フードテックの進展に伴い、買物や調理の「時短」といった利便性が向上するだけでなく、個人の健康状態や嗜好に合わせて食事を最適化するパーソナルミールソリューションが可能に
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のパーソナルミールソリューション市場を調査し、セグメント別の市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
パーソナルミールソリューションの市場規模予測
1.市場概況
ライフスタイルが多様化するなかで、その中心にある「食」についても “パーソナライズ” が進んでいる。フードテック(フードとテクノロジーを融合させた技術)の進展に伴い、買物や調理の「時短」といった利便性が向上するだけでなく、個人の健康状態や嗜好に合わせて食事を最適化する、パーソナルミールソリューションが可能になりつつある。
パーソナルミールソリューションを実現する、パーソナライズフードや献立(レシピ)提案アプリ、スマートキッチン家電はいずれも市場が立ち上がって間もないことから参入プレーヤーが少なく、現時点では対象となる商品やサービスも限定的ではあるものの、新しいテクノロジーへの関心や社会貢献意識が高いとされる若年層を中心に支持が高まっている。
パーソナライズフード、献立(レシピ)提案アプリ、スマートキッチン家電、フードデリバリーサービスの4市場から構成される、2020年度のパーソナルミールソリューション市場規模は事業者売上高ベースで390億2,000万円と推計した。
2.注目トピック
キッチンテックでつながる新しい料理体験(話題の海外動向)
「キッチンテック」という言葉を最近よく耳にするようになったが、その周辺ではフードテックやフードテックOS、キッチンOS、スマートキッチン、コネクテッドキッチン、スマート家電など、キッチンでの活動のみならず、食に関わるあらゆる分野をインターネットに接続し、AIや最新のテクノロジーで人や企業をコネクトして支援する新しい展開を表す言葉が多く生まれている。
欧米で人気のあるキッチンテックプラットフォームは、家庭で料理をする消費者の強い味方になるばかりでなく、スーパーや食料品店などの食品小売業者や食品・食材メーカー、そしてスマート家電メーカーにとっても消費者と直接つながり、その消費者にパーソナライズしたマーケティング・製品情報を届けられるという恩恵がある。
また、イノベーションが豊富で最新のテクノロジーを持つプラットフォーマー企業と組むことで、消費者に “デジタルファースト” の印象を与え、それが自社のブランドの強化や売り上げの拡大につながると考えている。
3.将来展望
パーソナルミールソリューション市場では、先行する欧米の動向と同様に、今後は献立(レシピ)提案アプリとスマートキッチン家電、生協やネットスーパーなどのフードデリバリーサービスの連携が進み、日本版キッチンテックプラットフォームの構築に向けた動きが加速すると考える。さらに、コロナ禍を契機としたライフスタイルの変化や多様化が後押ししていることもあり、パーソナライズフード企業の参入が各カテゴリーの競争を激化させるというよりも市場全体を拡大させるとの見方が強い。
パーソナルミールソリューションの市場規模は2025年度には1,484億円に急成長し、2030年度には2,740億円まで拡大すると予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2021年11月~2022年2月 2.調査対象: パーソナライズフードメーカー及び販売業者、献立(レシピ)提案アプリサービス事業者、スマートキッチン家電メーカー及び販売業者、フードデリバリーサービス事業者等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング調査、ならびにアンケート調査併用 |
<パーソナルミールソリューション市場とは> 本調査におけるパーソナルミールソリューション市場は、パーソナライズフード市場、献立(レシピ)提案アプリ市場、スマートキッチン家電市場、フードデリバリーサービス市場の4市場を対象とし、いずれも事業者売上高ベースで算出した。 <パーソナライズフード市場とは> パーソナライズフードは、顧客の趣味・嗜好やライフスタイル、体質、アレルギー、健康状態、改善目標(ダイエットやボディメイク等)などに合わせて、個別最適化した食品や飲料を提案・提供するサービスである。 本調査におけるパーソナライズフード市場は基本的に調理・加工済みで、そのまま食べる(飲む)ことができる(喫食にあたって温める、水を加える等の簡単な作業を必要とするものは含む)ものを対象として、サービス事業者売上高ベースで算出した。なお、ホール(素材のまま)の生鮮食品や調理・加工を必要とする食材、健康食品、ペットフード等は含まない。 <献立(レシピ)提案アプリとは> 献立(レシピ)提案アプリは、AI技術を駆使し、主としてスマートフォンのアプリを活用してユーザーに最適な食事の献立(レシピ)を提案するサービスである。 <スマートキッチン家電とは> スマートキッチン家電は、インターネットに接続するキッチン家電(冷蔵庫、オーブンレンジ、IHヒーター等)で、AIや最新のテクノロジーにより自動調理の実現が期待されている。 <フードデリバリーサービス市場とは> 本調査におけるフードデリバリーサービス市場とは、主に高齢者を対象としてカロリーや塩分を調整した食事を配達する在宅配食サービス、献立に合わせた人数分の食材セットや調理済み食品を届ける食材(惣菜)宅配、生協(個配)、ネットスーパーを対象として、事業者売上高ベースで算出した。 |
<市場に含まれる商品・サービス> パーソナライズフード、献立(レシピ)提案アプリ、スマートキッチン家電、フードデリバリーサービス(在宅配食、食材宅配、生協個配、ネットスーパー) |
出典資料について
資料名 | 2022年版 パーソナルミールソリューション市場の展望 ~健康や嗜好に合わせて個別最適化する食ビジネスの新たな潮流~ |
発刊日 | 2022年02月28日 |
体裁 | A4 219ページ |
価格(税込) | 198,000円 (本体価格 180,000円) |
お問い合わせ先
部署 | マーケティング本部 広報チーム |
住所 | 〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2 |
電話番号 | 03-5371-6912 |
メールアドレス | press@yano.co.jp |
©2022 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。