2018年度の業務用食品市場規模は前年度比100.8%の3兆8,902億円
~コンビニエンスストアやスーパーのイートインの拡大で堅調に推移~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の業務用食品市場を調査し、市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
業務用食品市場規模推移
1.市場概況
2018年度の業務用食品市場規模はメーカー出荷金額ベースで、前年度比100.8%の3兆8,902億円であった。堅調な外食分野(市場)と惣菜・中食分野(市場)により微増で推移した。
国内の外食市場は、消費低迷の時期があったものの、昨今は回復基調が継続している。惣菜・中食市場は、女性の社会進出に伴う共働き世帯の増加や、高齢者世帯の増加を背景とした需要が拡大していることから、堅調に推移している。特にコンビニエンスストア(CVS)においては店舗数増加に加え、揚げ物などのカウンター商品のアイテム充実、さらにCVSのほか、食品スーパーでもイートイン(店内飲食スペース)を設置するケースが増え、ますます惣菜・中食の購入機会が増えている。そのため、弁当やおにぎり、サンドイッチ、揚げ物などのCVSカウンター商品、スーパーマーケット向けの惣菜が好調である。
また、給食市場においても学校給食の民間委託化の拡大や、有料老人ホームを中心とした高齢者施設給食の需要拡大で堅調に推移している。こうしたなか、業務用食品ユーザー企業においては人手不足を背景に、調理の手間を省く完調品(完全調理済み食材)の需要が高まっており、業務用食品市場は全体として好調に推移している。
2.注目トピック
現状でも4割強の事業者は電話・FAXも利用し業務用食品を発注
本調査に関連し、2019年5月に業務用食品のユーザーである外食事業者および惣菜・中食・弁当事業者、給食事業者、宿泊業(ホテル)事業者30社に対し、業務用食品や受発注システムに対する需要動向を把握するため、法人アンケートを実施した。
なかでも各事業者の経営管理や省力化に結び付く「システム導入」について、現在の利用状況を聞いたところ(複数回答)、「発注システムを導入し利用している」が96.7%、次いで「電話・Faxで注文」が43.3%で、「卸売(問屋)のオンラインサイトで注文」が3.3%であった。
ほぼ全ての事業者で発注システムを導入し、利用している一方で、依然として電話・Faxによる発注も4割強の事業者で利用しているという結果であった。
3.将来展望
2022年度の業務用食品市場規模はメーカー出荷金額ベースで、4兆218億円を予測する。
訪日外国人客の増加に伴う外食やホテル等の宿泊施設内飲食需要、共働き世帯や高齢者世帯の増加による中食・惣菜需要は今後も好調さを維持するとみられることから、業務用食品ユーザー企業においては引き続き完調品などの加工度の高い食品に高い需要があるものと考える。こうしたことから、今後も業務用食品市場は拡大基調を予測する。