世界MaaS関連企業,2019年
(写真=Vadim Georgiev/Shutterstock.com)

世界MaaS関連企業の戦略動向に関する調査を実施(2019年)

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、世界Maas関連企業の戦略動向を調査し、”次の一手”は、①マルチモーダルサービス、②完全自動運転車両(レベル4,5)による各種シェアリングサービス、③フードデリバリー/配送サービス/物流サービス、④スマートシティ関連サービス の4項目であると分析した。

表「Maas関連企業が考えている〝次の一手〃サービス4項目」

表「Maas関連企業が考えている〝次の一手〃サービス4項目」

1.調査結果概要

将来にわたって世界人口は増加し、人間の移動ニーズは大きくなることは間違いない。だが今後は、マイカーを保有するのではなく、多様なモビリティサービスを活用し、スマホでの予約・決済によりシームレスに移動できるMaaS時代が訪れると考えられる。

MaaS関連事業者の37社はそれぞれに次世代Maas事業戦略をかかげているが、共通して重要度が高かったのが次の4項目である。

  1.マルチモーダルサービス

  2.完全自動運転車両(レベル4,5)による各種シェアリングサービス

  3.フードデリバリー/配送サービス/物流サービス

  4.スマートシティ関連サービス

2.注目トピック

MaaS市場をリードするプレーヤー動向

このMaaS市場をリードするプレーヤーとしては、OEM(自動車メーカー)、Tier1(部品メーカー)、ITベンダ、MaaSサービス事業者などがあげられる。

OEMは次世代の生き残りをかけて、現在の自動車の製造・販売というビジネスモデルから、モビリティサービス事業というビジネスモデルに変化しようと様々な変化を試みている。

Tier1もまた、OEMの求める部品を忠実に製造するだけの存在から、モビリティサービス事業の黒子としても存在すべく様々な変化を試みている。

ITベンダは、世界中にいきわたってしまったスマートフォン向けビジネスに代わる舞台を見出そうとしている。その内容はMaaS車両のハードウェアをささえる黒子としてのソフトウェア事業であり、MaaSサービスのクラウドを構築するシステム事業である。

MaaSサービス事業者はここ1~2年、多様な業界から参入してきた。その多くはカーシェアリングやライドシェアリングといった自動車向けサービスだったが、ここにきて駐車場や鉄道、バス、タクシー、ドローン、バイク、自転車といった多様なモビリティサービスも動き出した。これらモビリティサービスを活用することでこれまでの課題を解決し新市場を創造しようと、地方自治体、観光、医療・福祉、不動産・建築などの異業種企業・団体は、モビリティサービス事業者との提携に踏み出している。