J-オイルミルズ・八馬史尚社長
(画像=J-オイルミルズ・八馬史尚社長)

J-オイルミルズは11月19日、都内で2021年3月期上期の決算説明会を開始し、八馬史尚社長らが出席した。売上高は新型コロナの影響による業務用の需要減退、ミール価格の低下や販売数量の減少などで13.5%減となった。営業利益は業務用の需要減退などで33.2%減、経常利益も33.1%減の減収減益となった。

油脂事業の営業利益の通期予想に対する進捗率は45.8%だが、八馬社長は「リカバリー可能な状況と考えている」とした。上期の営業利益の増減分析では、原材料コストで11.5億円の増益となった一方、ミールは搾油量を抑えたことや単価減もあり、16億円の減益となり、油脂コストで4.5億円の減益となった。製品販売では17.7億円の減益となった。内訳は、販売単価で1.4億円増益、外食の減少が響いて販売量は14.5億円の減益、製品構成の部分で4.6億円の減益となった。一方で、物流費や一般経費などコスト改善で13.2億円の増益となった。コスト改善について、「上期は想定以上に削減できた」と振り返った。

新型コロナの影響について、「家庭用は内食需要で4~5月をピークに大きく増えた。7~9月もプラスの影響があったが、足元では前年並みで推移している。業務用は外出自粛要請や外食店への休業要請などで、4月を底に大きく落ち込んだ。業態ごとに濃淡があるが、徐々に回復基調にある。だが、現状は前年並みに届いておらず、感染者数の拡大もあり、この先は不透明だ」と見通しを述べた。

〈下期は家庭用事業の一層の強化とSKU削減、構造改革に取り組む〉
2020年度の重点施策では、成長戦略として「高付加価値品の拡大」を掲げて進めてきた。新型コロナの影響により、高付加価値品は売上高、粗利益とも前年を下回っている状況だが、粗利益率、構成比は増加しているとした。売上高は7.4%減の208億円、粗利益も4.8%減の61億円となったが、全体の減益幅と比べると「比較的影響は軽微」とし、「総利益率も過去3年の比較では着実に上がっている」と述べた。

連結全体の高付加価値品の構成比は売上高で26.6%、粗利益で37.6%となったが、全体が縮小している中、ほぼ目標に近い数字だという。「高付加価値品の構成比が上がっていくことで、原料相場などへの耐性は着実に向上しており、今後も一層の拡大を推進していく」と述べた。「アジアでの海外展開加速」は、タイでスターチ事業を展開しているが、昨年度からマレーシアで製菓・製パン事業をスタートした。

構造改革の取り組みでは、SKU(ストック・キーピング・ユニット、在庫管理を行うときの、最小の管理単位)削減について、開始時の1,250SKUから、年度末までに950SKUまで削減を目指しており、第2四半期で約2割を削減したという。「このプロセスを通じて、メーカーとして1つ1つの製品の存在意義をバリューチェーン全体で見直して、これからの製品開発の在り方を含め、構造改革は今後の成長戦略につなげる取り組みに昇華させていきたい」とした。

また、販売子会社のJ-ウィズと日華油脂を統合し、10月1日に新会社J-NIKKAパートナーズを発足した。「日華油脂はこれまで汎用品のみの販売だったが、新会社では付加価値品を含めて総合的な提案型の営業を行うことで、グループとしての方向性を共有し、統合による効率化も進めていく」とした。

通期の業績予想については、「上期における若干のビハインドはあるが、外部環境は想定の範囲内で推移しており、予想は据え置く」とした。5月時点では、業務用の下期見通しは外食向けで20~30%減としていたが、「10~15%の減少幅を見立てている」とした。

下期は、第五期中期経営計画の最終仕上げとして、オリーブ油や米油、オメガ3系を中心に家庭用事業の一層の強化とSKU削減、日清オイリオグループとの業務提携を含む構造改革に取り組む。日清オイリオグループとの取り組みは、搾油工程の受委託、原油と油かすの工場間での等価交換(スワップ)をすでに開始しており、下期から開始する共同配船については、調達は別で行い、同じ船で積み、港では横浜、静岡という組み合わせを検討しているとした。

〈大豆油糧日報2020年11月24日付〉