サンデン・リテールシステム「ど冷えもん」
(画像=サンデン・リテールシステム「ど冷えもん」)

2021年の冷凍食品市場は、例年とは違った動きを見せた。特に市販用は、高単価の商品が支持され、ネット通販などを中心に売上を伸ばしている。これまで市販の冷凍食品は主婦から多く支持されていた。しかし、コロナ禍を経て今までとは違なる利用者の姿も見られる。

日本冷凍食品協会によると、2020年の市販用冷凍食品の国内生産量は工場出荷ベースで前年比18.5%増の3,748億円となった。一方、業務用冷凍食品は外食やホテルなどの需要減で14.1%減の3,278億円となり、統計開始から初めて家庭用の金額が業務用を上回った。

2021年の冷凍食品市場も前年を上回る見込みで、生産量は前年比2〜3%増の158〜160万トンを見込む。業界関係者からは「2020年に大きく売上を伸ばしたため、2021年は反動で落ち込むと考えていた。しかし、前年を上回る推移だった」との声もあった。

新型コロナウイルスのまん延から、市販の冷凍食品への注目度は高まり続けている。

これまで冷凍食品を使ったことがない、あるいはネガティブなイメージを抱いていた人たちが、2020年に冷凍食品を初めて利用し、印象が変わった人も少なくない。メーカーに聞くと、リピーターも増加しているという。

2021年からはネット通販を中心に高単価の冷凍商品が市場に出回り始めている。外出を制限されていたため、ご当地グルメや名産品などの引き合いは高まった。あるホテルでは、百貨店の会員向けギフトとして10万円の冷凍食品セットを販売したところ、完売になったという。

経済産業省が公表した「令和2年度 電子商取引に関する市場調査」によると、2020年の国内EC市場(物販)は伸長率21.7%増の12兆2,333億円だった。総務省統計局の「総務省統計局『ネットショッピングの支出額の推移』の2021年1〜7月分を見ても、2020年をすべての月で上回っている。

また、外食企業が新たな売り先を求めて、冷凍商品の販売に着手するという動きもあった。小規模な店舗では営業が行えない店舗もあったため、ECサイトなどで自店の冷凍商品の販売を行っていた。

この動きを加速させたのが、サンデン・リテールシステムが開発した冷凍自販機「ど冷えもん」だ。2020年1月末から提案を開始し、9月末時点で1,000台以上が導入された。こうした製品では異例のヒットとなったという。この冷凍自販機を活用して、丸山製麺では「ヌードルツアーズ」という取り組みを始めた。加盟したラーメン店の商品を自販機とECサイトで取り扱っている。自販機は現在62カ所に設置されている。

冷凍ラーメンの通販サイト「宅麺.com」(運営はグルメイノベーション)でも、2021年の販売食数は2019年比で約3.7倍の73万9,538食を見込む。

外食大手でも冷凍商品の提案に力を注ぎ始めている。大手ファミリレストランチェーンでは、自社ECサイトに加えて、実店舗でも冷凍商品の販売を行っている。セブン&アイ・フードシステムズで展開の「デニーズ」では、家庭用の店頭販売商品「おうちデニーズ」を実施している。カレーやデミグラスハンバーグなどを取りそろえる。サイゼリヤでも、辛味チキンなどを冷凍状態での発売を開始している。

また、予約困難店やミシュランを獲得した店の料理を冷凍で販売するサイトや、特殊冷凍機器で凍らせた商品だけを扱う専門店、各地のパンを集めて冷凍で販売する店舗なども登場している。フードロス削減の観点からも、冷凍への引き合いは強まっている。

順調な動きを見せる冷凍食品市場。しかし、コロナ収束後は再び外食に需要は戻るとの意見もあった。加えて、消費者のデフレ志向も見えつつあるとの声も聞こえてくる。先行きは不明瞭だ。

〈冷食日報2021年12月28日付〉