日本のコカ・コーラシステムは、2019年にサスティナビリティーフレームワークを再構築し、3つのプラットフォーム『多様性の尊重(Inclusion)』『地域社会(Communities)』『資源(Resources)』と、9つの重点課題を特定した。
重点課題について、『多様性の尊重』の優先事項では、「ジェンダー」「年齢/世代」、重点事項は、「障がい者支援」「LGBTQ」を挙げる。『地域社会』での優先事項は、「全国規模で行う2つのプラットフォーム(多様性の尊重、資源)で影響力を発揮。
持続可能で、且つ、地域にも関連性のある取り組み」。『資源』での優先事項は、「容器/PET」「水」、重点事項は、「温室効果ガス排出量」「再生可能エネルギー」とした。今後、重点課題をもとに具体的な取り組みを進める。今年は「BtoB推進」を中心に、「容器の2030年ビジョン」に基づく活動が目立っている。
日本のコカ・コーラシステムでは、グローバルビジョン「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」に基づき、2018年1月に、「設計」「回収」「パートナー」 の3本の柱から成る「容器の2030年ビジョン」を発表した。さらに、2019年7月にはグローバル目標よりもさらに高い水準を目指す、日本独自の環境目標を設定している。
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今年3月には、日本の天然水を使用したナチュラルミネラルウォーターブランド 「い・ろ・は・す」から、100%リサイクルペット素材を用いた「い・ろ・は・す 天然水 100%リサイクルペットボトル」(555mlPET)を全国発売した。
これは、使用済みペットボトルを回収し、また新たなペットボトルへ生まれ変わらせる“ボトルtoボトル(BtoB)”の技術によるもの。今回の取り組みで、石油から新規に製造されるプラスチックの使用量を、年間で「およそ自動車4000台分の重さ相当」(自動車1台を1tで換算)削減できる。また、CO2排出量は石油由来100%のペットボトルと比較し、1本あたり49%削減できる。
日本のコカ・コーラシステムは、“ボトルtoボトル”において、2019年実績で約21%を達成したが、この比率を、2022年には50%、2030年には90%にまで高める考え。2030年までには全てのPETボトルをリサイクルPET樹脂、あるいは植物由来PET樹脂といった「サスティナブル素材」に100%切り替え、新たな化石燃料の使用ゼロの実現を目指す。
〈ラベルレスボトルを本格展開〉 コカ・コーラシステムは、2020年8月から「綾鷹」「爽健美茶」「カナダドライ ザ・タンサン・ストロング」のラベルレス製品を、ネット通販チャネルにおいて、オンライン販売限定で導入している。ラベルレス製品は、製品容器からラベルをなくすことにより、ラベルをはがす手間をなくし、リサイクルのための分別も楽にすることができる。ラベルレス製品のラインアップを広げることで、新しい生活様式の変化に伴う家庭内需要の増加に対応している。
3ブランドのラベルレス製品は、オンラインでのケース販売限定となり、通常ラベルに記載している原材料名などの法定表示を外装ダンボールに記載することでラベルをつけずに販売することが可能となった。
すでに、コカ・コーラシステムは2020年4月から「い・ろ・は・す 天然水 ラベルレス」をオンライン中心に展開しており、好評を得ていた。購入者からは、「ラベルを剥がす手間や分別の手間が省けるので助かる」「プラスチックごみも減らすことにつながる」といった好意的な声が寄せられ、ゴミの分別に対するストレスを軽減する取り組みにもなっている。
また、ネット通販を利用した同製品の購入者の約8割は、「い・ろ・は・す」ブランド製品のオンライン購入が初めてということがわかり、ラベルレス製品の導入が、ネット通販チャネルにおける「い・ろ・は・す」ブランドの新規ユーザー獲得にもつながっている。
今後も販売チャネルごとの特性を踏まえつつ、生活様式の変化に伴う消費行動の変化や消費者ニーズに迅速に対応し、持続可能なビジネスを構築する考えだ。
〈食品産業新聞 2020年11月5日付より〉