キャラクタービジネス,2018
(写真=InfantryDavid/Shutterstock.com)

キャラクタービジネス市場規模は少子化のなかにあって底堅く横ばいで推移!

~大型イベントやオフィシャルショップ展開などキャラクターの新しい魅力作りの取り組みが奏功~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2017年度のキャラクタービジネス市場を調査し、セグメント別の動向、注目トピック、将来展望を明らかにした。

キャラクタービジネス市場規模推移

キャラクタービジネス市場規模推移

2017年度キャラクタービジネス商品化権市場 分野別構成比

2017年度キャラクタービジネス商品化権市場 分野別構成比

1.市場概況

2017年度のキャラクタービジネス市場規模(商品化権、版権)は前年比99.9%の2兆4,539億円とほぼ横ばいで推移した。消費者の「モノからコト」需要へのシフトにより大型イベントが増加したことや、オフィシャルショップ展開などキャラクターの新しい魅力作りの取り組みが奏功したことで市場は底堅く推移した。

キャラクタービジネス市場は商品化権と版権とで構成され、2017年度の商品化権市場は前年度比98.5%の1兆2,239億円、版権市場は前年度比101.5%の1兆2,300億円となり、商品化権市場は微減、版権市場は拡大基調となった。

商品化権市場は48.2%と大きなシェアを占める玩具が苦戦したことで、全体ではマイナスとなったが、空港やファミリーレストランなど設置場所が拡大している自販機用玩具や、大人向けに商品の強化を進めているトイレタリーの分野ではプラス成長となった。具体的には訪日外国人観光客をターゲットとした空港に設置した自販機用玩具の取り組みが奏功していることや、価格による競争激化が著しいトイレタリー関連商品においてはキャラクターの付加価値による価格維持の効果が好調要因として挙げられる。

版権市場は「キャラクター販売」につながる販促の面と「キャラクター認知」を高めるブランド形成の2つの側面があるが、近年は特に、楽しいトキ(時)やコト(事)の体験を通じてキャラクターを「好きになってもらう」「ファンになってもらう」ことを目指したブランド形成に重きを置いた取り組みが奏功した。

2.注目トピック

大人・シニア向け商品の強化

参入企業各社では、子ども人口の減少に備え、大人やシニア向けの商品を強化している。例えば、アパレル分野ではサブキャラクターにスポットをあてたり、新しいグラフィックとしてキャラククターを新たにデザインするなど、他社との差別化や高いデザイン性、ファッション性を打ち出し、大人層へのアプローチを進めている。その他、大人を巻き込む交通機関を利用したスタンプラリーや、アニメ放送開始から20~30年を迎えた長寿キャラクターを活用するなど親子で楽しめる仕掛けが施されている。親子三世代が同時に楽しめるキャラクター作りやサービスが消費者の需要を喚起することに成功している。

3.将来展望

2018年度はアニメ本数の増加によりキャラクター商品が好調に推移することや、知育や電子玩具分野で定番キャラクターが堅調なこと、訪日外国人観光客による玩具需要が増加することにより、前年度比102.0%の2兆5,024億円と予測する。

中長期的にもバーチャルキャラクターなどVRやARの活用、玩具のサブスクリプションサービス、個人クリエイター台頭など新市場創出により今後も活発なマーケットを形成していくものと考える。