2021年度の国内クラウドファンディング市場規模は前年度比11.1%減の1,642億円
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2021年度の国内クラウドファンディング市場を調査し、市場規模(新規プロジェクト支援額)、新規支援プロジェクト件数、支援者・投資者数、6類型別や参入企業の動向、将来展望を明らかにした。
国内クラウドファンディングの新規プロジェクト支援額(市場規模)推移
1.市場概況
2021年度の国内クラウドファンディング市場規模は、新規プロジェクト支援額ベースで前年度比11.1%減となる1,642億2,100万円と推計した。
2021年度の市場を6類型別にみると、事業投資型、不動産型、株式型は堅調に増加した。事業投資型ではESG関連などのプロジェクトも起案され、注目度は高まっている。また、不動産型と株式型は法整備が後押しとなって参入企業が増加しており、今後の市場拡大が期待される。
他方、寄付型、購入型、貸付型(ソーシャルレンディング)の3類型では減少した。寄付型および購入型は前年度において新型コロナウイルス関連プロジェクトの支援額が増加した反動で、減少に転じた。また、支援金額では主力となる貸付型は、2017年~2018年頃に複数の貸付型のクラウドファンディング運営企業で行政処分が相次いだことで大幅に減少して以降、低迷が続いている。
2.注目トピック
2021年度の市場規模縮小は一時的な反動に留まる見込み
不動産型のクラウドファンディング運営企業では、2022年4月に上場企業も誕生した。業界成長のためには諸々の課題解決が必要な面もあるが、起案者の量的増加と全国的な広がり、支援者や投資者の支援状況などから、クラウドファンディングのニーズは高く、市場性は高いと見ている。
新型コロナウイルス関連プロジェクトの成約が急増したため、2020年度には一時的に市場規模(新規プロジェクト支援額)が急拡大し、2021年度は市場規模などが減少に転じた。しかし、2021年度も多くの起案者、支援者、投資者を呼び込むことができており、クラウドファンディングのニーズは高く、市場性は高いと見ている。
3.将来展望
2022年度のクラウドファンディング市場は、プロジェクトの大型化傾向がみられる不動産型と一部規制緩和が進んだ株式型は引き続き拡大し、事業投資型と寄付型、購入型も堅調に推移する見込みである。また、これまで減少傾向にあった貸付型は規制強化による業界の健全化・適正化の進展、新規参入効果によって市場が回復すると予測し、2022年度のクラウドファンディング市場規模を前年度比16.3%増の1,909億8,200万円と見込む。
調査要綱
1.調査期間: 2022年4月~6月 2.調査対象: クラウドファンディング運営企業、利用企業等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含)、ならびにeメールによるヒアリング調査併用 |
<クラウドファンディング市場とは> 本調査におけるクラウドファンディングとは、資金を必要とするプロジェクト等がインターネットを介して不特定多数の人々から比較的少額な資金を調達する手段で、「事業投資型」、「不動産型」、「寄付型」、「購入型」、「貸付型(ソーシャルレンディング)」「株式型」の6類型を対象とした。本調査における市場規模は、当該年度一年間の新規プロジェクト支援額から算出したが、ふるさと納税サイトは対象としていない。 ★ご注意:本リリースは、情報提供を目的としており、投資・支援その他の行動を勧誘し、特定企業を推奨するものではありません。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 社会貢献、芸術、イベント、復興、地域創生、新技術・開発、製造・販売等への支援、事業者向け貸付、不動産投資、未上場株式投資 |
出典資料について
資料名 | 2022年版 国内クラウドファンディングの市場動向 |
発刊日 | 2022年07月22日 |
体裁 | A4 176ページ |
価格(税込) | 165,000円 (本体価格 150,000円) |
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