「組織再編」という言葉をニュースや書籍などで聞くことが多いが、それはいったい何を意味しているのであろうか。今回は、組織再編とは何か、どのように使うかと合わせて、その代表的な手法について概略を整理した。

目次

  1. 組織再編とは何か
  2. 組織再編はどのように使うか
    1. 組織再編の目的
    2. 組織再編は使うのは具体的にどんな時か
    3. 組織再編の手法の選び方
  3. 組織再編の種類と解説
    1. 合併
    2. 会社分割
    3. 株式交換
    4. 株式移転
    5. 営業譲渡
    6. 株式購入
  4. 組織再編によるM&Aのメリット
  5. 組織再編によるM&Aのデメリット
  6. 組織再編によって起こる問題
    1. 社内のルールの問題
    2. 組織再編にかかるコスト
    3. 人材像の変化
  7. 組織再編にかかる税務
    1. 適格組織再編
    2. 非適格組織再編
  8. 組織の在り方に大きな変化をもたらす組織再編はさまざまな手法がある
  9. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ
組織再編
(画像=ktasimar/stock.adobe.com)

組織再編とは何か

企業において、法人格の同一性を維持しない形で、その企業の組織体制を組み替える行為を指す。

具体的には、グループ内の企業やグループ以外の企業と、企業体や事業単位ごとに合流・移転などを行い、企業の枠組み自体を大きく組み替えることを言う。そのことにより、ガバナンス・事業体制の強化や組織全体の効率化などを目的として行うものである。

組織再編はどのように使うか

組織再編は、その企業の組織の在り方そのものに大きな変化をもたらすことになる。組織再編を行うのはどのようなときか、その手法を選択するには何に注目したらよいかを解説する。

組織再編の目的

組織再編の主目的をひとことで言うと「競争力の強化」だ。例えば同業他社または事業を買収、経営権を取得して事業を拡大させて競争力を高めるケースが多い。一方で競争力の強化を狙って事業を縮小させる組織再編が行われることもある。例えば不採算事業からの撤退や特定事業の一部または全部を他社へ売却するといったケースだ。

規模は縮小しても高収益事業に集中できたり、コスト削減やグループ管理の効率化ができたりといった効果を得られるため、結果的に競争力が高まる。このようなケースでは、外部企業との間だけではなく、同一グループ内の子会社同士を合併させたり会社分割をしたりする組織再編が行われることも少なくない。

組織再編は使うのは具体的にどんな時か

組織再編を用いて組織の組み替えを行う場合には、通常の部署の再編などとは異なる。その企業の株主構成・組織体同士の関係性・経営陣の体制なども含めた、抜本的な組織体制の変更を行うときに有効な手法である。

経営権を譲渡あるいは譲受する場合にも多く使われる手法であり、グループ以外の企業との組織再編の場合には、実質的なM&Aの手法として利用されるケースも多い。

組織再編の手法の選び方

組織再編を行う場合には、以下に記載する6種類の手法の中から、いずれかを選ぶもしくは複数を組み合わせて行うことが必要となる。その手法を決定する際には、以下のような着眼点に基づいて検討していくことになる。

しかし、その良否についてはケースバイケースだ。高度な法律知識・税務知識・会計知識と合わせて、将来的な経営計画なども関係する非常に高度な経営判断となるため、その分野に精通した専門家の意見も踏まえながら、経営陣において十分な検討を行ったうえで実施する必要がある。

  • 組織再編の目的が十分に達成される手法であるか
  • 組織再編が適法に完了できるか(会社法等の規程を満たしているか)
  • 組織再編の際に税制適格(税金が課税されない組織再編)もしくは税制上有利となるか
  • 会計処理において、企業の現状および将来のファイナンス等において有利となるか
  • 組織再編にかかるコストは抑制できているか
  • 後日、株主・従業員・その他利害関係人との紛争の種を生まないか

組織再編の種類と解説

組織再編には法律上の手法として、合併・会社分割・株式交換・株式移転の4つの方法がある。また、その4つと同等の効果を発揮することとして、営業譲渡・株式購入がある。以下にそれぞれの特徴などについて説明する。

合併

合併とは、2社以上の複数の会社が、契約によって同一の会社となる行為のことを言う。合併の際には、合併によって存続する会社に対して、合併によって消滅する会社の権利が包括的に承継されることになる。合併には、吸収合併と新設合併がある。

吸収合併とは、合併の対象となる会社のうち、1つの会社が存続会社としてそのまま存続し、それ以外の会社が消滅会社として、存続会社に引き継がれる形となる合併である。新設合併とは、合併の対象となる会社が全て消滅会社となり、新しい会社が設立されて存続会社となる。吸収合併、新設合併ともに、消滅会社の権利・義務の全てを、存続会社が包括的に承継する点が特徴だ。

ただし、許認可については、合併によって引き継げないものがあるので、注意が必要である。また、税制上の問題として、税務上の繰越欠損金がある場合には、合併の形態とその後の収益計上の状況によっては、繰越欠損金をその後に発生する益金との相殺に利用できない場合もあるため、注意しなければならない。

会社分割

会社分割とは、会社が所有する既存事業の一部について、他の会社に移転させる組織再編の手法である。一つの単位として機能していれば、事業の区分けは比較的自由に決定することができ、引き継ぐ資産・負債についても選択できる点が大きな特徴だ。

会社分割には、会社と事業との関係性から、吸収分割と新設分割に分かれている。吸収分割では、元の会社AからA事業を分割し、別の会社BにそのA事業を移転させる形となる。分割したA事業を会社Bが吸収合併するイメージに近い。

新設分割とは、元の会社AからA事業を分割し、そのA事業を行う新会社Cを設立する手法だ。いずれも、元の会社からA事業を分割するところまでは一緒だが、事業を引き受ける会社がどこか、が相違点である。

また、会社分割には、その株式の所有の関係性から、分割型分割と、分社型分割に分かれている。分割型分割とは文字通り一つの会社を複数に分けるイメージだ。元の会社AからA事業を分割する際、元の会社Aと同じ株式の割合で、A事業に対して株主が所有権を有する形となり、株主の価値を分割する形となる。

一方で、分社型分割の場合には、元の会社AからA事業を分割する際、会社Aがその持分の全てを所有することになり、元の会社AはA事業の代わりにA事業の株式を所有する形となる。

これら、吸収分割・新設分割と分割型分割・分社型分割は組み合わせて使うことになるため、組織再編後の株式所有状況や事業構成、既存の会社との関係性などさまざまな状況を想定して、組織再編スキームを柔軟に組み合わせることができる。

その代わり、この組織再編手続きが、株主・債権者に対して有利になったり不利に働いたりするケースも多く、その権利保護を目的とした債権者保護手続きには十分留意する必要がある。

株式交換

株式交換とは、対象会社を完全子会社化するための組織再編手法であり、株式のみの手続きで行う。対象会社の発行済み株式の全部を他の会社に取得させることで、完全親子会社関係とする手法である。具体的には、対象会社の株式を全て親会社のものとし、従前の対象会社の株主については、所有していた対象会社の株式に代わり、親会社の株式を交付することとなる。

既存のグループ会社同士を親子会社化するケース以外に、買収対象企業の買収に利用されることもある。
この手法の特徴は、対象会社の株式に取得対価として、株式のみを提供すればよいことである。そのため、このスキームを買収に利用する場合には、資金流出なく企業買収ができることが大きな利点の一つだ。

また、もう一つの利点は、株式所有者全員の了承を得る必要がない点である。株式交換は法律で定められた組織再編行為であるため、株式総会の特別決議(株主の3分の2以上の賛成)を得られれば、株式交換を実施することができる。

同じことを個別の株式譲渡で行う場合には、株主全員の了解が必要となるため、反対株主がいる場合には実施できない。しかし、株式交換の手法を利用して適法に株式交換が成立した場合には、反対株主は株式の買取を請求することはできるものの、株式を所有し続けることはできない。

その他、株式交換時の状況によって、簡易株式交換(親会社側での株主総会が不要となる仕組み)、略式株式交換(子会社側での株主総会が不要となる仕組み)を利用することができる。

株式移転

株式移転とは、株式の手続きのみで行う完全子会社化の組織再編手法の一つである。一つあるいは二つ以上の対象会社の株式を、新たに設立する会社に全て取得させることで、新設会社を親会社とする完全親子関係とする手法だ。

具体的には、対象会社の株主が所有する株式を現物出資して親会社となる新会社の設立を行い、代わりに、新会社の株式を受け取ることとなる。対象会社の株式の代わりに親会社の株式を受領するという点においては、株式交換と類似した手続きである。株式交換と最も異なる点は、新設会社が持ち株会社となる点が一番大きい。

そのため、1社だけの組織再編行為にも利用可能である。株式移転で親子会社化したうえで、親子会社間での資産移転により、業務を効率化したり収益を分散したりするケースなどもある。また、複数の会社グループを経営統合して、ホールディングス化するようなケースにも適している手法だ。

この場合には、合併による組織再編と同様の効果も得られるが、既存の事業会社は従前のまま運営することも可能となるため、柔軟に統合できる利点がある。

営業譲渡

営業譲渡とは、事業の一部について、自社以外のものに譲渡することである。事業そのものの売却という形式をとるため、対象となる有形物および無形物の対価として譲受側から資金流出が発生する点が特徴だ。

組織再編における会社分割のような効果があるが、組織再編のような法律に基づく権利の移転ではないため、債権者保護手続きなども不要で、柔軟に実施できるのが特徴だ。しかし、包括的な権利移転ができないこと、通常の譲渡として益金の認識が必須となること、事業とともに従業員を転籍させるためには個別の了承をとる必要があること、などの留意点もある。

小規模な取引や緊急性の高い取引、上記4つの組織再編行為では実現できない形で組織再編を行う必要がある場合には有効な手段となる。

株式購入

対象会社の株式を購入することで、自社の企業グループとする手法である。M&A取引では最も一般的に行われている。事業会社が株式を全株購入すると株式交換を行ったときと同様の関係性になるが、株式購入費用として資金が流出することになる点が大きな違いである。

株式所有比率や価格などが柔軟に設定できる点が特徴だ。しかし、個別株主との株価交渉が必要となることやその状況次第では株価の妥当性について税務上・会計上ともに十分な検討が必要となることについては留意が必要である。

組織再編によるM&Aのメリット

そもそも組織再編の目的は競争力の強化である。しかしM&Aによってその実現が早期かつ効率的になるのは、最も大きなメリットだ。例えば組織再編で期待できるメリットに「ノウハウの結集および共有」が挙げられる。合併という手法を選択することで両社・両事業が一体化され、なかば強制的にノウハウの持ち寄り・共有することになる。

例えば、他社から優秀な人材を引き抜いたり同一グループ内で異動させたりしながら少しずつノウハウを積み上げていた場合、複数の企業・事業に所属していた人材が一気にまとまる合併は効率的だ。持ち寄ったノウハウの相乗効果で新たなアイデアが生み出され、より競争力が高まるメリットも考えられる。またコスト削減も組織再編に期待できるメリットの一つだ。

組織再編によって企業や事業の規模が大きくなることで仕入時に数のメリットを活かしたローコストオペレーションができる。またテナントをまとめることで不要となるコストカットも期待できるだろう。しかし組織再編自体にコストがかかるのでは、本末転倒だ。その点では、例えば株式交換の手法を選択すれば買収する側の企業は新株を発行するだけでよいため買収資金がいらない。

そのため大きなコストをかけずに組織再編を実現できるメリットがある。株式移転や株式交付などの手法も同様だ。

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組織再編によるM&Aのデメリット

組織再編によるM&Aには、デメリットもあるため押さえておきたい。例えば合併による組織再編では、存続会社および消滅会社のどちらにとっても統合作業を進めるための現場の負荷は大きくなる。統合作業を早急に進めようとすれば本来の事業活動が停滞してしまうリスクもあるだろう。それに伴い従業員の士気が落ちたり合併先企業・部署との意見や手法が合わずにモチベーションが下がったりすると会社を離れてしまう者が出てくるかもしれない。

ノウハウや競争力といった期待と逆の効果が生み出されてしまわないように配慮が必要だ。また株主対策も重要である。なぜなら株式交換や株式移転の方法を選択する場合、買収相手および買収相手の株主が自社の株主となり、買い手企業にとって株主構成が大きく変わるからだ。株主構成が変われば各株主の持分比率も変わり株主総会での影響力も変わってしまう。

買い手企業の既存株主や経営陣にとって好ましくない事態が起こるリスクも考えておく必要がある。他にも株式交換や株式移転では、買い手企業にとって買収資金が不要というメリットは先述した通りだが手続き面でのデメリットは大きい。なぜならどちらも会社法に則った煩雑な手続きが必要でクロージングまでに長い期間がかかるからだ。

組織統合をスムーズに行いたいと考えているなら株主対策とともに契約締結からクロージングまでの組織再編のスケジューリングを綿密に行うことを検討しておこう。

組織再編によって起こる問題

組織再編は、実行時だけでなく実行後にもさまざまな問題が起こり得るものだ。そのため、どのような問題が発生し事業を行ううえでどのような弊害があるかをイメージしておきたい。また問題を発生させないための防止策や問題が生じた際の解決策を事前に検討しておくことも大切だ。ここでは、組織再編によって起こり得る問題を3つに絞り防止策や解決策とともに紹介していく。

社内のルールの問題

組織再編では、バックグラウンドが異なる企業が一つになることが多い。企業はもちろん同じ企業内でも部署が異なれば風土やシステム、仕事の進め方などあらゆるルールが異なるものだ。その異なるルールを統一しておかなければ弊害が生じてしまいかねない。代表的な例の一つが「就業規則等の労働契約関連」だ。

一般的に合併の場合、吸収合併・新設合併のどちらにおいても合併によって消滅する会社の全ての権利義務は存続(新設)会社に承継される。そのため雇用という点では不利益はないはずだ。しかし例えば昇給や退職金基準、福利厚生など細かなルールが変わることに不満を抱く従業員も出てくるだろう。しかし複数の制度を存続させたままでは人事管理上の困難も想像できる。

このような事態を防ぐためには、合併契約を締結する際、合併の効力発生時に両社の労働条件が統一的になるような労働契約や労働協約を締結しておくことが望ましい。他にも細かな点をいえば情報システムやマニュアル、ファイルのやり方一つ取っても違うものだ。組織再編後の事業をスムーズに展開しシナジー効果を高められるようPMI(買収後の経営統合作業)を綿密に立てることが必要である。

組織再編にかかるコスト

株式交換や株式移転などでは「買収資金が不要」と先述したが、それでも組織再編には多額のコストがかかるものだ。例えば合併により資本金が増える場合や本社移転の場合、役員変更などの登記で登録免許税がかかる。また財務や法務面での調査や書類作成を司法書士などの専門家に依頼すれば士業報酬が必要だ。

契約締結にかかる弁護士報酬や、合併広告、債権者保全手続きなどを官報で公告するための費用もかかる。これらの費用は、買い手企業が負担することになるのだ。ただ組織再編に際して売り手企業側もコンサルティング会社に依頼した場合、その分は売り手企業側の負担となる。このように組織再編を実現するためには、さまざまなコストが必要だ。

それらが積み重なることで費用額が大きくなりやすい。できる限りコストを抑えるために複数の事務所や会社に依頼するのではなく組織再編にかかるコンサルティングおよび作業をまとめて実行してくれる事務所への依頼を検討するといいだろう。

人材像の変化

多くの企業では、経営理念やコーポレートスローガンなどを掲げそれに沿った企業運営や事業の方向性を設定している。これは、取引相手や顧客、一般消費者、株主などといった対外アピールだけではなく社内で働く従業員に向けたメッセージでもあるはずだ。従業員は、自社のメッセージを受けてスキルアップやモチベーションアップに努めることができる。

ところが組織再編に伴い企業理念や事業の方向性が変わり、求めるスキルやノウハウ、人材像なども変化してしまうこともあるだろう。そうなるとこれまで努力をしていた従業員のモチベーションを下げてしまう可能性がある。このような事態を防ぐには、既存社員の新たなキャリア開発研修を実施したり配置転換や新たな人材を採用したりして人材の新陳代謝を行う検討も必要だ。当然人事部門の役割も大きい。

組織再編にかかる税務

「合併」「会社分割」「株式交換」「株式移転」など、どの組織再編の方法を選択するにしても一般的に資産移転が伴うため、原則資産の譲渡損益に課税される。しかし組織再編成の前後で経済実態に実質的な変更がないと考えられる「適格組織再編」の場合、課税を繰り延べできる特例が設けられている点は押さえておきたい。

課税の有無は、資金流出に大きな影響を与えるため、組織再編を検討する際は事前に税務の把握も大切となる。

適格組織再編

適格組織再編は、「資産を移転する前後で経済実態に実質的な変更がない」と認められる場合、移転資産を「簿価」で引き継ぐこととされている。譲渡損益の計上、つまり課税関係を繰り延べできるというわけだ。以下で適格組織再編の要件を整理して紹介していく。

なお以下のどの場合においても課税繰り延べが認められるためには、対価として金銭などの交付がなく(※)、合併企業などの株式のみの交付をする場合に限られる。

※合併直前において合併企業が被合併企業の発行済株式総数の3分の2以上に相当する株式を有する場合、株主に交付される金銭などを除く

・企業グループ内の組織再編

100%関係のグループ内で行われる場合と50%超関係のグループ内で行われる場合に分かれる。しかしそれぞれの支配関係が継続することが第一の要件だ。また50%超関係のグループ内の場合は「主要資産・負債の移転である」「移転事業が継続する」「移転事業従業者のおおむね80%が再編後も同業務に引き続き従事する見込み」といった点も要件とされている。

・共同事業を営むための組織再編

上記要件に加え組織再編成により一つの法人組織で行うこととした事業が相互に関連性があることが必要だ。また「それぞれの事業の規模がおおむね5倍以内」「双方の特定役員のいずれかが再編後に特定役員となる見込み」などが要件とされている。

・スピンオフ(独立して事業を行う場合の組織再編)

「スピンオフ前と後で他の者により支配関係がない見込み」といった非支配関係要件を満たすことが必要だ。

非適格組織再編

これらの要件を満たさない場合には「非適格組織再編」となる。原則通り資産および負債の移転を時価で行い評価損益を計上しなければならない。つまり組織再編を実行した年度に評価損益が発生するため、課税関係に影響を及ぼす。平たくいうと法人税の課税対象とされる。一方で含み損がある場合は、損失計上によって課税所得を減らすことが可能だ。

そのためケースによってはさまざまな要件をクリアして適格組織再編を行うよりも非適格組織再編を行うほうが税務面では好ましい場合もあるだろう。そもそも「適格組織再編」にしても移転資産に対する課税を「繰り延べ」するだけであり、非課税というわけではない。繰り延べによって組織再編時にかかるコスト(資金流出)を抑えることは可能だ。

しかし後日移転した資産を実際に処分したときには課税される点は押さえておきたい。

組織の在り方に大きな変化をもたらす組織再編はさまざまな手法がある

以上、組織再編とはどのようなものかと、その主要な手法4種類(合併・会社分割・株式交換・株式移転)と類似手法2種類(営業譲渡・株式購入)詳しい手法について、説明した。

組織再編は、企業グループの在り方を変え、そのポテンシャルを向上させることを目的としており、無限の選択肢がある。それを柔軟に実現するためには、上記の手法やそれ以外の方法も駆使して行う必要がある。実行する際には、理想とする組織の在り方をしっかりとイメージしたうえで、それを最適に行うための手法を、専門家とともに検討していくことが必要だ。

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文・THE OWNER編集部

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