経営者には読書家が多いといわれている。その理由はどこにあるのだろうか。本記事では、経営者に読書家が多い理由を解説するとともに、忙しい経営者が実践している読書習慣や経営者の愛読書を紹介していく。

目次

  1. 経営者に読書家が多い3つの理由
    1. 読書によって「経営センス」が磨かれる
    2. 「答えのない課題」と向き合う力が育つ
    3. ビジネスリーダーとしての「洞察力」が磨かれる
  2. 経営者の実践する読書習慣
    1. 忙しくても「読書をする時間」を作る
    2. 興味のある本から読書を習慣化する
  3. あの経営者も愛読するおすすめの本6選
    1. 竜馬がゆく
    2. プロフェッショナルマネジャー
    3. 成功哲学
    4. ドラッカー 365の金言
    5. 戦略の本質
    6. ユダヤの商法-世界経済を動かす
  4. 自身の判断力を鍛えるために読書を始めよう
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(画像=kapinon/stock.adobe.com)

経営者に読書家が多い3つの理由

経営者は多忙な日々を送っている。そうしたなか、わざわざ時間を割いて読書をする人が多いのはなぜだろうか。ここでは、主な3つの理由を解説する。

読書によって「経営センス」が磨かれる

経営センスの良さは、経営を繰り返すなかで生まれてくる「こうなればこうなるだろう」という論理の引き出しの多さだ。経営センスを磨くには、実際に現実世界で経営を繰り返すことが最適だが、実行するのは大変だろう。しかし読書なら日々本を読むだけで論理の引き出しが増えていく。経営センスを磨き続けたいなら毎日の読書でさまざまな論理に触れることが重要だ。

「答えのない課題」と向き合う力が育つ

会社を経営していると、さまざまな困難に立ち向かわなければならない。かつ、時代背景や経営状況などによって、判断が正しいかは大きく異なるだろう。しかもその困難は、マニュアルなどがない「答えのない課題」であることがほとんどだ。読書量が多いと自分のなかで「考え方の引き出し」が増え、答えのない課題と向きあう力が育つ。

あるパターンに適用できるノウハウ本で得られる知識ではなく、自身の思考力を鍛えられる本を読むという経験が、知らず知らずのうちに人間力を鍛えることになる。

ビジネスリーダーとしての「洞察力」が磨かれる

自分の関係する分野以外の知識や思想を手軽に読める点も読書の大きなメリットだ。まったく違う分野の本を読んで、たまたま同じようなアイデアや思想を自身のビジネスに活かせると直感することもあるだろう。また、なかには実際に取り込んで成功する経営者もいる。別分野の人たちとの交流でもビジネスリーダーとしての洞察力は磨かれるが、交流できる人数は有限だ。

しかし読書なら際限なく広い分野の思想に触れ、洞察力を磨き続けられる。

経営者の実践する読書習慣

経営者は、どのようにして読書を習慣づけているのだろうか。ここでは、実際に経営者の実践する読書習慣を紹介する。

忙しくても「読書をする時間」を作る

「仕事で忙しいから本を読む時間がない」という悩みは、多くのビジネスパーソンの持つ悩みだろう。しかし読書家の経営者は、忙しくても読書をする時間を作る工夫をしている。例えば朝起きて家を出る間に集中して本を読む時間を作ったり、就寝前の時間を読書に充てたりする経営者も少なくない。通勤などの移動時間や休日など、まとまった時間を活用するのもいいだろう。

逆に毎日の歯磨きのように読書を日々のルーチンに組み込むのもおすすめの方法だ。

興味のある本から読書を習慣化する

読書がなかなか習慣にならない場合は、まず強く興味をひかれる分野の本から読み始めてみよう。料理が好きなら「料理本」、星を見るのが好きなら「天文学の本」など、入り口は何でもいい。毎日15分ずつでも読書を習慣化するよう続けていくうちに、自然と本を読むことに対する抵抗感がなくなり読書が習慣化する。

あの経営者も愛読するおすすめの本6選

「今日から早速読書を始めてみよう」と感じた方のために、経営者の愛読書を6つ紹介する。役に立つ・立たないというよりも「面白そうだ」と思った本を手に取って、少しずつ読み進めてはいかがだろうか。

竜馬がゆく

ソフトバンクグループ株式会社の代表取締役会長兼社長執行役員である孫正義氏の愛読書が『竜馬がゆく』だ。坂本龍馬を中心に据えて激動の幕末期を描く歴史小説である。孫氏は、本書から「志高く」という考え方を学んだという。著者・司馬遼太郎氏の代表作の一つであり、読みやすいため読書を始めるのにうってつけの1冊だ。

プロフェッショナルマネジャー

株式会社ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏が「私の最高の教科書」と評価する経営指南の本。米国で14年半連続増益の記録を打ち立てた敏腕経営者の著者・ハロルド・ジェニーン氏の実体験から出た経営論は必読だ。経営の秘訣は「終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをする」など、分かりやすい表現で語っている。

成功哲学

誰もが成功を手にすることができる方法論を研究したナポレオン・ヒル氏が開発した成功プログラムのガイダンスブック。自己啓発本の代表作として長く読み継がれる良書である。株式会社トーヨーキッチンスタイル代表取締役の渡辺孝雄氏は、本書を愛読書の一つに挙げている。成功哲学を学ぶだけでなく米国の文化や社会への理解が深められる本でもある。

ドラッカー 365の金言

ピーター・ドラッカーの名前は、聞いたことがあるのではないだろうか。マネジメント論を体系化し、「マネジメントの父」とも呼ばれている経営学者だ。本書は、そんなドラッカーの考え方を金言として分かりやすくまとめている。1日1つの金言を読んでいけば、1年間で1冊読み終えられるように構成されているため、毎日短い時間で少しずつ読み進めるのにもおすすめだ。

戦略の本質

戦略やリーダーシップについて書かれた本。世界史の戦争を引き合いに出しつつ、戦略の本質を解き明かしていく。姉妹本に『失敗の本質』もある。ユニ・チャーム株式会社創業者の高原慶一郎氏が愛読していた1冊だ。

ユダヤの商法-世界経済を動かす

日本マクドナルドの創業者・藤田田氏の執筆した商売の基本知識が詰まった良書。株式会社オークファン代表取締役社長武永修一氏は、お金の見方や価値観が大きく変わり、とても影響を受けたと語っている。

自身の判断力を鍛えるために読書を始めよう

経営者になると自分で判断しなければならないシーンが非常に多い。そのとき心強い支えとなるのが読書である。答えのない問いを考え抜く力を鍛えたいなら紹介した本や気になる本を手に取り、読み始めてはいかがだろうか。

著:藤森 みすず
食品衛生管理者、情報処理のアプリケーションエンジニア。21年ほどメーカー系SIerにてプログラマー、システムエンジニアを経験。退職後、Webライターとして様々な分野の執筆を行う。一時期、飲食業開業について学んだことがあり、起業関連の情報にも精通。FXなど投資関連も得意とする。
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