矢野経済研究所
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レジャー産業はコロナ禍を契機として拡大した新たなサービス形態の定着が求められる

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のレジャー関連産業を調査し、2020年から2021年のレジャー関連市場の動向を幅広くまとめた。

1.調査結果概要

本調査では、旅行市場から外食市場までの85市場の調査を実施した。一般的にレジャー産業といってもその対象は非常に幅広く、捉え方によっては世の中の全てがレジャーに関連すると言っても過言ではない。本年も国内のレジャー関連産業の動向を取りまとめた。

レジャー関連産業は新型コロナウイルスの感染状況の変化によって繰り返された緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による行動制限の影響を大きく受けたが、密を回避できるキャンプやゴルフ、釣りなどの屋外型レジャーは引き続き好調に推移した。これらのレジャーについては、行動制限が緩和・撤廃されて他の様々なレジャーへの参加条件がコロナ禍以前の状態に戻っていく中で、新たに獲得した参加者を定着させることができるかが重要になる。

2.注目トピック

レジャーへのオンライン参加が拡大、定着には新たな価値の提供が鍵に

スポーツ観戦や音楽ライブ、演劇などの集客型のレジャーは、コロナ禍によるイベントの開催制限、施設の使用制限を受けて大きな打撃を受けたが、オンラインでの観戦・鑑賞が急速に拡大し、新たな参加スタイルが浸透しつつある。

ほぼ無観客で開催された東京五輪は観戦スタイルの変化を促すとともに、新たなコミュニケーションも登場させた。まず、その主役となったのがSNSである。アスリート自らが発信者となり、TikTokやInstagramなどでショート動画を配信、競技の前後や、選手村などでのオフの姿などが数多く伝えられた。また、観戦スタイルの変化として挙げられるのが、ライブストリーミングの拡大である。日本に住む観戦者は、時差がないことで通常の生活時間帯に注目競技が相次いで行われるという、自国開催ならではの悩ましさを抱えた。つまり、今大会では、仕事中や移動中などの時間帯に、いかに競技を楽しむかというのが大きなポイントであった。ネット経由での各種競技の動画は、NHKの「NHK+(プラス)」で同時配信と見逃し配信が実施され、民放テレビ局の「gorin.jp」と「TVer」でも配信が行われた。

また、音楽ライブ市場についてもオンライン対応が大きく進む形となった。オンラインライブの主催者側のメリットは感染リスクを大幅に低減することができることに加え、世界中からの集客が見込めること、「投げ銭」による収益増が期待できることなどである。参加者にとっても、感染リスクを抑えられること、参加料が比較的安価であること、移動の手間がかからないなどのメリットがあり、発展可能性は高い。また、オンラインライブの楽しみはライブ中だけではない。オンラインライブ配信後のコミュニケーションにフォーカスすることで新たな収益を目指す試みも出ている。ライブ前後にアーティストとファンがチャットでやり取りをすることができたり、ライブ後のアフタートークを配信・視聴したりすることができる有料会員向けサービスも登場している。ステージ上では見ることができない様子を見せることで、アーティストはコアなファン層との接点を作り出すことができる。
なお主催者側から見たオンラインライブのデメリットとして、リアルライブに比べて単価が低いことが挙げられるが、オンラインならではのコアファン向けサービスの拡充が新たな収益源の一つになると考えられる。また、イベントの開催制限、施設の使用制限の緩和とともに進んだリアルとオンラインを合わせたハイブリット型のライブ開催では、収益の多様化に期待できる点もメリットとなる。

このように、コロナ禍を受けてのイベントの開催制限、施設の使用制限を機に拡大した集客型レジャーのオンライン参加だが、リアル参加の代替手段としてではなく、市場として定着するためには、単に配信する以上の「オンラインならではの新たな価値の提供」が鍵になると考える。

調査要綱

1.調査期間: 2021年1月~6月
2.調査対象: 国内のレジャー関連産業、運営事業者
3.調査方法: 文献調査ならびに当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)
<レジャー関連市場とは>
本調査では、以下のレジャー関連市場を対象とした。

旅行市場(旅行業者、旅行サイト)旅客輸送市場(航空、鉄道、高速バス、観光・貸切バス、クルーズ、フェリー・旅客航路、レンタカー)、宿泊施設(ホテル・旅館、会員制リゾートクラブ、その他の宿泊施設[公営宿泊施設、民宿・ペンション、ユースホステル、カプセルホテル・ゲストハウス、民泊]、テーマパーク・遊園地、その他のレジャーパーク(ウォーターパーク、ファームパーク・観光農園、フラワーパーク・植物園、インドアプレイグラウンド)、ミュージアム(博物館・美術館・ミュージアム、動物園・水族館、フードテーマパーク)、温浴施設、スポーツ観戦・スポーツイベント、博覧会・文化イベント、家庭用・コンシューマゲーム、アミューズメント施設・業務用ゲーム、パチンコ市場、カラオケ市場、公営ギャンブル市場(中央競馬、地方競馬、競輪、ボートレース、オートレース、宝くじ、スポーツ振興くじ[toto])、ゴルフ場、スキー場、フィットネスクラブ・スポーツクラブ、その他のスポーツ施設(ボウリング場、テニスクラブ、フットサルコート、ビリヤード場、バッティングセンター、クライミングジム)、スポーツ用品市場(ゴルフ用品、スキー・スノーボード用品、テニス用品、野球・ソフトボール用品、サッカー・フットサル用品、アスレチックウエア、スポーツシューズ)、アウトドアスポーツ市場(登山・トレッキング、トレイルランニング、オートキャンプ場、ウォーキング、カヌー・カヤック、アドベンチャーパーク)、マリンスポーツ市場(ヨット・モーターボート、サーフィン・ウインドサーフィン、水上オートバイ、スキューバダイビング・スキンダイビング)、釣り市場、モータースポーツ、スポーツ自転車、ランニング、その他のスポーツ市場(ダンス・バレエ、卓球、バドミントン、スケート、ヨガ、ダーツ、スカイスポーツ、ニュースポーツ)、映画市場 、劇場・ホール・興行、映像ソフト・配信市場、音楽ソフト・配信市場、放送市場、習い事教室市場、ガーデニング・家庭菜園市場、外食産業(ファストフード、ファミリーレストラン、その他)
<市場に含まれる商品・サービス>
同上

出典資料について

資料名2022 レジャー産業白書
発刊日2022年06月29日
体裁B5 972ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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