矢野経済研究所
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2020年の代替肉(植物由来肉・培養肉計)世界市場規模は2,572億6,300万円

~2020年は代替肉普及元年、大手食肉企業・大手食品企業の参入が活発化、市場をけん引~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内・海外における代替肉(植物由来肉・培養肉)市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

代替肉(植物由来肉・培養肉計)世界市場規模予測

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1.市場概況

2020年における代替肉の世界市場規模(植物由来肉・培養肉計)はメーカー出荷金額ベースで、2,572億6,300万円を予測する。

国連の世界人口推計(中位予測)によれば、地球上の人口は2019年の約77億人から2030年には約85億人(2019年比10%増)へ増加し、2050年には約97億人(2019年比26%増)、2100年には約109億人(2019年比42%増)と急激に増加する見通しである。また、サハラ以南アフリカの人口は、2050年までに2019年の約13億2,000万人から約25億2,800万人へと倍増すると予測されている。
農林水産省によれば、世界全体の食肉需要は増加傾向で推移している。牛肉・豚肉・家きん肉の食肉需要合計は、1995年に1億8,946万tであったが、2025年には3億3,952万tに達すると見込まれている。

世界の人口増加に伴い、食肉需要は増加している。しかし、畜産由来の温室効果ガス排出や飼料・水資源の大量利用など、畜産業が地球環境に与える影響が背景となり、将来的に従来の動物由来の食肉のみで需要を満たすことが困難になる可能性が出てきている。こうしたなか、豆類や野菜などを原材料とした植物由来肉、動物細胞を培養して製造する培養肉が注目されている。

2.注目トピック

植物由来肉市場の活発化~大手食肉企業・大手食品企業の進出~

アメリカでは、スタートアップ企業の成功から植物由来肉のブームが始まり、企業の市場参入が活発化した。ブームの背景には、食味の向上、健康志向、持続可能な食糧生産への配慮や関心の高さなどが挙げられる。これを受け、2019年頃からは大手食肉企業や大手食品企業も植物由来肉市場へ進出している。

日本においても、植物由来肉では特に2019年から2020年に掛けて新商品の発売が活発化し、食品大手企業・食肉大手企業の参入が相次いでいる。すでに一般消費者向け商品として小売店での売場整備が進められているほか、業務用商品も発売されている。加工原料生産から食品加工、卸、小売や外食においても、植物由来肉への注目度が高まっていると考える。

3.将来展望

植物由来肉では、すでに一定規模の市場を持つアメリカ、ヨーロッパが順調な伸びを見せると考える。加えて、タンパク質の大消費国である中国が伸長するとみる。日本では、小売店舗における商品展開や外食へのメニュー導入などが進むことで、消費者の認知度が高まるとともに、需要が伸長することが見込まれる。

培養肉では、スタートアップ企業を中心とした研究開発がアメリカ、ヨーロッパ、イスラエル、日本などで行われている。一方で生産コストの高さが課題とされており、コスト低下に向けた生産技術開発や効率化について、継続的な取り組みが進むとみる。

こうしたなか、2025年の代替肉(植物由来肉・代替肉計)の世界市場規模はメーカー出荷金額ベースで、6,732億1,900万円を予測する。その後も拡大基調で推移し、2030年には1兆8,723億2,000万円になるものと予測する。