皇居外苑濠の水草「菱(ヒシ)」を堆肥にし、その堆肥で育てた玉ねぎをスープにして提供
(画像=皇居外苑濠の水草「菱(ヒシ)」を堆肥にし、その堆肥で育てた玉ねぎをスープにして提供)

ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツは8月25日から、サステナブルな玉ねぎを使ったスープを、ロイヤルパークホテルズの一部で提供している。

スープに使われる玉ねぎは、皇居外苑濠で夏季に繁茂する水草「菱(ヒシ)」を三菱地所が一定量引き取り、山梨県で堆肥にしたものを同県・北杜市の協力農家に提供し、栽培されたもの。この玉ねぎを使ったオニオンスープは、三菱地所グループのロイヤルパークホテルズの朝食やランチセットなどで提供している。

〈繁茂したヒシは生物多様性を阻害することも〉
三菱地所では環境省と協定を締結し、大手町のオフィスビルを活用して皇居外苑濠の生物多様性の保全や復元を行う「濠(ほり)プロジェクト」に取り組んでおり、2020年度には東京都23区内では絶滅した水草「ミゾハコベ」の復元に成功した。

同社は「濠プロジェクト」の活動を通し、ヒシは水生生物の隠れ場所となるが、水面を覆いつくすほど繁茂すると、景観を損なうだけでなく水底に日光が当たらず生物多様性を阻害することから、環境省が皇居外苑濠にて定期的に除去していることを知り、資源循環の中で解決する方法はないかと考え、今回の取り組みを開始したという。

〈除去したヒシを玉ねぎ栽培の堆肥に活用〉
この皇居外苑濠で除去したヒシから成る堆肥は、協力農家ファーマン 井上農場(山梨県北杜市)によって、標高約950mの八ヶ岳南麓にある畑で玉ねぎ栽培に活用されている。この玉ねぎは、甲高品種という貯蔵性のある品種で、加熱調理したときの濃厚な甘さが特徴だという。同社代表の井上能孝氏は、「有機農業を続けていますが、こういった玉ねぎを作るのに実は農家ができることは限られていると感じていて、雄大な自然環境や循環の中でうまれる堆肥がほとんどだと考えています。この玉ねぎを通して、八ヶ岳の土地の魅力をお客様に伝えしたいです」と話す。

スープとして調理するにあたり、玉ねぎ本来のおいしさを表現するため、じっくりとバターでソテーしてブイヨンと牛乳で煮込み、クリーミーな味わいに仕上げたという。試食したところ、一般的なオニオンスープのブイヨンやコンソメの風味、加熱調理によって引き出された玉ねぎの強い甘みといった味わいではなく、クリーミーで玉ねぎ本来のすっきりとした甘みで率直においしいと感じた。

試食したオニオンスープ
(画像=試食したオニオンスープ)

三菱地所サステナビリティ推進部長の榑林康治氏は、「三菱地所グループ単独では社会課題の解決はむずかしいですが、色々なパートナー様と連携し、こういったエコシステムを作っていくことが我々の目指す姿です。今回の取り組みはその一例として、街づくりに関しても同じ姿で臨みたい」と話す。

三菱地所サステナビリティ推進部長 榑林氏
(画像=三菱地所サステナビリティ推進部長 榑林氏)

〈生分解性ストローを堆肥化し、栽培したトウモロコシのスープも提供〉
ロイヤルパークホテルズの一部では、今回の温かいオニオンスープに加え、冷製のコーンスープも提供している。このスープで使っているトウモロコシは、ロイヤルパークホテルズで使用済みの生分解性ストローを三菱ケミカルが堆肥化し、長野県の協力農家に提供、その堆肥で育てられたもの。甘くてみずみずしいトウモロコシそのものの味わいを引き立てるため、牛乳と生クリームの量を最小限にし、塩と胡椒でシンプルに仕上げている。各スープの提供ホテルは以下の通り。

生分解性ストローを堆肥化し、トウモロコシ栽培に活用
(画像=生分解性ストローを堆肥化し、トウモロコシ栽培に活用)

〈オニオンスープ・コーンスープの提供ホテル詳細〉
◆提供期間 2021年8月25日~10月31日(無くなり次第終了予定)

◆提供ホテル
・ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 東京汐留
セットランチのスープとして提供

・ザ ロイヤルパークキャンバス 銀座8
セットランチのスープとして提供、ウェルカムドリンクとして提供

・ザ ロイヤルパークキャンバス 名古屋
セットランチ、及びディナーのスープとして提供

・ザ ロイヤルパークキャンバス 京都二条
朝食(セット/ブッフェ)の一品として提供

・ザ ロイヤルパークキャンバス 大阪北浜
朝食(セット/ブッフェ)の一品として提供

・ザ ロイヤルパークキャンバス 神戸三宮
朝食(セット/ブッフェ)の一品として提供

・ザ ロイヤルパークキャンバス 札幌大通公園(2021年10月1日開業予定)
開業時のレセプションにてウェルカムドリンクとして提供