教養としての日本酒
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(本記事は、友田 晶子氏の著書『ビジネスエリートが知っている 教養としての日本酒』=あさ出版、2020年10月22日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

料理とお酒をおいしくする「4つのゴールデンルール」

日本酒は料理やおつまみがあってこそ進むものですし、料理やおつまみも日本酒があってこそおいしくなります。

昔は、塩や味噌をなめながらお酒を飲むのがツウなどといわれていたこともありますが、最近は、料理とともに日本酒を楽しむ風潮になってきました。何も食べずに飲むよりも間違いなく健康的です。

お酒と料理をおいしくいただく組み合わせには、「4つのゴールデンルール」があります。

これらを意識することで、よりおいしくお酒をいただくことができます。

1 ハーモニー(同調/相乗効果)

お酒と料理に、同じような「香り」「味わい」「後味」「余韻」「食感」があれば、相乗効果や同調があり、味覚生理的に誰もがおいしいと感じます。

実は、おいしいと感じるほとんどの理由がこれにあたります。ソムリエ試験や唎酒師(ききさけし)試験では、これを基準に講習や試験が行われています。

日本酒でいえば、香りの高いタイプには、白身魚の薄造りにゆずぽん酢醤油が甘酸っぱさの相乗効果でおいしく感じます。モッツァレラチーズとトマトとバジルのサラダ「カプレーゼ」もぴったりです。また、アップルパイやバナナタルトなどのフルーツスイーツにもよく合います。フルーティーさの相乗効果です。

軽快でなめらかタイプには、ほうれん草のおひたしや冷や奴があっさり同士で無理なく同調します。

コクのあるタイプは、お米のうま味がたっぷりなので、鰤(ぶり)大根や肉じゃがなど、うま味たっぷりの料理が合います。乳製品のようなコクとクリーミーさのある生酛造りの純米酒ならば、サーモンのグラタンやカルボナーラとも素敵な相乗効果を生み出します。

熟成タイプには、スパイシーさの同調で、麻婆豆腐や山椒たっぷりのウナギのかば焼きもおいしい組み合わせです。さらに、濃醇で香ばしい甘さを持つ熟成酒には、ドライフルーツやガトー・オ・ショコラ、モンブラン、栗ようかんやどら焼きなど和洋のスイーツがみごとな相乗効果を体験させてくれます。

少し乱暴ではありますが、甘い料理には甘いお酒、酸っぱい料理には酸味のあるお酒、軽くてさっぱりした料理には軽やかなお酒、濃厚で重い料理には濃醇で重いお酒が同調すると覚えておくといいでしょう。

2 マリアージュ(第三の味わい)

ワインと料理の組み合わせを説明するときによく使われるのが「マリアージュ(Mariage)」というフランス語です。意味は「結婚」。ワインと料理の組み合わせをこんな言葉で表現するなんて、フランスは本当におしゃれです。ちなみに、イタリア語でワインと料理の組み合わせのことを「アッビナメント(Abbinamento)」という、「組み合わせ」の意味を持つ言葉で表現します。

マリアージュは、お酒と料理がまったく異なる「香り」「味わい」「後味」「余韻」であるにもかかわらず、口内で一緒になることによって、別の味わいが生まれる状態を指します。他人同士が結婚し、新たな家庭ができ、子どもが生まれる、第三の新たなものが生まれることからのたとえです。

フォワグラのテリーヌにソーテルヌ(フランス、ボルドー産の貴腐ワインで、はちみつのように甘美な天然極甘口の希少ワイン)、または、フランス産のロックフォールやイギリス産のスティルトンなどの青カビチーズにポートワイン(ポルトガルの酒精強化ワインで、濃厚な甘さがある。赤が多い)はその代表例です。

お酒ではありませんが、凝縮した味わいの生ハムにジャムのように甘くなった完熟メロンを組み合わせる「生ハムメロン」も、まさに第三の味わいです。

濃厚で甘い熟成酒に、ピリリと刺激のある青カビチーズやねっとりと凝縮した豆腐の味噌漬けなどを合わせるのは、まさにこのマリアージュ的楽しみかもしれません。

また、日本酒には甘味、うま味の成分がたっぷり含まれていることから、塩辛いものが合います。

ちなみに、甘味や酸味やうま味成分が含まれない焼酎は、甘い味わいと相性がいいです。甘くトロリとした九州産のお醤油で食べるお造りは芋焼酎や麦焼酎がすこぶる合いますし、鹿児島本場のかなり甘い味つけのとんこつ(豚の角煮)やつけ揚げ(さつまあげ)は、薩摩芋焼酎と最高においしい組み合わせです。

お料理と共にいただくことで、より一層、お酒の楽しみ方が深まります。

ここまでの二つのルールは、ワインの世界の概念です。日本酒をあてはめることももちろんできますが、日本人の食文化にはなかった概念であることに変わりありません。

日本では、日本酒とお酒についてどう考えてきたのか、続いて見ていきましょう。

3 料理がおいしくなる

お酒はお料理の邪魔をしない存在。お酒は、料理を引き立て、おいしくするもの、そして、料理のクセや後味を洗い流すものと長年考えられてきました。ゆえに、お酒は淡麗ですっきり辛口、水のごとしがよいとされてきたのです。和食店やお寿司屋さんが、「うちはお料理の邪魔をしないお酒をお出ししております」とおっしゃるのも、そのためです。

現在でこそ、香味の違うさまざまな銘柄を置いているお店はめずらしくありませんが、少し前までは「わが店はこの銘柄一本でやっております」と、メニューに「日本酒」「お燗」「冷酒」としか書いていないお店も少なくなかったのです。

また、料理を食べた後にゴクリと飲むことで、口やのどを潤し、すっきりとさせてくれ、脂やにおいを消し去り、次の料理のひと口をさらにおいしく感じさせてくれる。これもお酒の役割でした。まさに、料理をおいしくする存在だったのです。

4 お酒がおいしくなる

塩味やうま味の強い凝縮した味わいのおつまみ、肴、珍味類などを少量味わい、お酒を飲むと、お酒のおいしさがぐっと引き立ちます。これが4つ目のルールです。

酔うことが目的ともいえるでしょう。ゆえに、お酒と組み合わせるのは決してお腹がふくれる料理ではありません。

塩辛、沖漬け、酒盗、塩雲丹、へしこ、たたみいわし、するめ、ホタルイカ丸干し、おしんこ、お造り全般、枝豆、さきイカ、ナッツ、あられ、ポテトチップなど。お酒をおいしくしてくれる「アテ」との組み合わせになります。

ゴールデンルールに即して、おつまみ、お料理とお酒の組み合わせを選んでいくと、よりおいしく楽しくいただけます。ぜひ、トライしてみてください。

ビジネスエリートが知っている 教養としての日本酒
友田 晶子
ソムリエトータル飲料コンサルタント。日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)理事。SSI INTERNATIONAL国際唎酒師副会長兼広報委員。一般社団法人日本のSAKEとWINEを愛する女性の会代表理事。1200年続く家系で、友田彌五右衛門八代目当主の長女として米どころ酒どころ福井県に生まれる。ファミリーが経営する食品貿易会社に勤務。ワイン輸入販売に携わり、フランス留学を決意。現在、業界30年以上のキャリアと女性らしい感性を活かし、酒と食に関するセミナー・イベントの企画・開催、ホテル旅館・料飲店・酒販店・輸入業者などプロ向けにコンサルティングと研修を行っている。これまでにお酒にまつわる書籍を20冊以上執筆、テレビ、雑誌等メディアでも活躍するほか、スクールで教えてきた生徒数・資格を取得させた人数は延べ12万人にも上る。現在はお酒を通じて女性の教育・活用・社会進出支援に力を入れる一般社団法人日本のSAKEとWINEを愛する女性の会(通称:SAKE女の会)代表理事として活動。会員は2000名にもおよび、業界初のお酒による総合的な“おもてなし力”を問う検定“飲料おもてなし~SAKE女検定”を実施。現役都知事をはじめ、有名人・著名人を引き寄せる“SAKE女の会の求心力”に注目が集まっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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