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2021年度の病院設備機器市場規模は前年度比5.7%増の1,839億6,390万円

~2021年度は感染対策関連製品に対する各種補助金・支援金等により市場が活性化、コロナ禍で繰り延べられた工事案件や予算の執行が復活し、前年度プラスへ~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の病院設備機器市場を調査し、市場規模推移・予測、製品タイプ別や機能別の動向、新製品の上市による影響等を明らかにした。

卓上型高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)販売台数推移

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1.市場概況

本調査では、診断や治療に直接関わる機器を除いた病院における主要な設備機器、電子カルテやオーダリングシステム等の医療情報・管理システムや、中央材料室関連機器(医療用洗浄機、滅菌器、空気殺菌装置等)、手術室関連機器(手術用照明灯、ヘッドライトシステム、手術台、シーリングペンダント、手洗装置)、その他関連機器(薬剤分包器、薬袋印字システム、ストレッチャー、自動再来受付機、自動精算機)を対象としている。全体で14項目27製品の市場について調査を行い、2021年度の病院設備機器市場は、前年度比5.7%増の1,839億6,390万円と推計した。

2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で工事の延期や設備予算執行の繰り延べ、更に病院収支の根幹である手術件数が10%~15%程度落ち込んだため、病院設備機器も含めた設備投資全体が冷え込んだ。その後、院内の感染対策関連製品に対する各種補助金・支援金等により、卓上型高圧蒸気滅菌器や殺菌装置など一部の医療機器についてはコロナ特需により市場が活性化した。また、繰り延べられた工事案件や予算の執行が復活したことで、2021年度の市場はプラス成長に転じた。また、医療用洗浄機であるジェットウォッシャー(ウォッシャーディスインフェクタ)については、不具合による製品回収が発生し、その機器入れ替えなどが特殊な需要として発生している。

2.注目トピック

卓上型高圧蒸気滅菌器市場動向

中・小型の卓上型高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)は、取扱いのし易さと比較的安価な価格構成により大規模病院から一般診療所まで幅広く使用されており、滅菌業務自体が医療プロセスに不可欠であるため需要が多く、滅菌器市場の中でも販売台数は最も多い。
しかし、小型高圧蒸気滅菌器は、薬事法改正により管理医療機器にカテゴリーされたことで、JIS規格への適合と第三者機関での認証が必要となり、GMP省令(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)やEMP(電磁パルス)への適合についても必須条件とされたため、参入メーカーにとっては、開発期間や費用面での厳しい対応が求められている。

近年、新規開設の診療所・歯科診療所数が減少傾向に転じたことに加え、装置性能の向上から更新期間が延びたことで、販売台数は右肩下がりのトレンドに移行していた。2020年度からは新型コロナウイルス感染症対策として、医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業が実施されたことから診療所を中心に需要が急拡大し、2020年度の販売台数は前年度比28.5%増の11,410台、2021年度は同0.3%増の11,440台となった。但し、2022年度は急激な需要増の反動から7,470台と同34.7%減を予測する。

3.将来展望

歯科診療所における院内感染対策は、2017年9月に厚生労働省より「歯科医療機関における院内感染対策の周知について」が通知され、使用したハンドピース(歯科治療用切削器具)は患者毎に交換し、高圧蒸気滅菌処理などの院内感染対策を取り組むよう歯科医療機関に周知する内容となっていた。
感染防止意識の高まりから卓上型高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)の販売台数が伸びる中で、ハンドピース専用の洗浄・滅菌装置の他、質の高い滅菌を実施する歯科診療所については、バキュームポンプを搭載し真空と蒸気のサイクルが交互に滅菌を行う、質の高い滅菌が可能な「Bクラス」製品が注目されている。

調査要綱

1.調査期間: 2022年4月~7月
2.調査対象: 国内メーカー及び輸入製品の総販売元
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
<病院設備機器市場とは>
本調査における病院設備機器とは、電子カルテシステム、オーダリングシステム等の医療情報・管理システム(HIS:Hospital Information System)、中央材料室関連機器(医療用洗浄機、滅菌器、空気殺菌装置等)、手術室関連機器(手術用照明灯、ヘッドライトシステム、手術台、シーリングペンダント、手洗装置)、その他関連機器(薬剤分包器、薬袋印字システム、ストレッチャー、自動再来受付機、自動精算機)を対象とした。
<市場に含まれる商品・サービス>
医療情報・管理システム、中央材料室関連機器、手術室関連機器、その他関連機器

出典資料について

資料名2022年版 病院設備機器市場の現状と将来展望
発刊日2022年07月29日
体裁A4 337ページ
価格(税込)132,000円 (本体価格 120,000円)

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