大塚グループは、「Otsuka-people creating new products for better health worldwide(世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する)」という企業理念のもと、疾病の診断から治療までを担う「医療関連事業」と、日々の健康の維持・増進をサポートする「ニュートラシューティカルズ(NC)関連事業」の2大コア事業を中心に、「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」を目指して事業を展開している。
2019年までに、全47都道府県との連携協定を締結。自治体、学校、企業、団体とともに、地域の健康課題の解決を目指し、これまで培ってきた知見やノウハウを活かした取り組みを推進している。この連携協定は、新型コロナの影響でインターハイが中止になった高校生のための代替大会支援などの際にも生かされている。
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「健康」は、企業理念にも掲げる最重要の目標だ。疾病の診断から治療、健常人の健康の維持・増進まで、健康に関するすべてを担うトータルヘルスケアカンパニーとして健康に貢献する。
NC関連事業は、医療関連事業の知見・ノウハウなどを活かして、科学的根拠に基づいた製品を開発・販売している。例えば代表的な製品であるポカリスエットは、手術後の医師が水分補給のために点滴液を飲むのを見た研究員が「飲む点滴液」というアイデアを提案。
また、海外出張時に脱水症状に陥ったという自らの体験も踏まえ、水分と電解質(イオン)がスムーズに補給できる「汗の飲料」というコンセプトが加わって開発された。
これまでにない製品だったので、1980年発売当時は、「味が薄くて飲みにくい」という声が多く、評価はあまり高くなかったという。だが、サウナや野球場など汗をかくことが多い場所に社員自ら出向き、現品を配布しながら実飲してもらう活動を続け、イオン飲料という新分野の市場を創造した。
その後、1982年から海外展開を開始、水分・電解質補給の重要性に関する啓発活動と各地域に根付いたプロモーション活動で、現在は世界20以上の国と地域で販売されている。
社会と連携して、健康維持・増進の取り組みや防災・災害支援の活動も進めている。健康づくりに関する様々な意識啓発や教育活動を推進し、2019年までに全47都道府県と連携協定を締結し、生活習慣病予防、熱中症対策、スポーツ推進、女性の健康、食育など、培ったノウハウを活かせる取り組みを展開し、健康寿命延伸に貢献する。
〈健康啓発活動を積極的に展開〉 大塚製薬の健康啓発活動の中でも特に注目されているのは、「熱中症対策」だ。熱中症という言葉がまだ浸透していない1990年代から様々な機関と協働し、スポーツの場や学校、工場、高齢者施設など熱中症が起こりやすい現場に出向き、水分補給の重要性や熱中症対策について伝える出張講座を各地で開催している。
「子どもたちの健康」に対する取り組みでは、ヘルシー文庫子どもたちに身体のしくみや健康への関心と理解を深めてもらうため、「OTSUKAまんがヘルシー文庫」を1989年に創刊した。日本医師会と日本学校保健会が監修し、日本小児科医会の推薦を得て、毎年テーマを変えて1巻ずつ発刊、全国の小学校や図書館など約2万3000カ所に寄贈している。
「女性の健康」に対する取り組みでは、女性がより健康でいきいきと活躍できるように、社員とその家族を対象に、医師を講師とした女性の健康のセミナーを開催している。
栄養の大切さを伝える「食育」活動では、栄養補助食品の製品開発のノウハウをもとに、栄養の大切さを伝える食育活動を続けている。子どもたちが正しい食生活や栄養の知識を身につけづらい環境にあるという課題に着目した食育アプリ「おいしいおえかきSketchCook」や、忙しい現代人向けにスマートフォンで食事を撮影することで簡単に栄養分析ができる「ネイチャーメイドサプリメントチェック」を提供するなど、全世代に向けて栄養の大切さを伝えている。
〈食品産業新聞 2020年11月5日付より〉