矢野経済研究所
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2018年のベビー用品・関連サービス市場規模は前年比4.5%増の4兆1,210億円

~深刻さを増す出生数の減少、中国需要の減速などマイナス要因が顕在化するも、保育関連サービスの拡大で市場はプラス推移~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のベビー用品・関連サービス市場を調査し、ベビー用品、ベビー関連サービスの各分野別の市場動向、参入事業者の動向、将来展望を明らかにした。

ベビー用品・関連サービスの市場規模推移

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1.市場概況

2018年のベビー用品・関連サービス市場規模は前年比4.5%増の4兆1,210億円と推計する。

出生数減少の進行により、内需拡大が厳しい状況下、インバウンド(訪日外国人客)需要やインターネット通販(E-Commerce)経由での海外販売の拡大などによって、ベビー用品の中には市場縮小から伸長に転じる分野が見られたが、中国での電子商取引法施行の影響で中国需要に陰りが見え始めるなど、概してベビー用品市場は再び厳しい状況を迎えようとしている。一方、粉ミルクやベビーフード、哺乳関連用品などの利便性や健全な発育に関する分野は国内外の需要を取り込み、伸長傾向にある。

一方、ベビー関連サービスは、保育サービスの拡充が政府主導による各種支援策が継続されているなか、2019年10月からの幼児教育・保育の無償化によって、保育園に対する需要がより一層高まりを見せており、保育園・託児所市場の拡大がベビー用品・関連サービス市場全体を押し上げている。

2.注目トピック

液体ミルクの動向

2018年8⽉に、⾷品衛⽣法の「乳等省令」、健康増進法の「特別⽤途⾷品制度」において、液体ミルクに関する基準が定められ、⽇本での乳児⽤液体ミルクの製造・販売が解禁となり、2019年春より国内の粉ミルクメーカー2社から販売開始されている。

通常、赤ちゃんに粉ミルクで授乳させる際は、粉を量りお湯で溶かした後に、人肌まで冷ます必要があるため、調乳に手間と時間を要する。一方、液体ミルクは、パッケージを開封して哺乳瓶に移し替えれば、そのまま赤ちゃんに与えることができるため、粉ミルクよりも利便性に優れる商品である。

液体ミルクの利便性は、近年、震災や水害などの自然災害による被災時・避難時において注目されるようになり、当該需要を高めている。また、非常時のみならず、日常の授乳時においてもミルクを準備する手間が省けるため、乳児をもつ母親などから高い評価を得ている。

こうした液体ミルクの需要・評価の高まりに伴い、参入企業が拡大することで容量や容器形態、アレルギー対応などといった商品開発の進展が期待される。

3.将来展望

2019年のベビー用品・関連サービス市場規模は前年比4.4%増の4兆3,030億円を予測する。

出生数の減少による少子化の進行によって、ベビー用品市場の多くは、長期的な漸減トレンドが予想されるが、子育て負担軽減をはじめ、乳幼児の安全・安心や健康な発育・成長に対する需要の高まりによって、ベビーフード、粉ミルク、哺乳関連用品、スキンケア関連商品などでは市場が拡大するものとみる。

また、ベビー関連サービスについては、引き続き主要都市部を中心に、保育施設の開設や利用児童数の増加によって保育園・託児所市場の拡大が見込まれ、さらには2019年10月からの幼児教育・保育の無償化によって、保育サービスに対する需要のより一層の拡大が予測されることから、引き続きベビー用品・関連サービス市場全体を押し上げるものと考える。