「超安売り」されている会社ランキング フジテレビやソフトバンクもセール状態
(画像=Tupungato/stock.adobe.com)

株式投資の世界には、「PBR」(株価純資産倍率)という指標がある。現時点での株価が割安か割高かを示す指標で、PBRを使えば「大安売り」中の企業を見つけやすい。そして日本市場で今、超有名企業の大安売りが起きている。ランキング形式で紹介しよう。

PBR(株価純資産倍率)という指標とは

まず、PBRという指標について説明しておこう。PBRは「Price Book-value Ratio」を略した言葉で、日本語では「株価純資産倍率」と呼ぶ。「株価」を「1株当たり純資産(BPS)」で割って算出され、単位は「倍」となる。

例えば、株価が2,000円で1株当たりの純資産が1,000円のA企業の場合、PBRは以下のように計算される。

A企業:2,000円 ÷ 1,000円 = 2.0倍
この2.0倍がA企業のPBRだ。

別のケースも考えてみよう。株価が1,000円で1株当たりの純資産が2,000円のB企業の場合、PBRは以下のように計算される。

B企業:1,000円 ÷ 2,000円 = 0.5倍
B企業のPBRは0.5倍となる。

一般的にPBRの倍率は低い方が割安とされるため、A企業(2.0倍)のB企業(0.5倍)では、B企業の株式の方が割安とされる。

従来は、PBRが1倍を下回ると株価の底値を判断されることが多かったが、近年はPBRが1倍以下の状態が続いている銘柄も少なくない。そのため、単にPBRが1倍を超えているかどうか、という観点からだけではなく、ほかの銘柄のPBRと比較するといった視点も重要だ。

有名企業やIT企業を対象にしたPBR割安ランキングを紹介

では早速、PBRの割安ランキングを紹介するが、PBRが低い順に紹介するとほとんどが地方銀行になってしまう。そのためこの記事では、対象を有名企業やIT業界の企業に絞って、ランキングを作成して紹介していく。

以下が2021年8月23日時点のPBRの割安ランキングだ。

「超安売り」されている会社ランキング フジテレビやソフトバンクもセール状態?!

有名企業やIT業界の企業のPBRを低い順に並べてみると、結果としてテレビ局のPBRの低さが目立つ。そのほか、DeNAやソフトバンクグループといったIT大手も、PBRがかなり低いケースがあることが分かる。

ちなみに海外の場合、IT大手のPBRがこれほど低いことはまずあり得ない。例えば、アメリカのビッグ・テック5社「GAFAM」(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft) の場合、PBRは2021年8月23日時点では以下の通りとなっている。

「超安売り」されている会社ランキング フジテレビやソフトバンクもセール状態?!

FacebookのみPBRが1桁台の7.98倍となっているが、ほかの4社は2桁台だ。最も高いのはAppleで38.49倍となっている。

PBR割高ランキングを紹介

日本市場におけるPBRの割高ランキングも参考までに紹介していこう。以下が2021年8月23日時点のPBRの割高ランキングだ。

「超安売り」されている会社ランキング フジテレビやソフトバンクもセール状態?!

PBRが低いということは、投資家からの人気が低いということ

結果として、日本の超有名企業やIT企業の中には割安株があるが、海外の大手IT企業の株式はかなり割高となっている。その差はどこから生まれてくるのだろうか。

各企業によってある程度背景は異なるが、株価が低ければ低いほどPBRは低い倍率となるため、それだけその企業の株式を保有したがる投資家が少ないと言える。ある企業の株式を保有したがる投資家が増えれば、その企業の株価は上がっていくからだ。

つまり、DeNAやソフトバンクグループは、GAFAMの5社に比べてはるかに人気が低いということになる。また最近は、日本市場の株価の推移が米国市場に比べて軟調で、このようなこともDeNAやソフトバンクグループのPBRの低さに少なからず影響していると言えよう。

PBRと投資の醍醐味

ただし、PBRが低い状況の企業がもし、その後大きく成長すれば、株価が一気に高騰する可能性がある。人気がなかった分、値上がりのスピードも早いわけだ。つまり、潜在的にまだまだ成長する力があり、かつPBRが低い企業であれば、投資する価値は少なからずある。

投資はあくまで自己責任だが、このような観点から、PBRは定期的にチェックするクセをつけておいて損はない。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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