兄弟姉妹,相続トラブル,事例
(写真=ベンチャーサポート法律事務所編集部)

これから身内の相続が起こる可能性が高いという方は、相続対策について検討されていらっしゃるかもしれません。
最近では、昔と違って兄弟姉妹が同じ地域で暮らすということがそれほど多くはなくなってきました。
そんな中で、意外と多いのが兄弟姉妹における相続トラブルです。
今回は、兄弟姉妹に起きやすい相続トラブルの事例についていくつかご紹介をしていきますので、これよりどのような対策を行っていけばよいのかを考える機会にして頂ければと思います。

1. たとえ兄弟姉妹であっても相続トラブルは起こります

相続問題は自分たちにとっては無縁のことではないかと考えていませんか?「うちには関係がないから大丈夫」と考えていると、思いもしなかったところで落とし穴にはまってしまう可能性もありますので十分に注意が必要です。特に、兄弟姉妹は最も身近な関係にある者同士と言えそうですが、この兄弟姉妹における相続トラブルというものも少なくありません。

1-1. 相続トラブルに対処できますか?

相続というものは、これから生きていく中でそれほど多く起こるものではありません。しかしながら、多かれ少なかれ、誰もが経験するようなものと言えるのがこの相続なのです。私たちは相続について本や雑誌などで、どのようなものであるかのイメージについてはある程度認識があるかもしれませんが、いざ実際に体感するとなると想像以上に狼狽してしまい、適切な行動をとることができないということにもなってしまうものです。

相続問題をうまく解決する方法は大きく二つ挙げられるでしょう。

 (1)相続で問題となった事例はどのようなものであるのかについて把握しておくこと
 (2)相続が生じた際に、法律専門家に相談を行うこと

これについて以下に解説をしていきますので、最後までお読みいただければ幸いです。

2. 相続で問題となった事例をいくつかご紹介します

これから生じる相続問題を円満に乗り切るためには、すでに起こった相続問題の事例についていくつか確認をすることで、どのような対処法が有効であるのかイメージをすることができることでしょう。

2-1. 親の世話をしていた兄弟姉妹がいる場合

例えば、あなたに姉と妹がいたとします。あなたが地元から東京に就職して以来、ずっと東京で暮らしていたとしましょう。その間、ご両親の世話をしてきたのは姉と妹であるときに、両親が亡くなった相続手続きにおいて、あなたが今までご両親の世話をしてこなかったことを理由に、相続をする権利がないと言われたらどうでしょうか?

このようなケースにおいて検討されるのは、民法の寄与分という制度です。これは、被相続人の療養看護その他被相続人の財産の維持又は増加について特別に寄与をした者に認められ、通常の相続割合に対してプラスして評価されることになります。つまり、被相続人であるご両親のお世話をしていなかったからといって、特定の相続人の相続分を奪うような権利ではないということです。また、この寄与分の具体的な割合を決める方法としても、原則として相続人同士の話し合いによって行われるものであり、ある相続人から一方的に決定されるものでもありません。万が一、話し合いで決定されることがなければ、家庭裁判所に対して申し立てを行い、決められることになります。

しかしながら、上記ケースにおいて、仮にあなたが姉と妹の主張を素直に認めてしまうと、これをそれ以降やはり自分にも相続分があるのだから財産を譲ってほしいと主張しても簡単な手続きとして進まないことになってしまいます。この場合、相続に関する紛争が予想されますので、弁護士に依頼をして紛争解決の道を検討しなければいけないことになります。また、上記ケースでは相続人がお世話をしていた実家の相続人の立場をうまく尊重しながら交渉をすることが求められますので、少しでも難しいと感じた場合には迷わず弁護士に相談をするのが良いでしょう。

2-2. 連絡が取れない兄弟姉妹を含んだ相続手続きをする場合

家を出ていってしまって、長らく連絡を取っていないような関係の兄弟姉妹がいる場合には、相続手続きをするときに少々苦労することになります。たとえば、連絡を取ることができない兄弟姉妹が相続人の一人であった場合に、その方を抜きにして相続手続きを進めてしまった場合にどのような問題があるのか考えてみましょう。

もし仮に、上記ケースにおいて連絡の取り合えた相続人だけで遺産分割協議をしてしまい、各種財産の名義変更の手続きを申請してしまったとしましょう。ところが、ここで厄介な問題があるのですが、遺産分割協議は相続人全員で行わなければいけないことになっています。つまり、連絡が取れなかった相続人をのけ者にして、自分たちだけで遺産分割をしてはいけないというルールになっていますので、後から連絡の取れなかった相続人より「それはおかしい」と言われた際には、もう一度遺産分割協議をやり直さなければいけないことになってしまいます。

よって、このようなややこしいケースでは、基本的に法律専門家に依頼することが賢明であると考えられます。この場合には、相続人調査の手続きをかける必要があるのですが、素人ではなかなかうまく確認することができない可能性もあります。万一、勝手に相続手続きを進めてしまったとなると、おそらく連絡の取れなかった相続人は多少なりとも憤慨されるはずです。そうなると、兄弟間の関係を上手く取り持って遺産分割協議を進めることが困難になってしまいますので、以降の手続きを穏便に済ませるためにも弁護士を活用することを検討しましょう。

2-3. 兄弟姉妹の配偶者が相続分を要求してきた場合

相続が生じた場合には、その相続分を分配される権限は法定相続人にあります。しかしながら、場合によっては、この法定相続人の配偶者が法定相続人のもらい受ける相続分に対して口をはさんでくることが考えられます。この場合にはどのようにして対処すればよいのでしょか?

法律のルールに則ると、相続分をもらい受ける権利はあくまで相続人にあるのであって、相続人の配偶者にあるわけではありません。これは事実ではありますが、現実的には相続人が相続分をもらうということは自分の家庭にお金が入るということになりますから、配偶者も口をはさんで少しでも多く貰えるように入ってくることもあります。このような場合には、法律のルールを説明することが一般的な解決方法ですが、あまりにも配偶者の方が強い要求を頑固にしてこられる場合には、相続人同士の関係も悪くなってしまいますので、弁護士に相談して間に入ってもらうことが妥当な解決策と言えるでしょう。

弁護士がこのようなケースに対する対応としては、遺産分割協議についてあなたを代理して手続きに入ってもらうことができます。これにより、あなたが直接的に強い要求をされる配偶者の方とかかわりを持つことなく、相続手続きを終了させることができます。また、弁護士が参入することで、主張すべきポイントはきちんと主張を通すことができ、また兄弟間の関係もそれほど悪化することなく終えることができるようになるでしょう。

3. 相続問題の解決は、法律専門家に相談しましょう

上記のように、兄弟姉妹という身近な関係で生じる相続問題と言っても決して安心することはできません。兄弟姉妹であれば仲が良いのだから問題ないと考えるのは早とちりである可能性が高いということです。もちろん、普段から綿密にコミュニケーションをとっている関係であれば、多少のトラブルは解決できるでしょうが、最後に取り扱ったケースのように、兄弟姉妹の周りの人が口をはさんでしまい、ややこしいトラブルに発展する可能性がないわけではないということを肝に銘じておきましょう。

仲の良い関係が自分のちょっとした言動で悪くなってしまうのは悲しいものです。そんなときは相続トラブルの専門家である弁護士に任せてみることも考えてみてはいかがでしょうか?弁護士に相談をすると、そのような人間関係に関するトラブルを多く経験されていますので、プロとしてのノウハウから、酷い争いごとに発展する可能性は極めて低いといえるかもしれません。

4. まとめ

今回は兄弟間に見られる問題事例についていくつかご紹介をしてきましたが、どれか一つでもご自身に当てはまりそうなケースがありましたでしょうか?もしそうであれば、その問題は何も対策をしないときっと将来起こりうるということになりますので、今からご自身でできることを行い、最悪の場合にはしっかりと弁護士に手続きを依頼するという準備をするようにしましょう。(提供:ベンチャーサポート法律事務所