教養としての日本酒
(画像=Wakko/stock.adobe.com)

(本記事は、友田 晶子氏の著書『ビジネスエリートが知っている 教養としての日本酒』=あさ出版、2020年10月22日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

日本酒は温度でも味わいが変わる

日本酒ほど、さまざまな温度で楽しめるお酒はほかにありません。

冷酒、常温、お燗の3つが基本になりますが、表のとおり、冷酒だけでも4種、お燗だけでも6種類と実に多様です。

ちなみに、温度によって変わる呼び名は、近年、業界関係者の発案によってできたという話なのですが、実に日本らしい情緒のあるネーミングですよね。

幅広い温度で飲める日本酒の魅力を、美しい呼び名とともにもっと世界に広めたいという気持ちになります。

「冷や」が「常温」であることに驚いた人もいるかもしれませんが、これは昔、日本酒をお燗にして飲んでいた時代に、お燗をしたお酒とお燗をしていないお酒を区別するために用いられていた言葉だからです。つまり、「お燗」か「冷や」のどちらかしかなかった時代の名残です。

冷たいお酒は「冷や」と区別して「冷酒」と呼ばれます。

飛び切り燗はとくにヒレ酒や骨酒、カニの甲羅酒を楽しむときの温度です。

ビジネスエリートが知っている 教養としての日本酒

4タイプで見ていきましょう。

1 香りの高いタイプ

10度から15度の花冷えから涼冷えで。白ワインと同じくらいの温度です。

2 軽快でなめらかタイプ

0度から10度のみぞれ酒から花冷えで。ビールがおいしい温度と同じで、爽快にいただけます。

45度以上の上燗、熱燗、飛び切り燗にも向きます。キレのある、引き締まった、飽きないお燗になります。

3 コクのあるタイプ

20度から45度の冷やから上燗で。

お米のうま味が生きているので、おすすめはぬる燗、高くても上燗程度。冷やごはんより炊き立ての温かいごはんがおいしいのと同じです。

ビジネスエリートが知っている 教養としての日本酒
参考 ©日本酒造組合中央会

4 熟成タイプ

10度から15度の花冷えから涼冷えで。冷やすことで少々強めの個性があっても飲みやすくなります。

常温なら熟成感をストレートに味わえます。赤ワインと同じ楽しみ方です。

また、ツウの方ならぬる燗もおすすめ。とろりとした甘さが引き締まって感じられます。

60度近い温度の幅を楽しめる日本酒だけに、まずは基本を押さえ、その後、ご自身の好みの銘柄、好みの温度を見つけていってください。

ビジネスエリートが知っている 教養としての日本酒
友田 晶子
ソムリエトータル飲料コンサルタント。日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)理事。SSI INTERNATIONAL国際唎酒師副会長兼広報委員。一般社団法人日本のSAKEとWINEを愛する女性の会代表理事。1200年続く家系で、友田彌五右衛門八代目当主の長女として米どころ酒どころ福井県に生まれる。ファミリーが経営する食品貿易会社に勤務。ワイン輸入販売に携わり、フランス留学を決意。現在、業界30年以上のキャリアと女性らしい感性を活かし、酒と食に関するセミナー・イベントの企画・開催、ホテル旅館・料飲店・酒販店・輸入業者などプロ向けにコンサルティングと研修を行っている。これまでにお酒にまつわる書籍を20冊以上執筆、テレビ、雑誌等メディアでも活躍するほか、スクールで教えてきた生徒数・資格を取得させた人数は延べ12万人にも上る。現在はお酒を通じて女性の教育・活用・社会進出支援に力を入れる一般社団法人日本のSAKEとWINEを愛する女性の会(通称:SAKE女の会)代表理事として活動。会員は2000名にもおよび、業界初のお酒による総合的な“おもてなし力”を問う検定“飲料おもてなし~SAKE女検定”を実施。現役都知事をはじめ、有名人・著名人を引き寄せる“SAKE女の会の求心力”に注目が集まっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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