支払調書
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目次

  1. 支払調書とは?
    1. 支払調書の提出先・提出時期
  2. 支払調書の種類
    1. 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
    2. 不動産の使用料等の支払調書
    3. 不動産等の譲受けの対価の支払調書
    4. 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
  3. 支払調書の書き方【種類別】
    1. 1.報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
    2. 2.不動産の使用料等の支払調書
    3. 3.不動産等の譲受けの対価の支払調書
    4. 4.不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
  4. 支払調書作成時の2つの注意点
    1. 注意点1.消費税の取り扱い
    2. 注意点2.提出方法の選択
  5. 支払調書の作成準備
    1. 事前準備1.支払調書に関する取引の抽出
    2. 事前準備2.マイナンバー

支払調書とは?

支払調書とは、特定の内容に該当する1年間の支出に関して、税務署が事業主に提出を義務付けている書類である。支払った内容について相手先別に作成する。

給与や退職金の支払いに関する源泉徴収票と同じく法定調書の一部であり、年末調整後に必要な法定調書合計票に付して提出する。

事業者に支払い内容を申告させることで、支払者における源泉徴収義務の履行を税務署が確認できる。また、通常の収入に比べて把握しづらい所得を申告させることで、税務調査の資料として利用する目的も推測される。

支払調書の提出先・提出時期

支払調書は各事業所を所管する税務署に提出する。法人であれば、本店所在地を管轄する税務署が対象となるため、税務申告書の提出先と同一になる。

毎年1月末までに前年の取引(1月1日~12月31日)に関する支払状況について、法定調書合計票を添えて提出しなければならない。

支払調書の種類

作成が必要な支払調書は以下の4種類である。

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

一定の基準に該当する報酬・料金などの支払いに関する支払調書である。

世間でイメージされる報酬の種類はさまざまだ。しかし、所得税法や租税特別措置法などの法律によって対象となる報酬の内容は細かく定義されている。

対象支出の種類と提出基準となる支払額は、以下の①~⑦の通りである。

なお、源泉徴収の対象とならない法人向けの支払いや、一定金額未満の支払いについても提出する点には注意したい。

①外交員、集金人、電力量計の検針人およびプロボクサーなどの報酬

同一人に対する1年間の合計支払金額が50万円を超えるもの

②バー・キャバレーなどのホステス、バンケットホステス、コンパニオンなどの報酬

同一人に対する1年間の合計支払金額が50万円を超えるもの

③広告宣伝のための賞金

同一人に対する1年間の合計支払金額が50万円を超えるもの

④社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬

同一人に対する1年間の合計支払金額が50万円を超えるもの

※ただし、国立病院、公立病院、その他公共法人などに該当する場合は不要

⑤馬主が受ける競馬の賞金

1回の賞金支払額が75万円を超える支払いを受けた者に対する年間の全支払金額

⑥プロ野球選手などが受ける報酬及び契約金

同一人に対する1年間の合計支払金額が5万円を超えるもの

⑦上記以外の報酬、料金など

同一人に対する1年間の合計支払金額が5万円を超えるもの

不動産の使用料等の支払調書

法人および不動産業者である個人が、不動産の使用料などを支払った場合に作成する。使用料とは、不動産やその上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の借受けの対価をさす。

同一人に対する1年間の合計支払金額が15万円を超える場合に提出する。なお、法人に対する不動産の使用料については、権利金・更新料などだけが対象となる。

不動産業を営む個人のうち、主として建物の賃貸借の代理・仲介を行っている人には提出義務がない。

不動産等の譲受けの対価の支払調書

不動産やその上に存ずる権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機を譲り受ける際に対価を支払った法人および不動産業者の個人が作成する。

同一人に対する1年間の合計支払金額が100万円を超える場合に提出しなければならない。

不動産業を営む個人でも、主として建物の賃貸借の代理・仲介を行っている場合は提出義務がない。

不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

不動産やその上に存ずる権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の売買または貸付けのあっせん手数料を支払った法人および不動産業者である個人が作成する。

同一人に対する1年間の合計支払金額が15万円を超える場合に提出しなければならない。

前述した2種類の支払調書と同様に、不動産業者である個人でも、主として建物の賃貸借の代理・仲介を行っている人には提出義務がない。

支払調書の書き方【種類別】

各支払調書の様式は類似しているが、記載内容はそれぞれに特徴がある。各支払調書の具体的な書き方は以下の通りである。

1.報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

記載項目1.支払を受ける者

支払いを受ける者(=会社側が支払った相手先)の住所・居所・所在地および名称を作成日の現況に応じて記載する。名称は法人なら法人名、個人なら屋号ではなく個人の氏名となる。

「個人番号又は法人番号」の欄には、支払いを受ける者の法人番号またはマイナンバーを右詰めで記載する。

記載項目2.区分

報酬・料金などの名称を内容がわかるように記載する。

国税庁による「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」の記載例は以下の通りだ。

・原稿料、印税、さし絵料
・翻訳料、通訳料
・脚本料
・作曲料
・講演料、教授料
・著作権や工業所有権の使用料
・放送謝金、映画や演劇の出演料
・弁護士報酬、税理報酬、社会保険労務士報酬、外交員報酬
・ホステスなどの報酬
・契約金
・広告宣伝のための賞金や競馬の賞金
・診療報酬

記載項目3.細目

区分に応じて、細目欄には以下の内容を記載する。

区分記載内容
印税書籍名
原稿料・さし絵料支払回数
放送謝金・映画・演劇の俳優等の出演料出演した映画、演劇の題名等
弁護士等の報酬、料金関与した事件名等
広告宣伝のための賞金賞金の名称等
教授、指導料講義名等

記載項目4.支払金額

対象となる1年間に支払いが確定したものを記載する。該当期間における全ての支払額が対象となるため、金額が少ないために源泉徴収の対象にならなかった報酬や未払いの報酬も対象となる。

なお、支払調書作成時点で未払金額がある場合、未払金額を各段の金額欄の上段に内書きしなければならない。

記載項目5.源泉徴収税額

源泉徴収すべき所得税・復興特別所得税の合計額を記入する。支払調書作成時点で未払いがある場合、未徴収税額を内書きしなければならない。

災害による被害を受けたことで猶予された税額がある場合、その金額は含めずに記入する。

記載項目6.摘要

指定されている特記事項に該当する場合に関連内容を記載する。該当するケースは以下の通りだ。

・診療報酬に家族診療分がある場合
・災害による納税猶予を受けた場合
・広告宣伝のための賞金に該当する場合
・源泉徴収の免除を受けている場合
・法令上源泉徴収を要しないものの場合

記載項目7.支払者

報酬、料金などを支払った事業者の住所・居所・所在地や氏名・名称、電話番号、マイナンバーまたは法人番号を記載する。

参考

給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引
(国税庁)

2.不動産の使用料等の支払調書

記載項目1.支払を受けるもの

不動産の所有者または転貸人の情報について記載する。記載する内容は、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」と同様である。

記載項目2.区分

支払内容に応じて金額の項目名を記載する。記載例は地代、家賃、権利金、更新料、承諾料、名義書換料、船舶の使用料などだ。

記載項目3.物件の所在地

不動産の使用料等に関する支払いの基礎となった物件の所在地について住所(市以下)を記載する。船舶や航空機については、船籍または航空機の登録をした機関の所在地を記載する。

記載項目4.細目

土地の地目や建物の構造・用途などを記載する。

記載項目5.計算の基礎

賃料を計算する際の基礎内容について記載する。記載内容は、対象となる1年間での賃借期間や単位当たり賃借料、戸数、面積などだ。

記載項目6.支払金額

対象となる1年間に支払いが確定した金額を支払内容ごとに記載する。未払金額も記載する点に注意したい。

記載項目7.摘要

不動産の使用料等が地上権や貸借権などによる対価の場合、設定した権利の存続期間を記載する。

また、不動産の借受けについてあっせん手数料を支払い、あっせん手数料に関する支払調書を省略する場合、あっせんした者の情報を記載する。

記載項目8.支払者

不動産の使用料などを支払った方に関して、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」と同様の内容を記載する。

3.不動産等の譲受けの対価の支払調書

記載項目1.支払を受ける者

不動産などの譲渡者について記載する。内容は、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」と同様である。

記載項目2.物件の種類

譲り受けた不動産などの種類に応じて、物件の種類を記載する。記載例は土地、借地権、建物、船舶、航空機などだ。

記載項目3.物件の所在地

譲受の対価に関する支払いの基礎となった物件の所在地を記載する。船舶や航空機については、船籍または航空機を登録した機関の所在地を記載する。

記載項目4.細目

土地の地目や建物の構造・用途などを記載する。

記載項目5.数量

土地の面積や建物の戸数・延べ面積などを記載する。

記載項目6.取得年月日

不動産等の所有権や財産権の移転があった年月日を記載する。

記載項目7.支払金額

対象の1年間で支払いが確定した金額を記載する。なお、不動産などの移転にともなう各種損失の補償金を支払った場合、「物件の所在地」欄の先頭行に支払総額と記載し、損失の補償金を含む支払総額を記載する。

記載項目8.摘要

売買や競売、公売、交換、収用、現物出資など、譲受の態様を記載する。売買の場合、代金支払日・支払ごとの支払方法・支払金額を記載しなければならない。

また、譲受の対価以外に払われる補償金は、区分と金額を記載する必要がある。区分は以下の9種類である。

・建物等移転費用補償金
・動産移転費用補償金
・立木移転費用補償金
・仮住居費用補償金
・土地建物等使用補償金
・収益補償金
・経費補償金
・残地等工事費補償金
・その他の補償金

記載項目9.支払者

不動産などに関する譲受の対価を支払った方について、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」と同様の内容を記載する。

4.不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

記載項目1.支払を受ける者

あっせんをした者について記載する。記載内容は「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」と同様である。

記載項目2.区分

譲渡や譲受、貸付け、借受けなど、あっせん手数料のもとになった取引区分について記載する。

記載項目3.支払金額

対象の1年間に支払いが確定した金額(未払金額込み)について区分欄の支払内容ごとに記載する。

記載項目4.あっせんに係る不動産等

「物件の種類」欄には土地や借地権、地役権、建物などの種類を記載し、「数量」欄には土地の面積や建物の戸数、延べ面積などの情報を記載する。

「取引金額」欄には売買・貸付けに関する対価額を記載し、賃貸借の場合、月日や面積など単位当たりの賃借料を記載する。

記載項目5.支払者

不動産売買などのあっせん手数料を支払った方について、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」と同様の内容を記載する。

支払調書作成時の2つの注意点

支払調書を作成する際にいくつか注意点がある。書類を正しく提出できるようあらかじめ知っておこう。

注意点1.消費税の取り扱い

支払調書の対象となる金額を判断する際には、原則として消費税および地方消費税を含んだ金額で判定する。ただし、消費税などの金額が報酬額と明確に区分されている場合はそれらを含めないでよい。

また、支払調書の「支払金額」欄には、原則として消費税などを含んだ金額を記載しなくてはならない。

しかし、上記と同じく明確に区分されていれば消費税などを含めないで記載できる。ただし、その場合は「摘要」欄に消費税などの額を記載しなければならない。

注意点2.提出方法の選択

提出方法は、e-taxや光ディスク等、書面の3種類だ。原則として自由に選択できるが、前々年の提出すべきであった各種法定調書の提出枚数が1,000枚以上である場合、e-taxや光ディスク等で提出しなければならない。

令和3年1月以降の提出については、100枚以上からe-taxや光ディスクで提出することになった。

支払調書の作成準備

支払調書は、年明けから1月末までの短期間で1年分の取引を整理しなければならない。スムーズに書類を提出できるように、支払調書の作成・提出に向けた事前準備をまとめた。

事前準備1.支払調書に関する取引の抽出

支払調書の作成では、事業運営にかかる支出内容の中から、最低でも支払相手先・支払金額について抽出しなければならない。

抽出したデータは支払先別に集計し、作成対象となる支払先を特定でき、支払先の情報を参照できるようにする。

12月決算以外の法人の場合、会計年度をまたがって抽出できるようにしなければならない。

準備のために有効な手段は以下の通りだ。

・支出の段階で該当する取引を別途記録しておく
・会計ソフト入力時に支払調書に該当する取引を抽出しやすいように工夫しておく(タグ付けや検索キーワードの適用)
・年末調整の始まる時期より前に途中までの該当取引の抽出を終えておく

事前準備2.マイナンバー

個人向けの支払調書にはマイナンバーを記載する必要があるが、マイナンバーは取得時の手続きや保管について厳しい規定がある。

個人と該当取引をする場合、マイナンバーを効率的に取得しないと提出期限に間に合わないケースも生じる。

したがって、マイナンバーの取得方法や保管手続きを事前に規定し、関連部署に周知しておくことが望ましい。

もちろん、一定規模以上の会社であれば、すでにマイナンバーの取り扱いを規定しているケースもある。その場合は、規定通りにマイナンバーを取得するフローを事前に設計しておくとよい。

文・THE OWNER編集部

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