M&Aコラム
(画像=alphaspirit/stock.adobe.com)

現在、ビジネスでは当たり前のように使われる「アライアンス」という言葉ですが、詳しく説明できる方は少ないのではないでしょうか。本記事ではアライアンスに焦点を当てて、詳しくご説明します。

アライアンスの意味と概要

アライアンス(alliance)は日本語にすると、「同盟・連合・提携・縁組」と訳されます。ビジネスの場面では、一般的に「業務提携」「戦略的同盟」といった意味で用いられます。より具体的にいうと、業務提携をする経営スタイルのことを指します。
業務提携とは、企業が共同で事業を行うことです。業務提携をした企業同士が資金や技術、人材などの経営資源を提供しあってシナジー効果を得ることにより、競争力を確保できます。業務提携を行う目的はさまざまですが、新規事業への進出や販売力・技術力の強化などが主な目的です。

業務提携や協力という意味で、以下のような用いられます。

  • 「海外企業とのアライアンスに積極的な企業が増えた」
  • 「技術を向上させるためA社とアライアンスを組む」
  • 「アライアンス企業を募る」
  • 「事前に企業文化を共有していなかったためアライアンスがうまくいかなかった」

アライアンスは以下の言葉と言い換えることもあります。
「同盟」「提携」「連合」「協力」「協定」「協業」「縁組」

アライアンスの種類

前述の通り、ビジネス用語として「業務提携」という意味で使われることが多いアライアンスですが、そのほかにも種類がありますので、ぜひ参考にしてください。

業務提携

業務提携とは、複数の企業が技術・人材などの経営資源を出しあって、協力体制を築くことです。業務提携をすることで複数の企業が技術やノウハウを共有し、さらに高めることによって競争力が向上します。業務提携は、お互いの発展のために行う施策です。

資本提携

資本提携とは、複数の会社が業務面や資金面で協力する体制を作るための提携です。具体的には、それぞれの企業がお互いの株式を持ち合う、あるいは一方の会社が提携先の株式を取得することで提携関係を構築します。
株式を取得することによって技術面だけでなく資金面でも協力するので、より密接な提携になります。ただし資本提携はM&Aではありません。経営への影響を最小限にするために、株式持分の比率を1/3未満にするのが一般的です。

技術提携

技術提携は業務提携の一種であり、技術分野に特化した提携のことです。 具体的には、特許やノウハウのライセンス契約、新技術・新製品の共同研究開発契約などがあります。

産学連携

産学連携とは、新事業や研究開発を共同して行うことを目的として、大学などの教育機関や研究機関と民間企業が連携することです。産学連携の代表的な成果としては、青色発光ダイオードなどが有名です。

オープンイノベーション

オープンイノベーションとは、自社以外の他社の研究機関などから技術のノウハウを取り入れる、経営戦略の一つです。自社だけでなく他社から新しい意見や知恵を活用していくことで、イノベーションの創出につなげられる可能性があります。
最近ではトヨタ自動車やソフトバンクグループなど、日本を代表する企業もオープンイノベーションに力を入れており、今後もさらなる広がりが期待できるでしょう。

アライアンスとM&Aの違い

まず、それぞれの言葉が指す意味を見てみましょう。

  • アライアンス:業務提携・資本提携・技術提携など
  • M&A:買収・分割・合併など

アライアンスを「業務提携」という面で見ていくと前述の通り、企業同士が、新規事業への進出や販売力・技術力強化など互いの目的の達成のために、資金や技術、人材などの経営資源を提供し合い協力することです。
一方、M&Aは、代表的な手法である株式譲渡により譲渡企業(売り手)が保有している株式を譲受企業(買い手)譲渡し会社の経営権を譲受側に譲り渡します。

アライアンスとM&Aの決定的な違いは経営権の移転の有無、つまり企業の独立性を保てるかどうかという点に違いがあります。解消という点ではM&Aに比べてアライアンスは比較的しやすいと言えますが、ノウハウや技術が流出する可能性がある点は注意が必要です。

アライアンスを用いたビジネス用語

「アライアンス」を用いたビジネス用語についてよく用いられる3つをご紹介します。

使用例①:アライアンス契約

アライアンス契約とは、複数の異なる企業が技術や人材、資本などの経営資源を出しあい、事業のさらなる成長や競争力を確保するために交わす契約のことです。アライアンス契約を結ぶことによって、技術やノウハウの共有ができ、さらなる発展を目指せます。その結果、競争力を上げることにも役に立つでしょう。また、新規事業の立ち上げを協力して行えるようになり、アライアンス契約を結んだ企業はともに成長できます。

アライアンス契約は自由度が高く、比較的簡単に解消することが可能です。ただし、せっかくアライアンス契約を結ぶのであれば、うまく機能することに越したことはありません。アライアンス契約を結ぶ際は、事前に契約内容について細かく定めてから行うようにしましょう。

使用例②:アライアンス事業

アライアンス事業とは、アライアンス契約を結んだほかの会社と共同で行う事業のことです。アライアンス事業は、既存の事業をさらに発展させる目的があります。また、ほかの会社とともに新規事業に取り組む場合もあります。

使用例③:アライアンスパートナー

アライアンスパートナーとは、アライアンス契約を結んだ企業のことです。アライアンスパートナーと組み、技術の共有や人材の交流を行うことにより、さらなる自社の成長が期待できます。
アライアンスパートナーから新しい技術の習得も期待できるうえに、人材の交流によって新たな刺激を受け、社員のモチベーションを上げられるしょう。自社の発展には最適なアライアンスパートナーの選定が肝要となります。

終わりに

今回は、アライアンスについて詳しくご説明しました。ご紹介の通り、ビジネスの場面では主に業務提携や戦略的同盟という意味で用いられます。よく似た意味として捉えられるM&Aですが、企業の独立性という面では大きく異なります。混同されやすいので、違いについてしっかり理解しておきましょう。今やアライアンスはビジネスだけでなく、日常生活でも普通に使われる場面があるので、用語の理解を深めるために、ぜひ本記事を参考になさってください。

無料会員登録はこちら