遂げられると確信している」と井川副社長を次期社長に選任した理由を説明した。

井川副社長は、「当社グループが様々なたんぱく質を供給して、顧客を笑顔にできる企業であり続けるため、全力で取り組む」と意気込みを語った。過去の経歴について、「入社後、食肉部門の小さな部署に配属され、国内豚肉も輸入牛肉も『シャウエッセン』も取り扱ったことのないキャリアを歩んできた。そのため、社内よりも社外との接点が多く、新規開拓など様々なことにチャレンジして数多くの失敗も経験してきた。加工事業本部時代には、構造改革やブランド集中に取り組み、一定の成果を上げることができた。『シャウエッセン』の改革はその一例で、ブランドエクステンションなどの商品施策や電子レンジ調理の解禁、(包装形態の変更に伴う)断髪式といった販促、製造拠点の集約などを実行してきた」とした。

そして、「加工事業本部の改革を通して3つのことを学んだ。1つめは『覚悟をもって改革すること』。当時、構造改革で最初に実行したのは事業部内での役員の削減。トップ自らが身を削り、改革の意識を伝え、率先垂範することで事業本部内は改革の意識が格段に上がった。2つめは『バックキャストの発想』。今までの延長ではなく、未来を予測してありたい姿を描くことで、今までにない発想が生まれてくる。3つめは『スピード』。スピード感を伴わない改革は結果が伴わず、結果が出ない。社外からも評価されなくなる。当社は少子高齢化や環境問題など非常に多くの社会課題に直面している。当社グループの現状のビジネスモデルでは、限界を迎えていると言っても過言ではない」と危機感を募らせる。

「私の使命は、企業理念のもと、畑社長が示した『Vision2030』『たんぱく質を、もっと自由に。』に沿って、構造改革のスピードを上げて成果につなげること。将来に向けて、新たんぱく質の事業化や持続可能な畜産業を実現するための技術革新などに経営資源を集中していかなければならない。トップラインを上げ、コストを削減し、様々なたんぱく質を供給する企業として新たなステージへ導くことに力を注いでいきたい」と、具体策を示した。

〈畜産日報2023年1月12日付〉