食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

ヤヨイサンフーズは12月16日、年末記者会見を開き、大西宏昭社長が業績概況などについて話した。

2022年4月~11月までの業績は、売上高が前年比107.2%の262億8100万円、営業利益は微減で1億4400万円だった。売上高はコロナ前の2019年度比で107.0%と伸長し、2014年の企業統合以来、11月までとして最高となった。第1四半期は比較的好調、第2四半期はコロナが再拡大し若干トーンダウンしたが、10~11月は人流がほぼ回復し、アフターコロナの中で売上高もほぼ戻ったという。

利益面では、業界同様、原材料・資源インフレが厳しい状況が続き影響を受けた。「売上高は思ったより良く、コスト状況は思ったより悪く、総じて利益は当初想定に近い」という。4月~11月のルート別売上高は、中食が104.7%、外食126.3%、給食107.4%といずれも伸長。中食の内訳は量販惣菜103.6%、CVS(コンビニエンスストア)113.7%、テイクアウト弁当79%、ベーカリー99.7%、宅配96.7%だった。宅配は前年割れだが、2019年度比では128%と拡大している。

カテゴリー別売上高は、ハンバーグ111.6%、メンチカツ102.7%、グラタン102.2%、クリームコロッケ113.7%、煮魚・焼魚106.3%、エビカツ118.7%、餃子107.2%、ハムカツ109.7%、パスタ117.7%、デザート106.6%、ソフリ105.2%と主要カテゴリーが総じて順調に推移。ただ、値上げが押し上げた分もあり、カテゴリーによっては物量で前年割れとなったものもあるという。

〈2023年3月1日付で多くの商品で値上げを実施、電気代上昇も影響〉 値上げについては、2023年3月1日、NB(ナショナルブランド)425品で5~15%の値上げ、PB(プライベートブランド)でも538品で値上げを実施する。同社では2020年10月、牛肉製品の一部で値上げ、2022年2月、NB322品で値上げ、2022年9月、NB427品で値上げを実施し、平行してPBの値上げも行ってきたが、原料・エネルギーコストの上昇に加え為替の円安も先を見通せないことから再度の値上げを決めたという。

〈気仙沼工場単月黒字化、マルハニチロ介護食の委託製造開始〉
経営方針としては〈1〉差別化戦略と成長戦略〈2〉収益力強化〈3〉気仙沼工場のフル稼働〈4〉働きがいのある企業〈5〉SDGsの取り組み――の5つを挙げた。

〈1〉差別化では、他社にない商品であるソフリとイートベジを強化。ソフリでは、知名度を高めるためInstagramなどを活用したメニュー提案を行うほか、マルハニチロとの協業を強化。マルハニチロに社員3人を派遣し、商品開発から販売まで、連携を密にする。また、レシピ提案や展示会などでも協業を進める。

イートベジは冷食メーカーとしていち早く植物肉製品に取り組み、今年は1枚肉商品のとんかつも発売した。高単価な魚介品などの投入も検討し、提案を強化する。

〈2〉収益力の強化では、各工場の人手不足にも対応した、省エネ・省人設備の導入を推進。コストとは別にCO2削減、安心安全に資する投資を含め、可能な限りの設備投資を検討する。

また、生産性改善のため不採算商品の見直しを行い、得意先との相談の上、PBからNBへの切り替え、終売等でアイテム削減を行う。現在は2年前との比較で200アイテム減の1100アイテムほどに削減が進んでおり、KPI(重要業績評価指標)を設け取り組みを進める。

〈3〉気仙沼工場のフル稼働は、計画より若干遅れはあるものの、11月単月では工場単体で初めて黒字化するなど順調に稼働。懸念事項として、サンマの不漁、イワシの小型化、サバも不調が見込まれ、水産原料の調達が挙げられる。一方、ソフリラインは多少投資を行い、九州工場の一部製品を移管するとともに、計画から1年遅れでマルハニチロのメディケア商品の委託製造を開始する。

〈4〉働きがいのある企業に向けては、風通し良く魅力ある企業風土を目指し、大西社長が社員の質問に直接答える取り組みなど実施。一昨年度から若手中堅社員で構成する未来プロジェクトを立ち上げ、社員からの提案型プロジェクトを進めている。他、メンター制度、社内販売制度の整備、忘年会の代わりとして自社製品詰め合わせをパート従業員に至るまで全員に配布するギフト制度などの取り組みを進めている。

〈5〉SDGsに関しては、各工場での地域清掃などの他、清水工場では静岡ガスとの取り組みでカーボンニュートラルの都市ガスを100%使用するとともに、中部電力との取り組みでCO2フリー電力を約10%導入するなどの取り組みを実施。他、環境配慮型包材の使用、カンボジアヤヨイ学校の継続支援など行っている。

〈冷食日報2022年12月19日付〉