昭和産業は11月29日、都内で2022年3月期第2四半期決算説明会を開催し、新妻一彦社長が上期を振り返るとともに、下期の見通しと中期経営計画2022の進捗について説明した。
上期については、「売上高はボーソー油脂とサンエイ糖化の子会社や価格改定の実施で増収となったが、営業・経常利益は新型コロナの影響の継続や、原料穀物相場の急激な高騰による原価の大幅な上昇などにより減益となった」と振り返った。
営業利益は全体で前年同期から17億円の減益となった。原料穀物相場の高騰により、原価は146億円上昇となったが、「このマイナス分を販売価格の118億円増ではカバーしきれなかった」と説明した。
油脂食品事業は、ボーソー油脂の新規連結によるプラス要因があったものの、急激な原料コスト上昇を価格改定でカバーしきれず、前年同期から18億円減となる営業損失1億円となった。価格改定の進捗について触れ、「原料価格は依然として高値で推移しており、油脂製品は4度にわたる価格改定を発表した。油脂食品事業では価格改定を最優先で取り組み、徐々に成果も出ているが、現段階では急激な原料コストの上昇をカバーするには至っていない状況だ。引き続き、原料事情について丁寧な説明を粘り強く継続し、適正価格の販売に努めていく」とした。
通期の業績予想は、5月末に発表した数字から変更はない。売上高は価格改定効果と子会社化したボーソー油脂、サンエイ糖化が通年で業績寄与することで増収を見込む。営業利益は、コンビニ向け焼成パン事業の収益構造改革の進展、価格改定による適正価格での販売の徹底、ワクチン接種率の進展などを受けた外食や土産などの業務用の需要回復を見込み、増益を計画している。
そのうち、油脂事業は営業利益21億円を計画している。「3月、6月、8月と、3回までの価格改定は、ほぼ浸透したと思っている。現在は11月の価格改定が佳境を迎えている状況だ。新型コロナの影響もあり市場環境は厳しいが、丁寧な説明を行い、何とか11月の価格改定も目指すところに着地させたい。第3四半期以降は新型コロナが落ち着き、リベンジ消費が起きることも期待している。これからの市場環境の変化と価格改定の進捗を見守りながら、営業利益21億円に向けて、全社一丸で取り組んでいきたい。併せて植物由来食品の新製品の販売、プレミックスなどの販売を強化しながら一体となって提案型営業を推進し、収益改善に取り組んでいく」と語った。
中計の油脂食品事業における進捗状況として、ボーソー油脂との取り組みについては、「2020年9月に子会社化し、2021年は通年での業績貢献となる。引き続きシナジーを最大限に発揮することで、両社の商材と販路を活用したクロスセルや、物流・販売コスト削減を進めている」とした。
家庭用では2020年に発売した600gの「健康こめ油」が好調だったことから、2021年9月に1,000gの大容量を発売した。「ボーソー油脂は今期も黒字化を実現し、当社グループにとって強力なパートナー企業となる見込み」と述べた。
植物由来食品の開発・販売強化については、「上期の売上実績は10億円となった。新たな健康訴求商品として、大豆胚芽そのものの風味と形状を生かした新素材『大豆Hi芽』を開発した。イソフラボンやオリゴ糖を豊富に含み、ご飯やパン、菓子、冷食などさまざまな用途に使用でき、すでに提案している。引き続き健康をキーワードに開発に取り組んでいく」とした。
〈大豆油糧日報2021年12月1日付〉