M&Aコラム
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コロナ禍で苦境に立たされているホテル・旅館の休廃業と解散が止まりません。帝国データバンクの全国企業「休廃業・解散」動向調査(2021年10月14日公表)によると、観光関連の休廃業・解散が2020年から大幅に増加しており、ホテル・旅館は2021年1月から9月末までに143件に上り、すでに2020年の1年間を超えて過去10年間で最多件数となりました。2008年のリーマン・ショックに次ぐハイペースで推移しています。全業種では41,761件(前年同期比3・7%減)となり、減少こそしたものの下げ止まりの傾向が見られる結果となりました。

2021年の休廃業・解散件数は5万5千件前後と推計

調査は帝国データバンクが保有する企業データベースなどを元に集計し、個人事業主も含まれています。国による補助金や金融機関による活発な資金供給で、倒産件数は4,534件(前年同期比25%減)と大幅に抑えられている一方で、休廃業・解散件数は微減にとどまり、2021年末までの1年間に55,500~56,000件程度になると推計しています。

業種別では前年同期比で運輸・通信業(531件)、サービス業(5,400件)、不動産業(1,345件)の3業種で増加しました。対してスーパーマーケットなど小売業(2,913件)は前年同期比で1割以上減少し、全体を押し下げる要因となりました。

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先行き不安で休廃業を選択か

全国で緊急事態宣言が解除され、飲食店や小売業、エンタメ産業などで今まで抑制されていた需要の反動が広がり、積極的な事業展開をする企業も出てきています。しかしながら新型コロナウイルスが蔓延した2020年当初から生活様式の変化し、コロナ禍前の売上規模を回復できない業種と企業も少なくありません。すでに宿泊業や旅行業など観光関連産業では、赤字が膨らむ前に事業をたたむ休廃業が2020年を超えており、先行き不安の懸念から、さらに動向を注視する必要性を指摘しています。

引用:帝国データバンク 全国企業「休廃業・解散」動向調査
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p211004.html

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