個人事業、法人を問わず、事業が拡大するにつれて内部管理体制の整備が必要だ。社会保険や契約書などのほか、会計もそれなりの体制を整えることが求められる。その際に重要になるのが会計ソフトである。
ここでは、会計ソフトの概要や、導入した際の会計処理について解説する。
目次
会計ソフトの種類は2種類!インストール型」と「クラウド型」
会計ソフトは、主に「インストール型」と「クラウド型」に分けることができる。インストール型は、会計ソフトを購入し、CD-ROM等またはインターネットを介してパソコンにインストールするタイプである。クラウド型とは、ソフトをパソコンにインストールせず、Webブラウザ上で利用するタイプを指す。それぞれについて、詳しく見ていこう。
なお、会計システムには個々の企業の処理をする単体会計システムと、企業グループ全体の処理をする連結会計システムがあるが、当記事では前者を取り扱う。
インストール型会計ソフトとは?
インストール型は大きく分けて、単一のパソコンでのみ利用できる「スタンドアロン版」と、複数のパソコンで利用できる「ネットワーク版」の2つがある。スタンドアロン版は、会計ソフトをインストールしたパソコンにデータを保存するため、そのパソコンでしか処理ができない。バックアップファイルも同じハードディスクに保存され、パソコンが故障した場合などは 会計処理ができなくなる恐れがある。外部のハードディスクなどに、定期的にバックアップをすることを推奨する。
ネットワーク版は、会計ソフトを利用するパソコンではなくサーバーにデータを保存し、それを複数のパソコンで処理する仕組みである。サーバーはオンプレミス(自社での構築・運用)か、クラウドサーバーを用いることができる。利用しているパソコンが故障してもデータが消えることはなく、ネットワーク版がインストールされた別のパソコンを用いれば会計処理が可能だ。同一のデータを複数の担当者や場所からアクセスすることもできる。バックアップ処理も自動で行うため、データ保全の観点からもスタンドアロン版より安全といえる。ただし、サーバー運用に費用がかかる上、会計ソフト自体もスタンドアロン版より高額になることが多い。
いずれも、一度インストールをすればパソコンがある限り使い続けることが可能な点はメリットだが、初期にそれなりの購入費用がかかるというデメリットもある。
クラウド型会計ソフトとは?
クラウド型とは、Webブラウザ上でデータ通信を行い、会計ソフトを使用するものである。購入してインストールするのではなく、ライセンス料を払い続けるため、導入費用が抑えられる分、定期的に費用が発生し続けるモデルが多い。支払いをやめた場合、ライセンスを失うことでアクセス自体ができなくなったり、機能が制限されたりする点がインストール版と異なる。
まず無料版で始めて、規模が大きくなった時点で課金するフリーミアムモデルもあり、気軽に始められるメリットがある。使用するパソコンが限定されないのもよい。データは、会計ソフトを提供する事業者側のサーバーに保管される。データの安全性は会計ソフトを提供する事業者にとって生命線のひとつであり、データの保全やセキュリティに力を入れているものと考えられる。
利用はデータ通信環境に依存するため、ネットワークに問題があったり、クラウド会計ソフト事業者側が利用するサーバーがダウンしたりすると、利用ができなくなるので注意が必要だ。
少額の会計ソフトを購入した場合の勘定科目は「消耗品費」
ここからは、会計監査を受けているかどうかと、インストール型かクラウド型かに分けて、会計処理と税務処理を見ていこう。
1. 会計処理
1-1. 会計ソフトを購入した場合の基本的な会計処理
はじめに会計監査を受ける・受けないにかかわらず、会計ソフトを購入した場合の基本的な会計処理について見ていこう。基本的な考え方として会計ソフトの取得価額が10万円未満か10万円以上かで次のように会計処理が異なる。
1-1-1. 会計ソフトの取得価額が10万円未満の場合
会計ソフトの取得価額が10万円未満の場合は、取得価額の全額を購入年度に経費計上できる。詳しくは後述するが、勘定科目は「消耗品費」を使って処理するのが一般的だ。例えば5万円の会計ソフトを購入した場合は「消耗品費 5万円」として経費計上できる。
1-1-2. 会計ソフトの取得価額が10万円以上の場合
会計ソフトの取得価額が10万円以上の場合は、取得価額の全額を購入年度に経費にすることができない。いったん資産計上し取得価額を複数年度にわたって経費計上する必要がある。なぜなら10万円以上の会計ソフトは、1年だけでなく複数年にわたってその効果を及ぼすと考えられているからだ。
取得価額を複数年度にわたって経費計上することを「減価償却」、減価償却した費用のことを「減価償却費」という。何年にわたって減価償却していくかは、取得した品目によって法律で決まっており会計ソフトの場合は原則5年以内となっている。減価償却する期間のことを「耐用年数」という。
例えば40万円の会計ソフトを耐用年数5年間で減価償却(均等償却)する場合、1年間あたり経費にできる金額は、40万円÷5年=8万円となる。
1-1-3. 減価償却の特例
上述した通り会計ソフトの取得価額が10万円以上の場合は、いったん資産に計上し原則5年以内で減価償却することが必要だ。しかし取得価額に応じて「一括償却資産」と「少額減価償却資産」の特例を適用できる。
1 一括償却資産の特例
一括償却資産の特例とは、取得価額が20万円未満の会計ソフトの場合に、5年ではなく3年で均等償却できる特例のことだ。例えば15万円の会計ソフトを購入した場合、1年間の減価償却費の金額は次のようになる。
・通常の減価償却:15万円÷5年=3万円
・一括償却資産 :15万円÷3年=5万円
一括償却資産の特例を適用したほうが1年間の経費にできる金額は大きくなる。
2 少額減価償却資産の特例
少額減価償却資産の特例とは、取得価額30万円未満の会計ソフトを購入した場合、1年間に300万円を限度に取得価額の全額を経費にできる特例だ。例えば25万円の会計ソフトを取得した場合は、25万円の全額を消耗品費などの経費にできる。ただし少額減価償却資産の特例には期限(※)や対象者(中小企業者)、青色申告が必要などの要件があるため、注意したい。
取得価額が20万円未満の会計ソフトの場合は、一括償却資産の特例と少額減価償却資産の特例を選択適用できる。
※これまでは「2022年3月31日までの間に取得すること」という期限が決められていたが、令和4年度の税制改正大綱でさらに2年間の延長が認められた。
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1-2. 公認会計士や監査法人の会計監査を受けない企業
上場企業とその子会社及び関連会社、または大会社等については、決算書(正確には財務諸表や計算書類という)について、監査法人等の監査を受ける必要がある。こうした企業は、企業会計基準委員会等が定める各種の会計基準を適用し、会計処理をすることが求められる。随時の会計基準見直しや国際的な会計基準の議論を受けて、会計基準が追加・変更されることがあるが、その都度、自社の適用可否や影響を検討し、決算書を作成しなければならない。場合によっては、過去の決算書を修正し、その内容を開示する必要がある場合もある。さらに、会計基準と法人税法(税金計算のルール)は異なるため、税務申告の際に数値を法人税計算用に調整することも必要だ。
一方、会計監査を受けないその他の企業については、法人税法に沿った処理が認められている。つまり、細かい会計基準の適用や税務申告時の調整が、ほとんど不要になる。これは費用対効果の観点から、主に中小企業については簡便的な処理を認めることになる。もちろん、決算書は銀行などの債権者や自社の業績管理の基礎になるため、経済実態を適正に表していることが条件である。
1-2-1. インストール型の場合
取得原価が10万円未満の会計ソフトの場合、全額を経費計上することが一般的である。取得原価が10万円以上の場合、経費として処理してもよいが、後述する税務処理(法人税法)に沿った処理も認められるため「ソフトウエア」として計上し、5年以内で減価償却してもよい。
経費にする場合の勘定科目は「消耗品費」が一般的といえる。勘定科目の名称は自由であり、極論「会計システム費」でも問題はない。しかし、勘定科目を細かく設定すると管理コストがかかるため、既存の勘定科目に当てはめるほうがよい。また、「雑費」でもよいが、費用の内訳が直感的にわからないため、雑費の計上額が膨らんだ場合に経費の内容が把握しにくくなるといった懸念があるといえる。
なお、「ソフトウエア」に計上する場合、購入費用だけではなく「そのソフトウエアの導入に当たって必要とされる設定作業及び自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等」にかかる導入費用も取得原価となるため、注意が必要である。
1-2-2. クラウドの場合
クラウド型は会計ソフトを購入しないため、資産を保有しない。固定資産には計上されず、すべてを経費計上する。このときの勘定科目は「消耗品費」「通信費」「雑費」などさまざまな意見があるが、自由に決めて構わない。ただし、インストール型とクラウド型は、形態は異なっても会計ソフトの利用という実態は変わらないため、同一の事象は同一の処理をするほうが望ましい。
会計ソフトの導入費用の処理については、そもそも固定資産に付随するものではないため、通常はすべて経費に計上して差し支えない。
1-3. 公認会計士や監査法人の会計監査を受ける企業
1-3-1. インストール型の場合
会計監査を受ける場合、ソフトウエアに関する会計処理は「研究開発費等に係る会計基準」に沿ったものであることが必要だ。この基準によると、固定資産として計上できるのは「将来の収益獲得又は費用削減が確実である」ことが前提とされている。収益獲得や費用削減の蓋然性が高いことを証明することは容易ではないため、経費は早めに計上するという「保守主義の原則」により、経費として処理することが多い。
特に会計ソフトの場合は、ソフトを利用して会計サービスを有料で提供するなどの事情がない限り、収益獲得はないと考えられる。かつ、何をもって費用削減となるかが難しいところでもあるのだ。単に業務が効率化されることをもって「費用削減が確実である」とはいえず、会計監査人と意見交換や調整が必要になる。
1-3-2. クラウドの場合
クラウド型については、会計監査を受けない場合と同じく費用計上する。
2. 税務処理
2-1. 公認会計士や監査法人の会計監査を受けない企業
2-1-1. インストール型の場合
会計ソフトなどの「ソフトウエア」は税務上の資産に計上するもの、と法人税法施行令十三条に規定されている。導入費用についても、将来の収益獲得または費用削減にならないことが明らかでないことを除き、取得原価となる。ただし、使用可能期間が1年未満の資産は、資産を計上する必要はない。
会計ソフトの場合は使用可能期間が1年以上あると考えられるため、会計ソフトの取得原価によって異なる具体的な扱いを見ていこう。
なお、先述の通り、中小企業は法人税法に基づくこの処理を会計処理としても差し支えない。
取得原価が10万円未満の場合は、すべて損金(税務上の経費)として処理をすることが認められている。また、取得原価が20万円未満の場合は、一括償却資産という扱いが認められている。「一括償却資産」という名称で資産計上をして3年間で均等に減価償却するか、すべてを経費として会計処理をし、税務申告書において3年間で均等に損金とする方法をとる。
取得原価が30万円未満の場合、資本金1億円以下の企業や大企業の子会社等を除き、時限措置で「少額減価償却資産」という扱いが認められており、すべてを経費及び損金として会計処理できる。取得原価が30万円以上の場合は固定資産として計上し、5年間で減価償却費として経費計上し、同額を損金にする。
2-1-2. クラウドの場合
すべてを経費計上し、同額を損金として処理する。
2-2. 公認会計士や監査法人の会計監査を受ける企業
2-2-1. インストール型の場合
基本的には会計監査を受けない企業と同じであるが、会計処理で説明した通り、固定資産に計上することのハードルが高い。そのため、会計処理はすべて経費で、税務申告時に資産として処理することが多い。
また、取得原価が20万円未満の場合に「一括償却資産」という名称で貸借対照表に計上することは会計監査を受ける企業では一般的ではなく、全額を経費計上した上で、税務申告書において3年で均等に損金にする方法がとられる。
2-2-2. クラウドの場合
すべてを経費計上し、同額を損金として処理する。
会計ソフトを購入した際の仕訳例一覧
1.インストール型の場合
税込55,000円の会計ソフトを導入した。
税金計算上、すべて損金となる。
税込165,000円の会計ソフトを導入した。
または
いずれも、税務申告書上は3年で55,000円ずつ損金算入する。
税込275,000円の会計ソフトを導入した。
または
税込50万円の会計ソフトを導入した。
または
2.クラウドの場合
毎月税込25万円の会計ソフト使用料を払う。
税金計算上、すべて損金となる。
会計ソフトのメーカーからサポートを受ける場合の仕訳例一覧
1. 会計ソフト購入費を固定資産として計上する場合
会計ソフトを固定資産としている場合、導入時の費用と、導入後の費用について注意が必要である。
導入時のサポートの内容が「ソフトウエアの導入に当たって必要とされる設定作業及び自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用」の場合は、固定資産の金額に付加する。
導入後にサポートを受ける場合については「改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分」は固定資産とし、それ以外はサポートに支払う費用として支払手数料等に計上する。
会計ソフトを改良して自社の仕様に合わせるため、税込30万円支払った。
会計ソフトの使用方法をいつでも聞けるサポートに加入するため、税込30万円支払った。
2. 固定資産として計上しない場合
サポート費用は費用として計上する。
会計ソフトの導入にあたり、使用方法を教育してくれるサポートに対して30万円支払った。
会計ソフト選びのポイント5つ
会計ソフトを選ぶ際に重視するポイントの例を見ていこう。
1. 料金
会計ソフトは無料版もあれば、数百万円を超えるものもある。初めての場合は無料版や安価なものを選ぶとよい。規模が大きくなり現行の会計ソフトに不満がある場合は、いくらまで予算があるのかがポイントとなる。
また、料金の払い方として、一括で払うか、毎月払う形か、キャッシュフローの状況を見て決めることになる。
2. サポート体制
サポートのレベルも会計ソフトによって大きく異なる。そもそもサポートがない会計ソフトもあれば、電話でのサポートや実際に来社してくれる場合もある。ただ決算書を作りたいだけであれば、サポートはあまり気にしなくてもよいだろう。
3. 操作性
どれだけスムーズに、ストレスなく操作できるかが業務効率に大きく関係する。勘定科目等のマスタ登録は自由にできるか、定型仕訳の登録ができるか、仕訳をインポートできるか、どのようなレポートが出せるかといった、いかに業務をスムーズに行えるかがポイントとなる。クラウド型については、インターネットを経由するため、通信状況によってスムーズに操作できるかも確認するとよい。
4. 使いたい機能の有無
会計ソフトによっては、税務申告ができたり、固定資産を管理できたり、請求書を作成できたりと、会計に関する付加機能がある場合がある。経営分析機能や仕訳承認機能、レポートのカスタマイズ機能があるものもある。会計ソフトに求める機能を検討し、それに沿うかどうかを確認するとよい。
外部サービスとの連携機能があれば、銀行やクレジットカードの仕訳を自動化したり、データの二重登録が不要になったりするなど、ミスや工数の削減が期待できる。例えば、販売管理システムや経費精算システムと連携することで、売上や経費の処理を楽にすることも可能だ。現在使っているサービスや、これから使おうとしているサービスとの連携を確認するとよいだろう。
5. セキュリティ
クラウド型の場合は、セキュリティ体制やデータの保全も確認しておきたい。会計に関する情報は非常に重要で機密性も高い上、データが消えて過去の会計情報にアクセスできなくなった場合は、経営判断の情報が提供できなかったり、税務調査に対応できなかったりと非常に大きな問題となる。安心してデータを預けられるかを確認するため、会計ソフトを提供している事業者がもつ情報セキュリティ資格や認証、過去に問題が起きていないかを確認するとよい。
6. 将来性
会計ソフトについては、比較的長い歴史の中で作り込まれたものもあれば、新しいコンセプトで開発されて常に機能を追加しているものもある。会計ソフトは経理や税務、レポーティング等の業務との関係が非常に強く、変更するハードルが高い。よって、現在の要求水準を満たすことも大切であるが、長い目で使用し続けられるかどうかもポイントとなる。特に新しい会計ソフトについては、開発をやめるリスクがある一方、斬新な機能を付加される可能性についての情報を得られるとよい。
おすすめの会計ソフト4選
インストール型
・勘定奉行
テレビ広告などでおなじみの老舗。無料のお試し版があり、スタンドアロン版なら数万円から使用を開始することが可能だ。自社の販売管理や人事労務などの業務管理システムと連携できるため、各種業務を連携させて業務効率化を図ることができる。
・弥生会計
こちらも会計ソフトの老舗。無料でのお試し版や、数万円から使えるプランがある。仕訳は借方と貸方を入力せず、知識がなくても処理しやすい「かんたん取引入力」などの機能が付いている。高額な製品もないため、中小企業向け。
クラウド型
・マネーフォーワード
2012年5月に設立され、2017年9月に東証に上場した企業で、会計ソフトのほか、家計簿アプリなども提供。自社の給与や請求書アプリケーションのほか、さまざまな外部サービスと連携し、業務の効率化を目指している。月々数千円から使用が可能で、個人の確定申告にも使える。
・freee
2012年7月に設立された比較的新しい企業。2018年8月に、累計資金調達額が160億円を超えるというプレスリリースを出しており、積極的に他社と連携をとる姿勢を見せている。こちらも月々数千円から使用が可能であり、個人の確定申告にも使える。
自社への導入には事前の準備が必要
単体決算で用いる会計ソフトをインストール型とクラウド型に分け、それぞれの選ぶポイントや導入時の会計処理、税務処理を解説してきた。老舗のインストール型ソフトは安心感がある一方、比較的新しい企業のクラウド型も随時機能が開発されており、将来性があると期待されている。
自社の限られた予算の中で何を達成したいのかが重要になるため、自社なりの導入するポイントを整理した上で、各ソフトの情報収集や無料版の試行などを行いたい。最適な会計ソフトを導入し、業務の効率を上げて有用な情報を提供することで、企業価値向上につなげていただきたい。
会計ソフト勘定科目に関するQ&A
Q1.パソコンソフトは何費?
A. 会計ソフトの取得価額が10万円未満か10万円以上かで会計処理が異なる。会計ソフトの取得価額が10万円未満の場合は、取得価額の全額を購入年度に経費計上可能だ。そのため「消耗品費」などの経費の勘定科目で処理する。
会計ソフトの取得価額が10万円以上の場合は、いったん無形固定資産の「ソフトウエア」で会計処理をして原則5年以内に減価償却を行う。ただし一括償却資産の特例や少額減価償却資産の特例を適用する場合は「一括償却資産」や「消耗品費」などで処理することもあるため、注意したい。
Q2.会計ソフトのサポート費用は何費?
A. 会計ソフトのサポート費用は、基本的に経費計上可能だ。一般的には「支払手数料」科目を使って処理する。しかしサポート費用の中には、例えば会計ソフトを改良して自社の仕様に合わせるためのサポート費用など資産計上が必要なものもあるため、注意したい。資産計上が必要なサポート費用については、無形固定資産の「ソフトウエア」科目を使って処理する。
Q3.クラウドサービスの利用料は何費?
A. クラウドサービスの利用料は、ソフトを購入したのとは異なりサービスを利用したことへの対価として支払う代金である。そのため一般的にクラウドサービスの利用料は、全額経費計上が可能だ。勘定科目は、基本的に「消耗品費」を使うが「支払手数料」などの科目でも問題ない。
Q4.クラウド型とインストール型で勘定科目は違うの?
A. インストール型は、会計ソフトを購入するため、取得価額によっては資産計上が必要だ。一般的に取得価額が10万円未満の場合は「消耗品費」で処理し、取得価額が10万円以上の場合は「ソフトウエア」で処理をする。一方、クラウド型は会計ソフトを購入しない。資産を保有しないため、資産には計上されずすべてを経費計上する。「消耗品費」で処理をするのが一般的だ。
インストール型、クラウド型ともに経費にする場合の勘定科目の名称は自由であり「消耗品費」のほかに「通信費」や「雑費」でも問題ない。しかしインストール型とクラウド型は、形態は異なっても会計ソフトの利用という実態は変わらないため、両方の会計ソフトを使っている場合は、同一の処理をするほうが望ましい。
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文・新井良平(スタートアップ企業経理・内部監査責任者)