NTTとKDDI、ソフトバンク 平均年収がいちばん高いのは?
(画像=Koshiro/stock.adobe.com)

コロナ禍で苦しむ企業もあれば追い風となり売り上げを伸ばした企業もある。5G元年といわれた2020年から2年、通信業界はコロナ禍の中どう動いたのだろうか。大手通信3社「NTT」「KDDI」「ソフトバンク」の平均年収を比較、分析してみた。

NTTの平均年収は930万円

NTT(日本電信電話株式会社)は「日本電信電話公社」から1985年4月1日に民営化された。1999年7月1日には、NTTを純粋持株会社としてグループ再編が行われ、以下のようなグループ会社へと変更されている。

  • NTT(日本電信電話株式会社)
  • NTT東日本(東日本電信電話株式会社)
  • NTT西日本(西日本電信電話株式会社)
  • NTTコミュニケーションズ(エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社)

持株会社の「NTT」のグループに、NTT東日本・西日本などは含まれていない。ここでは、持株会社のNTTについて紹介する。

NTTの基本情報

NTTの基本情報は、次の通り。

NTTとKDDI、ソフトバンク 平均年収がいちばん高いのは?

NTTの平均年収は日本全体の平均年収の2倍以上!

NTTの平均年収は1,000万円を超えていないものの、高水準だ。国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、2020年における給与所得者の平均年収は433万円。つまり、NTTの平均年収は、国民の平均年収の2倍以上もあることになる。

KDDIの平均年収は948万円

次にKDDIについて見ていこう。KDDIは、2000年10月に当時の「DDI」「KDD」「IDO」が合併し発足した会社だ。同年11月にセルラーグループ7社が合併し株式会社エーユーが発足。2001年4月には、KDDI株式会社に社名変更している。KDDIのグループ会社には、以下のような幅広い分野の会社があるのが特徴だ。

  • 金融機関:auカブコム証券株式会社、auじぶん銀行株式会社など
  • ケーブルテレビ事業:JCOM株式会社など
  • 通販事業:ジュピターショップチャンネル株式会社など

KDDIの基本情報

KDDIの基本情報は、以下の通り。

NTTとKDDI、ソフトバンク 平均年収がいちばん高いのは?

NTTより高い! KDDIの平均年収

KDDIの平均年収は948万円。NTTの930万円よりも18万円ほど高くなっている。これは、グループ会社の中に比較的平均年収が高いとされる金融関連企業が複数含まれていることも理由のひとつだろう。

ソフトバンクの平均年収は820万円

ソフトバンクは、1981年9月「株式会社日本ソフトバンク」という社名でパソコン用パッケージソフトの流通事業を開始。1982年には出版事業も開始している。1994年に株式を店頭公開。調達した200億円を原資として米国で大型買収なども行っている。

1996年には、米国Yahoo!Incとの共同出資で日本法人のヤフー株式会社を設立。2004年に日本テレコムの株式を買収し固定通信事業に参入した。2006年にボーダフォン株式会社の株式を公開買い付けなどで取得し子会社化、移動通信事業にも参入。2022年現在は、携帯電話会社のイメージが強いかもしれない。

ソフトバンクの基本情報

ソフトバンクの基本情報は、以下の通り。

NTTとKDDI、ソフトバンク 平均年収がいちばん高いのは?

他の2社より平均年収は低いが、従業員は多いソフトバンク

ソフトバンクの平均年収は、820万円とNTTやKDDIよりも低め。しかし人員は1万8,173人と他の2社よりも多くなっている。ソフトバンクの沿革を確認すると分かる通り、同社はいくつもの会社を合併して規模を拡大している会社だ。合併の過程で以前の会社の従業員がそのままソフトバンクの社員となることも人員が多くなる理由だろう。

通信大手3社の業績

通信大手3社の業績についても確認してみよう。各社の当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)の営業利益は以下の通り。

NTTとKDDI、ソフトバンク 平均年収がいちばん高いのは?

日本だけでなく世界全体もコロナ禍に見舞われた。しかし、大手3社の本業での利益を示す営業利益は増加傾向だ。しかし、必ずしも安定要因ばかりではない。近年参入が相次ぐ「格安スマホ」の影響を受ける可能性も考慮する必要がある。

平均年収が高い大手通信3社は営業利益増! 今後の動きに注目

大手通信3社の平均年収を紹介した。3社とも800万~900万円と、日本全体の平均年収433万円と比較すると非常に高い数字だ。3社の平均年収を比較するとKDDIがトップ、次いでNTT、ソフトバンクと続く。KDDIの給与が高いのは、比較的高額な金融業界のグループ会社が多い点も影響しているのだろう。

高いレベルの平均年収をキープする大手通信3社は、コロナ禍、そして浸透しつつある格安スマホの流れを受け、この勢いを保ち続けることができるのか、今後に注目したい。

著:田尻 宏子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。証券外務員第一種資格保有。証券会社・生命保険会社・銀行等複数の金融機関勤務の後、2016年末からライターとして活動を開始。株式投資・生命保険の加入や見直し・クレジットカードの解説記事や家計管理についての記事、金融用語解説などの分野を中心に多数執筆。また、学生時代に取得した博物館学芸員資格をもとに日本各地の文化・歴史についての記事も執筆する。「とっつきにくい金融情報を分かりやすく正確に読者にお伝えする」「どんな分野でも誰もが読みやすい記事を書く」をモットーとする。
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