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経営者の死亡や体調不良等に起因する「後継者難倒産」が社会問題になりつつあります。
東京商工リサーチが公表したレポートによると、2021年上半期(4-9月)の後継者難倒産件数は181件に上り、2年連続で前年同期を上回りました。
今年上半期の倒産件数2,937件に占める割合は6.1%となり、比率は年々高まっています。
コロナ禍における活況な政府の補助金と金融機関の融資により、倒産件数は低水準で推移していますが、「後継者難倒産」は増加し、事業承継問題が改めて経営課題として浮かび上がります。

後継者難倒産のTOPは「死亡」が原因

後継者難倒産は東京商工リサーチが2013年から調査を始め、負債額1,000万円以上の企業が対象となっています。
内訳は代表者などの「死亡」が100件(前年同期比28.2%増、前年同期78件)と最多で半数以上を占め、52件の「体調不良」が28.7%、19件の「高齢」が10.5%で続きました。

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産業別では10産業のうち、増加が4産業、減少が4産業となりました。
最多は建設業(前年同期比5.5%増)とサービス業他(同22.5%増)の38件。建設業の内訳では建築工事業10件、木造建築工事業5件、内装工事業5件が前年同期比から増加しました。サービス業他では建築設計業と美容業がそれぞれ4件、広告業、旅行業、歯科診療所が2件ずつとなりました。

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高齢化で事業リスク大、後継者問題は外部の協力が必要

倒産の形態別では、破産が164件で「後継者難」倒産に占める構成比は最多の90.6%で、調査を開始した2013年以降で初めて9割を超えました。特別清算を合わせた合計173件はほとんどが消滅型の倒産となりました。

経営者が経理や営業など経営全般を担っている中小企業は多く、コロナ禍で業績回復も遅れ、後継者育成や事業承継への準備まで手が回っていない状況が考えられます。
東京商工リサーチは「代表者の高齢化は深刻で、事業へのリスクが高まっている。中小企業の後継者不足は個別企業の問題だけではなく、地域経済の衰退を招く恐れもあり、外部の協力も必要になっている」と指摘しています。

引用:東京商工リサーチ「後継者難倒産が9年間で最多の181件、事業承継が急務に」
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20211008_03.html

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