学校給食関連卸三団体協議会(日本給食品連合会(日給連)、学校給食物資開発流通研究協会(学流協)、全国給食事業協同組合連合会(全給協))は5月22日、衆議院議員会館で開かれた、学校給食の食材調達における契約のあり方についての勉強会に参加した。国会議員6人、文科省・農水省担当者4人と各卸団体代表など、約30人が参集。学校給食食材の取引では、そもそも契約書がないケースやキャンセルに関する取り決めがされてない実態があることが確認され、キャンセルポリシーを含む契約書の締結の必要性や現場の諸問題が共有された。
2020年、全国の学校給食関連卸は政府から突如、新型コロナウイルス感染症予防の観点から学校の臨時休業要請を受け、大幅な売上減と、すでに発注された食材の補償がされないなど、大きな問題が発生した。突然の要請に対し、政府からは発注済みの物資の救済措置として補助金約180億円が用意されたが、学校給食用食材に係る契約に様々な課題があったことから、実際に活用されたのは約50億円に留まった。そのため、衆議院文部科学委員会委員長の宮内秀樹衆議院議員が発起人となり、まずは、給食現場の実態について勉強する機会を設けたいとの意向から、勉強会が開かれた。
参加した国会議員は、 宮内秀樹衆議院議員、森屋宏参議院議員、井原巧衆議院議員、深澤陽一衆議院議員、田野瀬太道衆議院議員、中村裕之衆議院議員の6人。秘書代理出席は、林幹雄衆議院議員、上杉謙太郎衆議院議員、中曽根康隆衆議院議員の3人。省庁からは文科省初等中等教育局健康教育・食育課の南野圭史課長と中村英孝課長補佐、農水省大臣官房新事業・食品産業部食品流通課の武田裕紀課長と森山清課長補佐の4人が参加した。
〈キャンセルポリシーを含む契約書締結が必要〉
勉強会では、学校現場と卸業者において、「契約書にキャンセルポリシーが存在しない」ことから、学校設置者が救済のための補助金を申請するのが困難な状況だったことが説明された。その上で、「保障するための『証明』ができなかったことから、きちんとしたキャンセルポリシーを含む契約書の締結が必要である」ことが共有された。また、キャンセルポリシーを含む契約を結ぶにあたり、給食費の公会計にも話が展開した。この1,2年、食材費・エネルギー費高騰の影響を受けて、学校給食費の公会計が進んでおり、文科省も更なる公会計化の推進には努めているが、まだ大きな成果には至っていない。
勉強会では、公会計化が進めば会計責任は自治体になり契約も結び易くなること、また、「給食費未払い問題」や「教職員の負担軽減」などの効果も得られることが示された。一方、公会計にすることで特に地元の零細商店などの「従来の商慣行」が崩れてしまうことへ指摘もあった。
勉強会に参加した議員は、「コロナが5類に移行し平時の生活に戻りつつあるが、コロナ禍の3年間を経験したことで学校給食において様々な問題が存在していることが分かった。キャンセルポリシーを結ぶことの必要性及び給食費の公会計化についての文科省・農水省・三団体から意見を聞いたが、それ以外にも『学校給食のフードロス』『FAXでの受発注』『物流の問題として納品時間・納品回数の見直し』など課題は沢山ある。今後は、総務省にも協力してもらいながら、簡単にはいかないかもしれないが、ひとつひとつ解決に向け行政に動いてもらい、それを政治がチェックすることが大切だと思う」と学校給食に係る諸問題の解消に取り組む考えを示した。
〈中込日給連会長「学校給食が安定供給できる仕組み作りを継続したい」〉
学校給食関連卸三団体協議会の出席者は、中込武文日給連会長、林元彦日給連顧問、福島毅春学流協常務理事、高橋俊之学流協専務理事、中島正二全給協会長、平井昌一全給協理事6人と各団体事務局。中込武文日給連会長は、勉強会開催翌日の業界団体総会懇親会で、「今後も、学校給食が安定供給できる仕組み作りを継続できたら嬉しい」と意気込みを語った。