【特別対談】M&A新時代到来! 顧問先をサポートするために会計事務所が持つべきツールとは?
(画像=プロパートナーONLINE)

金融機関が地方や中小企業のM&A支援に参入するなど、M&Aマーケットは拡大を続けています。
新たなM&A時代が始まったともいえるなか、
会計事務所は顧問先のM&A支援のために今、何をすべきなのでしょうか?
M&A知識メディア「SOGOTCHA」(ソガッチャ)などを運営する
株式会社マーブル代表取締役の高橋祐未氏と、株式会社アックスコンサルティングの福島敦氏が、
M&Aマーケットの現状と、会計事務所がM&A支援を始めるために必要なことを語り合います。


M&Aの裾野を広げるためには、M&A支援の基礎力を上げることが必要

福島:私たちは、会計事務所が顧問先のM&Aを支援できるようなサービスを提供するとともに、
私たち自身も会計事務所や一般企業のM&A支援を行っています。
近年では、私たちのようにM&Aの仲介を行う会社が増えているほか、
金融機関も積極的に中小企業のM&A支援をはじめています。そのなかで御社は、
M&Aを行っている企業やM&A仲介会社のためのサービスを展開されていると聞きました。
まずは、株式会社マーブルのサービスの特徴を簡単に教えていただけますか?

高橋:弊社の事業は大きく2つあって、いずれも動画を活用したサービスです。
1つは「SOGOTCHA VIZ」(ソガッチャビズ)という動画の受託制作です。
これは、金融機関、PEファンド、M&A仲介会社など、
M&Aの支援側の企業に活用いただいているサービスです。顧客向けの自社サービスの紹介や
事業の紹介などの動画、社内・行内向けの情報発信を目的とした動画などを制作しています。

もう1つが、「SOGOTCHA PLUS」(ソガッチャプラス)という会員制のプラットフォーム。
こちらは、M&Aの基礎・実務知識をわかりやすく解説した動画や、
顧客への提案に活用できるPDF・パワーポイント利用できるサービスで、
M&Aの支援側の企業はもちろん、M&Aをする側の企業の方にもご利用いただいています。

【特別対談】M&A新時代到来! 顧問先をサポートするために会計事務所が持つべきツールとは?
高橋祐未氏(株式会社マーブル 代表取締役)(画像=プロパートナーONLINE)


福島:M&Aに関するサービスというと、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)の
テーブルに立つというイメージが強いので、
それ以外でM&A業界の発展に貢献するサービスがあるのかと驚きました。
なぜ直接的なFAではなく、その支援に取り組み始めたのでしょうか?

高橋:弊社も、はじめは自社のマーケティングの一環として、
YouTubeに動画をアップしていました。すると、その動画を見た金融機関の方などから、
「ソガッチャさんの動画わかりやすいね」「うちの研修で使ってもいいですか」といった
お声をいただくことがあったのです。
「ニーズがあるのなら」ということで、
動画を活用したソリューションを提供することになりました。

ビジネス的な勝算があったからというより、
「目の前のニーズに応えたかった」というのがきっかけです。

「動画の分かりやすさ」にメリットを感じていただいて、
みなさんに使っていただくようになり、事業の軸足を変えました。ただ、事業は変化したものの、
「M&Aの裾野を広げていきたい」という思いは創業時から変わっていません。

福島:今、日本の企業のうち、127万社は後継者がいないと言われています。
そこで、国は年間6万社をM&Aで救おうと動いていますが、
現状は年間3,000件くらい、目標の20分の1しかできていないと言われています。
金融機関も積極的に参入し、FA業者や仲介業者も増えているものの、
おそらく6万件までにはたどり着かないでしょう。

ただ、以前に比べて、経営者はM&Aをフラットに考えているのではないかと感じます。
会計事務所をはじめ士業の目線で言うと、事業承継やM&Aは、
どうしても「引退」や「経営者として力量が足りない」という烙印を押すような気がして、
話しにくい部分もあります。

ところが、一般企業の経営者と話をすると、今はもう考え方が変わってきています。
戦略的にM&Aを計画しているし、若い経営者の場合、起業時からM&Aを視野に入れている人も多い。
たとえば、ある中小企業の経営者は、「サービスには自信があるけれど、
マーケティング力が弱いことをコロナ禍で痛感した」と話していました。
また、その逆のパターンもあり、
「自社の弱い部分を補える企業と手を組むことができるのがM&A」という話をよく聞きます。

そこで必要になるのが、会計事務所や金融機関などのM&A支援事業者の基礎力を上げて、
アウトプットができる人間を増やすことだと考えています。
M&Aの基礎力があれば、潜在的なニーズが拾えると思うのです。

【特別対談】M&A新時代到来! 顧問先をサポートするために会計事務所が持つべきツールとは?
福島敦氏(株式会社アックスコンサルティング 主任コンサルタント)(画像=プロパートナーONLINE)

高橋:私もそう思います。「支援者側のM&Aリテラシーの底上げ」は、
私たちが力を入れている部分ですし、もっと伸びる余地があると思っています。

また、経営者が悩んでいるときに一番近くにいるのが税理士や会計士の先生方なので、
士業の皆様からM&A、事業承継についての情報発信をしていただくことも有効なのかなと思います。
そうすれば、M&Aはもっと増えていくだろうという希望を持っています。


ツールを持つことが、M&Aマーケット参入のカギ

高橋:さきほど、士業の方たちは顧問先にM&A、事業承継の話をしづらいという話がありましたが、
それ以外にも、二の足を踏む要因はあるのでしょうか?

福島:まずは、M&Aが本業ではない事務所がほとんどだということがあると思います。
通常業務外になるので、職員をどう評価していくのか、
どこまで指示していくのかといった部分が難しいのです。

2つ目は、まだ職員のリテラシーが高くないということです。
所長はM&Aの知見を持っていても、職員にまでは行き渡っていないのが現状です。
実際に、顧問先に会っているのは職員です。職員にM&Aのニーズを拾えるだけのリテラシーがなければ、
相談件数は増えません。

高橋:金融機関でも似たような課題をよく聞きます。通常業務で手一杯で、
M&Aや事業承継はどうしても後回しになってしまう。
そこで、内部向けの情報発信をしっかりやりたいと、
「SOGOTCHA PLUS」を新入社員の教育研修や最前線で活躍している
プレイヤーの確認用に使っていただくケースも多いですね。

福島:なるほど。会計事務所でも、所長が毎月研修をしていると相当の時間がかかりますし、
新入社員が入ってくるたびに研修をしなくてはいけない。
多くの事務所で、その余裕がないのが現状です。
ですから、動画や資料があるだけで、だいぶ効率が良くなると思います。

高橋:顧問先のM&Aや事業承継が活性化すると、成長したり存続したりする企業が増えるので、
士業の方たちにもメリットがあると思います。

福島:私たちは、M&Aがどれほど意義のあるものなのかや、
どのようにお客様に提案したら良いのかといったルールを士業に伝える、
いわば伴走支援をしています。でも、ルールだけ知っていても、始められない。
御社が提供しているような動画や資料といったツール、いわば道具があると、
参入しやすくなるのではないでしょうか。

士業事務所は中小企業と接する機会が一番多いわけですから、ツールを持つことは、
士業事務所がM&A、事業承継の支援を展開していくカギの一つかもしれないですね。

プロフィール
高橋祐未氏
高橋祐未氏
株式会社マーブル 代表取締役
1990年宮城県仙台市生まれ。東北大学理学部数学科卒業。
2013年より都内の事業会社・投資ファンド運営会社勤務を経て、2019年株式会社マーブルを設立。
M&Aアドバイザリー企業のための動画コンテンツ制作サービス「SOGOTCHA VIZ」(ソガッチャビズ)、
M&Aノウハウの見える化や研修をサポートする「SOGOTCHA PLUS」(ソガッチャプラス)を提供している。
福島敦氏
福島敦氏
株式会社アックスコンサルティング 主任コンサルタント
資産税、不動産の高い専門知識を持ち、相続特化スーパーバイザーとして、のべ400件のクライアントを担当。
相続チームの立ち上げ・運営サポート実績は60件以上。相続案件獲得スキームの構築や相続サービスの開発支援を得意としており、会員向けの研修回数は130回以上。相続業界の発展に尽力している。
プロパートナー
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