やまみ 山名次期社長
(画像=やまみ 山名次期社長)

やまみは、9月28日付で山名徹副社長が社長に昇格するトップ人事を内定した。同社は、長期ビジョンに豆腐市場における10%のシェア獲得を掲げる。山名徹次期社長に、目標達成に向けた施策や、注力市場である関東圏の戦略について聞いた。

――前期(6月期)をふり返って

関東市場では当社は新参者であり、さらにコロナ禍も相まって商談が苦戦した部分もあったが、全体的に量販向けが好調で、売上も増加した。

富士山麓工場(静岡県駿東郡)の進捗は、以前より稼働率が改善し、赤字幅が狭まっている。これらの結果、前期は7億以上の営業利益を出せた。

とは言え、富士山麓工場の償却費は未だ重く、稼働率を上げるべく商談を強化し、新たに大手量販数社と取引が決まっている。

また、本社工場(広島県三原市)、関西工場(滋賀県甲賀市)は投資が一巡し、稼働も安定しており、著しく安価な商品に関しては値上げをお願いし、単価是正が進んだ。

――関東市場の戦略は

(厚揚げなど)中価格帯の商品にも注力するが、これらは競合が厳しいほか、流通は安く良い商品を求めている。大豆や食用油などコストが上昇する中、他社が避けている価格訴求品に注力する。平均週2〜3回食され購買数が多いのもこれらの商品群だ。安さに舵を切ったのではなく、当社を認知して頂くきっかけとし、併せて付加価値品も採用頂きたいと考えている。

当社は、1ラインの時間当たり生産数が1万5,000パックと、業界で圧倒的な生産能力を誇る。この強みが関東でも認知されれば、売場に入り込めるという感触を持っている。

今期、大豆価格は(前期比で)4割増、食用油は倍増と、コスト上昇が業界を直撃し、既存メーカーで値上げの動きが見られる中、ディスカウントストアなどからかなり引き合いを頂いている。

関東でも、中・四国、近畿同様に、著しく価格が安い商品については改定を進めたい。

〈生産能力を他社の5〜6倍へ、新商品・常温きざみ揚げに引き合い、起爆剤に〉
――今後の施策について

業績を上げ、新たな設備投資を行い、消費者に良い商品を届ける。引き続き原料は良質なものを使用し、現行の生産力は他社の3〜4倍だが、5〜6倍に向上させる計画だ。現状のままではなく、常に高めていきたい。

また、関西工場に設備を入れ、12月に常温の乾燥きざみ揚げを発売する。味が付いていないタイプで汎用性が高く、非常に引き合いが強い。この商品をきっかけに、他の商品の配荷も広げたい。

――主力の中・四国、関西市場については

関西工場の売上高は横ばい傾向だ。本社から人材補強しているほか、新商品の乾燥きざみ揚げを起爆剤にしたい。トップシェアの中・四国圏については、まだ具体的ではないが、これまで当社が出していなかった品目を追加し、売上を増加させたい。

――中長期的な施策は

豆腐市場の10%に当たる600億円のシェアを狙う。そこで一番重要なのが関東市場だ。関西工場はまだ余力はあるが拡張余地がない。一方、富士山麓工場は増設出来る広大な敷地が残っている。まだまだ余力のある富士山麓工場だが、稼働が一杯になった際には、北関東などに新工場を設立したい。富士山麓工場を「関東工場」と命名しなかったのはこのためでもある。

シェア拡大だけではなく、品質保証の取り組みも更に強化し、「やまみの豆腐」として指名買いして頂けるようになりたい。従業員にも誇りを持ってもらえる企業体でありたい。それが東証一部に上場したモチベーションでもある。数十億の利益を出せるようになったら、株主様、従業員への還元、設備投資に3分の1ずつ充てていきたい。

――SDGsの取り組みにも積極的です

広島ガスと取り組む冷熱サービス、太陽光サービスの省エネ事業は、かなりのエネルギー削減につながる。社会的責任を果たす上でも、今後もSDGsの取り組みをひとつずつ進めていきたい。

――改めて、社長就任の意気込みを

これまでよりも強い思いで、売上・利益向上を達成していく。豆腐業界は薄利と言われているが、「利益率10%」を当たり前にしていきたい。また、そうした取り組みを推し進めていくためにも会社の中核となる人材の育成にも努める。

〈大豆油糧日報2021年9月24日付〉