2022年5月、アンディ・ウォーホルのマリリン・モンローの肖像画が数々の記録を打ち立て、国内でも大きな話題になったのは記憶に新しい。そこで今回は、世界のオークション市場で最も高く評価された作品15点をランキング形式でご紹介。落札価格は1ドル=130円で計算、手数料込み。
目次
- 15位:パブロ・ピカソ
- 14位:アンディ・ウォーホル 《Silver Car Crash (Double Disaster)》(1963) 落札価格:約137億785万円(,445,000) (画像=Andy-Warhol-Silver-Car-Crash) 出典:https://www.sothebys.com/ ポップアートの代表格アンディ・ウォーホルの「死と惨事」シリーズの一作。現実に起きた壮絶な自動車事故の瞬間を大画面(267.4 x 417.1 cm)に表現したもので、同じイメージを繰り返すことによりフィクション映画の1コマのような印象を与えている。この反復させる表現方法はウォーホルが頻繁に使うテクニック。本作は2枚のパネルで構成されており、右側の銀色のパネルは死を暗示していると言われる。ウォーホルの歴代オークション落札価格で2番目に高い作品。(オークション:2013年11月13日サザビーズ) 13位:パブロ・ピカソ 《Nude, Green Leaves and Bust》(1932) 落札価格:約138億4,300万円(,482,500) (画像=nude-green-leaves-and-bust) 出典:https://www.pablopicasso.org/ ピカソの愛人だったマリー・テレーズ・ウォルターを描いた肖像画(日本語で「裸婦、緑の葉と胸像」という意味)。生涯を通して精力的に制作活動を続けてきたピカソであったが、1931年から1932年にかけては特にピカソのライフワークの中でも絶頂期とされ、美術史に大きな価値を残した年とされている。本作は1951年1月にアメリカの慈善家フランシス・ラスカー・ブロディが2万ドル以下(約260万円)で購入し、50年以上個人に所有されていたもので、8人の入札者が争って売却された。(オークション:2010年5月4日クリスティーズ) 12位:ジャン=ミシェル・バスキア 《Untitled》(1982) 落札価格:約143億6,340万円(,487,500) (画像=untitled) 出典:https://www.sothebys.com/ ジャン=ミシェル・バスキアは、1988年に27歳という若さで亡くなった20世紀を代表するアーティスト。本作は「頭蓋骨」シリーズの一つで、2017年に前澤友作氏が落札し、バスキアのオークションレコードを更新したことで大きな話題を呼んだ。依然としてバスキアのオークション落札価格歴代トップの作品であり、当時のアメリカ人アーティストの最高落札価格も更新した。(オークション:2017年5月18日) 11位:クロード・モネ 《Meules》(1890) 落札価格:約143億9,700万円(,747,000) (画像=meules) 出典:https://www.sothebys.com/ 印象派を代表するフランスの画家クロード・モネによる「積みわら」を描いた作品シリーズの一つ。このシリーズは、フランスのセーヌ川沿いのジヴェルニーにあった自宅に隣接する畑にインスピレーションを得たもので、収穫後の畑に積まれた干し草の山が描かれている。「積みわら」シリーズはモネの作品の中でも最も重要な絵画であり、パリのオルセー美術館、ニューヨークのメトロポリタン美術館、ニューヨーク近代美術館、東京の国立西洋美術館など世界の各美術館が所蔵している。(オークション:2019年5月14日サザビーズ) 10位:パブロ・ピカソ 《Fillette à la corbeille fleuri》(1905) 落札価格:約149億5,000万円(,000,000) (画像=fillette-a-la-corbeille-fleurie) 出典:https://www.numero.com/ アメリカの著名コレクター、ペギー&デイヴィッド・ロックフェラーのコレクションが紹介されたクリスティーズオークションに出品された作品。15位の作品と同様に「ばら色の時代」に制作されたもので、日本語で「花のバスケットを持つ少女」という意味。この作品は、おそらくリンダという10代で児童売春していた少女が題材とされている。ピカソは奔放な女性関係を持っていたことでも有名で、ピカソの女性に対する扱いを巡ってスペイン・バルセロナのピカソ美術館の前でデモが行われたこともある。(オークション:2018年5月8日クリスティーズ) 9位:エドヴァルド・ムンク 《The Scream》(1895) 落札価格:約155億9,000万円(,922,500) (画像=much) 出典:https://www.sothebys.com/ 世界で最も知られた作品の一つである《The Scream(叫び)》は、19世紀〜20世紀のノルウェー出身の画家エドヴァルド・ムンクの代表作。本作は、愛と死とそれらがもたらす不安をテーマにして制作した「The Frieze of Life(生命のフリーズ)」シリーズの一作。《The Scream》には、1895年に制作された本作のパステル画のほかにリトグラフ、1893年制作の油彩画とパステル画、1910年制作のテンペラ画の全部で5点の同じ構図で描かれた作品が存在する。(オークション:2012年5月2日サザビーズ) 8位:斉 白石 《山水十二屏》(1925) 落札価格:約183億2,400万円(,954,580) (画像=山水十二条屏) 出典:https://www.sohu.com/ 斉白石(せいはくせき/1864~1957)は、中国近代絵画の巨匠であり、現代中国で最も人気のある画家の一人。本作は斉白石が現在の北京市の名医と名高かった陳子林に贈ったもの。その後、斉白石の弟子だった夫妻が1950年代に譲り受け、約半世紀もの間保管されていた。12枚で一組の作品で全てに斉白石自作の詩が書かれ、自作の印章が押されている。中国美術品史上最高価格を記録した。(オークション:2017年12月17日ポーリーインターナショナルオークション) 7位:アルベルト・ジャコメッティ 《L’homme au doigt》(1947) 落札価格:約183億6,700万円(,285,000) (画像=《L’homme au doigt》) 出典:https://www.artprice.com/ 針金のように極端に細く、長く引き伸ばされた人物彫刻で有名なスイスの彫刻家、アルベルト・ジャコメッティ(1901 – 1966)。本作は日本語で《指差す男》という意味で、クリスティーズはこの作品を「稀代の傑作」と称し、彫刻作品としては史上最高額を記録した。ジャコメッティは《指差す男》を7体(うち1体はアーティスト・プルーフ)を制作しており、ニューヨーク近代美術館やロンドンのテートギャラリー、アメリカのデモイン・アートセンターほか財団と個人に所蔵されている。(オークション:2015年11月5日クリスティーズ) 6位:フランシス・ベーコン 《Three Studies of Lucian Freud》(1969) 落札価格:約185億1,265万円(,405,000) (画像=francis bacon) 出典:https://www.artprice.com/ 20世紀最も重要な画家の一人とされるフランシス・ベーコン(1909 – 1992)は、アイルランド生まれのイギリス人具象画家。本作(日本語で「ルシアン・フロイドの三つの習作」)は友人でもあり、ライバルでもあったイギリス人画家ルシアン・フロイドを描いた三連画で、ベーコンの傑作の一つ。写真家のジャン・ディーケンが1964年に撮影したフロイドの写真をもとに制作された。(オークション:2013年12月11日クリスティーズ) 5位:アメデオ・モディリアーニ 《Nu couché (sur le côté gauche)》(1917) 落札価格:約204億3,067万円(,159,000) (画像=Amedeo Modigliani) 出典:https://www.sothebys.com/ アメデオ・モディリアーニ(1884 – 1920)は、ヌード画やポートレイト画などで知られているイタリアの画家/彫刻家。フィンセント・ファン・ゴッホと同様、若くして亡くなった後に評価が高まった不遇のアーティストでもある。1908年頃から裸婦画を描き始め、22枚の横たわる裸婦像と13枚の座る裸婦像を残している。本作はその一つで、日本語では「横たわる裸婦(体の左側を下にして)」という意味。また、モディリアーニが描いた作品の中で最も大きく(89.5×146.7 cm)、横長のヌードの中で唯一人物全体がキャンバスの中に収まっている作品である。(オークション:2018年5月14日サザビーズ) 4位:アメデオ・モディリアーニ 《Nu couché》(1917-1918) 落札価格:約221億5,265万円(,405,000) (画像=Nu couché) 出典:https://www.artprice.com/ 本作も同じくモディリアーニによる「横たわる裸婦」という作品。モディリアーニが描いた裸婦像には、女性の権力と自律性が高まっていた第一次世界大戦中のパリの新しい女性像(モディリアーニは主にパリで制作していた)が反映されている。モディリアーニは自分と親しい人などを被写体にはせず、報酬を払って雇ったモデルを被写体にしていた。本作は中国の龍美術館が落札した。(オークション:2015年9月11日クリスティーズ) 3位:パブロ・ピカソ 《Les femmes d’Alger (‘O’ Version)》(1955) 落札価格:約233億1,745万円(,365,000) (画像=アルジェの女たち) 出典:https://www.pablopicasso.org/ ピカソの歴代落札価格1位の本作(日本語で「アルジェの女たち(バージョンO)」)は1954年から55年かけて制作された15点の絵画と素描からなるシリーズのうちの一点。「ヴァージョンO」はこのシリーズ最後の作品になり、フランスのロマン主義の画家ウジェーヌ・ドラクロワの《アルジェの女たち》から着想を得ている。2015年の落札時は、当時のアートオークション史上で最高落札価格を記録。現在は、本ランキング2位につけたアンディ・ウォーホルの《Shot Sage Blue Marilyn》に続き、20世紀の絵画で2番目に高い落札価格の作品である。(オークション:2015年11月5日クリスティーズ) 2位:アンディ・ウォーホル 《Shot Sage Blue Marilyn》(1964) 落札価格:約253億5,520万円(,040,000) (画像=shot sage blue marilyn) 出典:https://news.artnet.com/ ポップアートの代表格アンディ・ウォーホルの代表的なマリリン・モンローを描いた作品の一つ。本作はウォーホルのオークション落札価格、20世紀の美術品、歴代アメリカ人アーティストの3つの記録を更新した。1964年、ウォーホルのスタジオであるファクトリーを訪ねたドロシー・ポドバーによって、撃たれるという逸話つきの作品である。本作の「Sage Blue(セージブルー)」の他に、赤、オレンジ、ライトブルー、ターコイズも制作されている。落札者はメガディーラーのラリー・ガゴシアン。(オークション:2022年5月9日クリスティーズ) 1位:レオナルド・ダ・ヴィンチ 《Salvator Mundi》(c.1500) 落札価格:約585億4,063万円(,312,500) (画像=Salvator_Mundi) 出典:https://ja.wikipedia.org/ 世界で最も高価な美術品は、フィレンツェ共和国(現在のイタリア)のルネサンス期を代表する芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452 – 1519(ユリウス暦))による作品。タイトルの《Salvator Mundi(サルバトール・ムンディ)》は「世界の救世主」という意味で、青いローブを着たイエス・キリストが描かれている。1500年頃に制作されてからイギリス王室の手に渡り、1763年以降は行方不明になっていたが、1900年に発見される。1958年にオークションに出品されるも、複製とされてわずか45ポンドで落札。2005年に美術商が1万ドル足らずで入手して修復された。ダ・ヴィンチの弟子の作品という説があったり、ダ・ヴィンチの真筆だと主張する専門家もいたりと議論が交わされてきた作品である。 落札者は不明とされていたが、現在はサウジアラビア王子ムハンマド・ビン・サルマーンといわれており、クリスティーズでの落札後は一度も一般公開されていない。(オークション:2017年11月15日クリスティーズ) ANDARTでは、パブロ・ピカソ、アンディ・ウォーホル、ジャン=ミシェル・バスキアを含め国内外の人気アーティストの作品を扱っています。気になる方は是非【取扱い作品一覧】からご覧下さい。無料会員登録でオークションの結果速報やアートニュースもお届けしています。 文:ANDART編集部 まずは無料会員登録 >>「ANDART」のトップページはこちら >>「NEW ART STYLE」のトップページはこちら
15位:パブロ・ピカソ
《Garçon à la pipe》(1905)
落札価格:約135億4,200万円($104,168,000)
日本語で《パイプを持つ少年》という意味の本作は、パブロ・ピカソの歴代落札価格4位の作品。ピカソのキャリア初期「青の時代」の次にあたる「ばら色の時代」と呼ばれる時期(1904〜1906年頃)に描かれた代表作の一つである。青系の色を基調とした陰鬱な作風だった青の時代に対し、この頃から赤やオレンジやピンクなどの明るい色調を取り入れた作品が増えていったのが特徴。(オークション:2004年5月5日サザビーズ)
14位:アンディ・ウォーホル
《Silver Car Crash (Double Disaster)》(1963)
落札価格:約137億785万円($105,445,000)
ポップアートの代表格アンディ・ウォーホルの「死と惨事」シリーズの一作。現実に起きた壮絶な自動車事故の瞬間を大画面(267.4 x 417.1 cm)に表現したもので、同じイメージを繰り返すことによりフィクション映画の1コマのような印象を与えている。この反復させる表現方法はウォーホルが頻繁に使うテクニック。本作は2枚のパネルで構成されており、右側の銀色のパネルは死を暗示していると言われる。ウォーホルの歴代オークション落札価格で2番目に高い作品。(オークション:2013年11月13日サザビーズ)
13位:パブロ・ピカソ
《Nude, Green Leaves and Bust》(1932)
落札価格:約138億4,300万円($106,482,500)
出典:https://www.pablopicasso.org/
ピカソの愛人だったマリー・テレーズ・ウォルターを描いた肖像画(日本語で「裸婦、緑の葉と胸像」という意味)。生涯を通して精力的に制作活動を続けてきたピカソであったが、1931年から1932年にかけては特にピカソのライフワークの中でも絶頂期とされ、美術史に大きな価値を残した年とされている。本作は1951年1月にアメリカの慈善家フランシス・ラスカー・ブロディが2万ドル以下(約260万円)で購入し、50年以上個人に所有されていたもので、8人の入札者が争って売却された。(オークション:2010年5月4日クリスティーズ)
12位:ジャン=ミシェル・バスキア
《Untitled》(1982)
落札価格:約143億6,340万円($110,487,500)
ジャン=ミシェル・バスキアは、1988年に27歳という若さで亡くなった20世紀を代表するアーティスト。本作は「頭蓋骨」シリーズの一つで、2017年に前澤友作氏が落札し、バスキアのオークションレコードを更新したことで大きな話題を呼んだ。依然としてバスキアのオークション落札価格歴代トップの作品であり、当時のアメリカ人アーティストの最高落札価格も更新した。(オークション:2017年5月18日)
11位:クロード・モネ
《Meules》(1890)
落札価格:約143億9,700万円($110,747,000)
印象派を代表するフランスの画家クロード・モネによる「積みわら」を描いた作品シリーズの一つ。このシリーズは、フランスのセーヌ川沿いのジヴェルニーにあった自宅に隣接する畑にインスピレーションを得たもので、収穫後の畑に積まれた干し草の山が描かれている。「積みわら」シリーズはモネの作品の中でも最も重要な絵画であり、パリのオルセー美術館、ニューヨークのメトロポリタン美術館、ニューヨーク近代美術館、東京の国立西洋美術館など世界の各美術館が所蔵している。(オークション:2019年5月14日サザビーズ)
10位:パブロ・ピカソ
《Fillette à la corbeille fleuri》(1905)
落札価格:約149億5,000万円($115,000,000)
アメリカの著名コレクター、ペギー&デイヴィッド・ロックフェラーのコレクションが紹介されたクリスティーズオークションに出品された作品。15位の作品と同様に「ばら色の時代」に制作されたもので、日本語で「花のバスケットを持つ少女」という意味。この作品は、おそらくリンダという10代で児童売春していた少女が題材とされている。ピカソは奔放な女性関係を持っていたことでも有名で、ピカソの女性に対する扱いを巡ってスペイン・バルセロナのピカソ美術館の前でデモが行われたこともある。(オークション:2018年5月8日クリスティーズ)
9位:エドヴァルド・ムンク
《The Scream》(1895)
落札価格:約155億9,000万円($119,922,500)
世界で最も知られた作品の一つである《The Scream(叫び)》は、19世紀〜20世紀のノルウェー出身の画家エドヴァルド・ムンクの代表作。本作は、愛と死とそれらがもたらす不安をテーマにして制作した「The Frieze of Life(生命のフリーズ)」シリーズの一作。《The Scream》には、1895年に制作された本作のパステル画のほかにリトグラフ、1893年制作の油彩画とパステル画、1910年制作のテンペラ画の全部で5点の同じ構図で描かれた作品が存在する。(オークション:2012年5月2日サザビーズ)
8位:斉 白石
《山水十二屏》(1925)
落札価格:約183億2,400万円($140,954,580)
斉白石(せいはくせき/1864~1957)は、中国近代絵画の巨匠であり、現代中国で最も人気のある画家の一人。本作は斉白石が現在の北京市の名医と名高かった陳子林に贈ったもの。その後、斉白石の弟子だった夫妻が1950年代に譲り受け、約半世紀もの間保管されていた。12枚で一組の作品で全てに斉白石自作の詩が書かれ、自作の印章が押されている。中国美術品史上最高価格を記録した。(オークション:2017年12月17日ポーリーインターナショナルオークション)
7位:アルベルト・ジャコメッティ
《L’homme au doigt》(1947)
落札価格:約183億6,700万円($141,285,000)
針金のように極端に細く、長く引き伸ばされた人物彫刻で有名なスイスの彫刻家、アルベルト・ジャコメッティ(1901 – 1966)。本作は日本語で《指差す男》という意味で、クリスティーズはこの作品を「稀代の傑作」と称し、彫刻作品としては史上最高額を記録した。ジャコメッティは《指差す男》を7体(うち1体はアーティスト・プルーフ)を制作しており、ニューヨーク近代美術館やロンドンのテートギャラリー、アメリカのデモイン・アートセンターほか財団と個人に所蔵されている。(オークション:2015年11月5日クリスティーズ)
6位:フランシス・ベーコン
《Three Studies of Lucian Freud》(1969)
落札価格:約185億1,265万円($142,405,000)
20世紀最も重要な画家の一人とされるフランシス・ベーコン(1909 – 1992)は、アイルランド生まれのイギリス人具象画家。本作(日本語で「ルシアン・フロイドの三つの習作」)は友人でもあり、ライバルでもあったイギリス人画家ルシアン・フロイドを描いた三連画で、ベーコンの傑作の一つ。写真家のジャン・ディーケンが1964年に撮影したフロイドの写真をもとに制作された。(オークション:2013年12月11日クリスティーズ)
5位:アメデオ・モディリアーニ
《Nu couché (sur le côté gauche)》(1917)
落札価格:約204億3,067万円($157,159,000)
アメデオ・モディリアーニ(1884 – 1920)は、ヌード画やポートレイト画などで知られているイタリアの画家/彫刻家。フィンセント・ファン・ゴッホと同様、若くして亡くなった後に評価が高まった不遇のアーティストでもある。1908年頃から裸婦画を描き始め、22枚の横たわる裸婦像と13枚の座る裸婦像を残している。本作はその一つで、日本語では「横たわる裸婦(体の左側を下にして)」という意味。また、モディリアーニが描いた作品の中で最も大きく(89.5×146.7 cm)、横長のヌードの中で唯一人物全体がキャンバスの中に収まっている作品である。(オークション:2018年5月14日サザビーズ)
4位:アメデオ・モディリアーニ
《Nu couché》(1917-1918)
落札価格:約221億5,265万円($170,405,000)
本作も同じくモディリアーニによる「横たわる裸婦」という作品。モディリアーニが描いた裸婦像には、女性の権力と自律性が高まっていた第一次世界大戦中のパリの新しい女性像(モディリアーニは主にパリで制作していた)が反映されている。モディリアーニは自分と親しい人などを被写体にはせず、報酬を払って雇ったモデルを被写体にしていた。本作は中国の龍美術館が落札した。(オークション:2015年9月11日クリスティーズ)
3位:パブロ・ピカソ
《Les femmes d’Alger (‘O’ Version)》(1955)
落札価格:約233億1,745万円($179,365,000)
出典:https://www.pablopicasso.org/
ピカソの歴代落札価格1位の本作(日本語で「アルジェの女たち(バージョンO)」)は1954年から55年かけて制作された15点の絵画と素描からなるシリーズのうちの一点。「ヴァージョンO」はこのシリーズ最後の作品になり、フランスのロマン主義の画家ウジェーヌ・ドラクロワの《アルジェの女たち》から着想を得ている。2015年の落札時は、当時のアートオークション史上で最高落札価格を記録。現在は、本ランキング2位につけたアンディ・ウォーホルの《Shot Sage Blue Marilyn》に続き、20世紀の絵画で2番目に高い落札価格の作品である。(オークション:2015年11月5日クリスティーズ)
2位:アンディ・ウォーホル
《Shot Sage Blue Marilyn》(1964)
落札価格:約253億5,520万円($195,040,000)
ポップアートの代表格アンディ・ウォーホルの代表的なマリリン・モンローを描いた作品の一つ。本作はウォーホルのオークション落札価格、20世紀の美術品、歴代アメリカ人アーティストの3つの記録を更新した。1964年、ウォーホルのスタジオであるファクトリーを訪ねたドロシー・ポドバーによって、撃たれるという逸話つきの作品である。本作の「Sage Blue(セージブルー)」の他に、赤、オレンジ、ライトブルー、ターコイズも制作されている。落札者はメガディーラーのラリー・ガゴシアン。(オークション:2022年5月9日クリスティーズ)
1位:レオナルド・ダ・ヴィンチ
《Salvator Mundi》(c.1500)
落札価格:約585億4,063万円($450,312,500)
世界で最も高価な美術品は、フィレンツェ共和国(現在のイタリア)のルネサンス期を代表する芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452 – 1519(ユリウス暦))による作品。タイトルの《Salvator Mundi(サルバトール・ムンディ)》は「世界の救世主」という意味で、青いローブを着たイエス・キリストが描かれている。1500年頃に制作されてからイギリス王室の手に渡り、1763年以降は行方不明になっていたが、1900年に発見される。1958年にオークションに出品されるも、複製とされてわずか45ポンドで落札。2005年に美術商が1万ドル足らずで入手して修復された。ダ・ヴィンチの弟子の作品という説があったり、ダ・ヴィンチの真筆だと主張する専門家もいたりと議論が交わされてきた作品である。
落札者は不明とされていたが、現在はサウジアラビア王子ムハンマド・ビン・サルマーンといわれており、クリスティーズでの落札後は一度も一般公開されていない。(オークション:2017年11月15日クリスティーズ)
ANDARTでは、パブロ・ピカソ、アンディ・ウォーホル、ジャン=ミシェル・バスキアを含め国内外の人気アーティストの作品を扱っています。気になる方は是非【取扱い作品一覧】からご覧下さい。無料会員登録でオークションの結果速報やアートニュースもお届けしています。
文:ANDART編集部