矢野経済研究所
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2022年度の食品宅配市場はコロナ禍を契機として食品宅配サービスが日常生活に定着し成長を持続

~幅広い年代の健康志向に応える簡便・高付加価値商品が充実~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内食品宅配市場を調査し、業態別8分野の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

食品宅配市場規模(主要8分野合計値)推移・予測

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1.市場概況

2022年度の食品宅配市場規模(主要8分野合計値)は、事業者売上高ベースで前年度比102.3%の2兆5,363億円と推計した。コロナ禍で宅配需要が急増した2020年度以降の同市場は、国内人口の減少および少子高齢化の進行で概して国内の食関連市場が縮小傾向にあるなか、成長を持続している。一方で、成長率については2020年度以降はコロナ禍以前の水準に戻っている。

少子高齢化や女性の社会進出といった社会的要請を受けて、食品宅配サービスは年々その重要性を増してきた。食品宅配市場はコロナ禍での需要の高まりにより2020年度に市場が急拡大したため、その後の反動減が心配されたが、主要8分野のうち多くの業態で需要は高止まりしている。コロナ禍は食品宅配サービスが消費者の日常生活に根付くきっかけとなったといえる。但し、商品やサービスの拡充により、異業種間のみならず業態間の競争も激化している。

2.注目トピック

ミールキット(料理キット)市場

レシピ(献立)と調理に必要な人数分の食材がセットになった「ミールキット(料理キット)」が好調を維持している。その中でもカット済みの肉や野菜と調味料をセットにしたキットが主流となっており、“手作り感”は欲しいものの、毎日の献立作りや買い物、調理には時間をかけられない現代人のニーズに応えた商品となっている。

「ミールキット(料理キット)」は従来、食材(惣菜)宅配市場の商品カテゴリーのひとつとして取り上げてきた商材であるが、近年は生協やネットスーパーなどの業態でも参入が見られ、バリエーションが拡充し品質も向上している。メインユーザーは、家事(調理)の時短ニーズが高い子育て・共働き世帯であるが、体力的に買い物や調理が困難な高齢世帯や、料理に不慣れであったり時短を求める単身世帯での需要も高まっており、参入各社は多様化するユーザーニーズに応えるべく商品力の強化に取り組んでいる。

ミールキット(料理キット)の需要は大幅に増加したが、その背景には、調理にかかる手間の削減や時短のニーズに加えて、コロナ禍で在宅時間が増えたことで宅配需要が増し、昼食を含めて自宅で食事をする機会が増大したことが挙げられる。コロナ禍での行動制限が緩和され、徐々に外出・外食機会の増加に伴って成長率も落ち着きを見せているものの、2022年度のミールキット(宅配商品)市場は1,800億円を超える規模と推計した。

3.将来展望

食品宅配市場は2022年度から2027年度(予測)までのCAGR(年平均成長率)が2.8%と引き続き順調に推移し、2027年度の同市場規模(主要8分野合計値)は2兆9,074億円に達すると予測する。

コロナ禍を契機として急拡大した市場は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類へと移行し行動制限がなくなりつつある中でも成長を持続している。食品宅配の日常的な利用が進むことで、消費者の生活にとって不可欠なサービスとして定着しつつある。

調査要綱


1.調査期間: 2023年6月~8月
2.調査対象: 在宅配食・食材(惣菜)宅配サービス企業、ファストフード・外食チェーン店運営企業、乳業メーカー、生協、小売業者、百貨店、その他食品宅配関連企業・団体等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒア リング取材、ならびにアンケート調査併用
<食品宅配市場とは>
本調査における食品宅配市場とは、①在宅配食サービス、②食材(惣菜)宅配、③宅配ピザ、④宅配寿司、⑤外食チェーン・ファストフード宅配、⑥牛乳宅配、⑦生協(個配)、⑧ネットスーパーの主要8分野(業態)を対象とする。
いずれの宅配サービスにおいても日用品、雑貨等を除く食品群を基本とする。
なお、市場規模は過去に遡って再算出していることから、過去の公表値とは異なる。
<市場に含まれる商品・サービス>
在宅配食サービス、食材(惣菜)宅配、宅配ピザ、宅配寿司、外食チェーン・ファストフー ド宅配、牛乳宅配、生協(個配)、ネットスーパー

出典資料について

資料名2023年版 食品宅配市場の展望と戦略
発刊日2023年08月31日
体裁A4 300ページ
価格(税込)176,000円 (本体価格 160,000円)

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