日清オイリオグループ 久野社長
(画像=日清オイリオグループ 久野社長)

日清オイリオグループは5月19日、オンラインで中期経営計画説明会を開催し、久野貴久社長が2021年度から2024年度にかけての新中期経営計画「Value UP+」について説明を行った。

基本戦略の1つである売上拡大に向け、新たな価値を共創する仕掛けとするBtoBtoCでは、機能性素材のターゲット市場に対し、MCT(中鎖脂肪酸)で脂肪燃焼体質化を主導し、生活習慣病の予防に寄与するとともに、油脂の機能を生かしてフレイル・プレフレイルの課題解決に取り組み、新たな市場を創造していく。

新中計の初年度となる2021年度計画は、売上高3,600億円、営業利益115億円、ROE5.2%の目標を掲げた。売上拡大に向けた基本戦略と事業戦略について、家庭用ビジネスのBtoCでは、油脂の価値向上の仕掛けにより、国内家庭用市場の拡張に取り組むとした。家庭用食用油市場は10年間で約500億円と市場が拡張しているが、油脂の価値向上の仕掛けにより、さらなる市場拡張は可能とする。また、植物油消費量も炭水化物からのエネルギー摂取のシフトにより総量は落ちないと想定している。

その上で、「流通との強い関係性に加え、油脂のさらなる価値向上を生活者へ仕掛け、マーケットの拡張とともに販売金額を拡大する」とした。強化のポイントとして、「油脂の栄養情報の発信をベースに、新しい健康訴求商品の開発、食用油の新しいおいしさ・使い方を訴求する新たなカテゴリー創出を目指す」と述べた。脂質の健康情報についての提供人数は4年間で累計3,000万人を目標に掲げる。

次に、一般的な業務用ビジネスのBtoBでは、チョコレート用油脂の販売数量拡大で世界のトップグループ入りを果たすとした。2024年度には、世界のチョコレート用油脂の市場は年平均成長率2%と試算する中、日清オイリオグループのシェアは年平均成長率6%を達成することで、2019年度のシェア9%から12%を目指す。

戦略としては、日本を含むアジア、欧州、北米をターゲットに、チョコレート市場の成長を取り込む。強化ポイントは、前中計で構築してきた拠点のフル活用と新たな拠点の構築を目指すとともに、コロナの影響で手が付けられなかったという重点エリアでのグローバルユーザーサポート体制の構築などに取り組むとした。

BtoBtoCでは、国内で脂肪燃焼体質化を主導し、生活習慣病の予防に寄与するとしている。MCTの継続摂取により、脂肪燃焼体質へ改善し、体内に貯蔵されている脂質を燃やすことで、健康増進につなげていく。戦略としては、機能性素材のターゲット市場に対し、MCTで脂肪燃焼体質化のムーブメントを起こすとしている。日清オイリオグループでは、2024年度における脂肪燃焼に関連する加工食品市場は1兆円、そのうち機能性素材市場は300億円と試算している。

また、国内におけるフレイル・プレフレイルの課題に食での貢献を果たす。高齢者の増加とともに、フレイル・プレフレイル対策の必要性が高まっていることから、戦略として、油脂の機能を生かし、これらの課題を解決していくとした。ヘルスサイエンス商品の伸長率は2024年度に、2019年度比30%増を目標に掲げている。

〈4月からの価格改定は想定通り、7月以降の値上げ可能性も〉
久野社長は5月12日に発表されたJ-オイルミルズとの搾油合弁会社設立の検討について、「あまり遅くならない時期に実現したい。3〜4年もかからないように」と見通しを述べた。

また、発表済みの価格改定の手応えについては、「4月1日からの値上げは想定通りに進んでいる。6月1日からの値上げの商談はまさに佳境で、理解してもらえているが、納得に至るまで多少の時間は要するので粘り強く実現していく」とした。7月以降の値上げの可能性については、相場が急騰していることなどから、「さらなる引き上げについては避けて通れない」と認識を示した。

〈大豆油糧日報2021年5月21日付〉