矢野経済研究所
(画像=啓治 高橋/stock.adobe.com)

拡大が進む「道の駅」では、大手企業の参入が増加

~重要な社会インフラとして民間を活用した機能拡大が進む~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、増加を続ける道の駅に関する調査を実施し、機能拡大のトレンドと民間企業の参入モデルについて考察した。

1.調査結果概要

道の駅とは、地方自治体と道路管理者が連携して設置し、国土交通省により登録された商業施設や休憩・宿泊施設、地域振興施設等が一体となった道路施設である。1993年の制度開始以降、登録数は増加し続けており、2020年3月時点では開始当初の約10倍となる1,173駅※に達している(※データ出所:国土交通省)。

道の駅は、1993年の制度開始以降、通過する道路利用者へのサービス提供の場として発展し、2013年には道の駅自体が目的地となるように各設置者(地方自治体等)や運営事業者が自由な発想で成長してきた経緯がある。昨今では社会インフラとしての重要性を高めており、2025 年を目標とした第3ステージに位置づけられている。目指すべき3つの姿として、①道の駅の世界ブランド化、②道の駅の防災拠点化、③道の駅の地域センター化が示されており、さらなる整備が予定されている。

一方で、主に運営面での課題も指摘されており、大きく(1)運営・収益性に係る課題、(2)2025 年に向けた拠点整備における課題(インバウンド(訪日外国人客)対応と防災対策の充実)、(3)新型コロナウイルス感染拡大の影響によるニューノーマル(新常態)対応の3つが挙げられる。これらの課題への対応は急務であるものの、大半の道の駅事業者は単独で解決することは困難な状況にあるため、民間活用(資本・ノウハウ)と道の駅関係者間における連携促進という方向性のもとで解決への取組みが検討されている。

2.注目トピック

「道の駅」課題解決に向けた2つの民間参入モデル

本調査では、課題解決に向けた取組みの中でも、特に民間活用(資本・ノウハウ)に焦点を当てており、民間企業の参入モデルを経営改善型と付加的な機能を提供する機能支援型に大別し、考察している。

経営改善型モデルとは、民間企業が指定管理者として道の駅運営に参画するものである。具体的には、飲食・サービス業を本業とする事業者や、人材支援を軸とした地域活性化を支援する事業者に加え、近年は地域の産物などを活用した6次産業化※1を推進する地域商社機能を有する事業者などが挙げられる。

機能支援型モデルとは、直接的な運営主体としてではなく、道の駅の課題解決に向けて必要な機能を提供する形で参画するものである。具体的には、道の駅周辺に宿泊施設を提供することで道の駅の地域観光拠点化を支援する事業者や、ワーケーションサービス※2の提供を通じて地域の関係人口創出を支援する事業者やプロジェクトなどが挙げられる。

※1. 6次産業化とは、主に農林漁業者等が、農畜産物・水産物の生産(第一次産業)だけでなく、食品加工(第二次産業)及び流通・販売(第三次産業)まで行うことで、生産物の価値を高め、地域産業の活性化を目指す取組みのことを指す。
※2. ワーケーションサービスとは、ワーク(労働)とバケーション(休暇)を組み合わせた新たな就業形態であるワーケーションを企業等が実施するために、主に観光地やリゾート地等でのテレワーク(リモートワーク)活用が可能な居住・滞在環境をセットで提供するサービスを指す。

調査要綱

1.調査期間: 2020年6月~9月
2.調査対象: 道の駅の設置主体(自治体等)、管理運営主体(第三セクター、民間事業者等)、及び関連団体
3.調査方法: 文献調査
<道の駅とは>
道の駅とは、地方自治体と道路管理者が連携して設置し、国土交通省により登録された商業施設や休憩・宿泊施設、地域振興施設等が一体となった道路施設である。国土交通省によると、2020年3月時点で登録されている道の駅は全国で1,173箇所である。
<市場に含まれる商品・サービス>
「道の駅」運営事業全般

出典資料について

お問い合わせ先

部署マーケティング本部 広報チーム
住所〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
電話番号03-5371-6912
メールアドレスpress@yano.co.jp

©2020 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。