【マネージャー必見】ゆとり世代との接し方

「ゆとり世代の社員と接するのは苦手だ」と感じている経営者や管理職は少なくないでしょう。ただ、そう感じている人は、ゆとり世代の社員を理解しようと努めているでしょうか。理解しようともせずただ扱いにくいとだけ決め付けてしまうのは、正しい態度とは言えないはずです。ゆとり世代の考え方や彼らとの接し方を学んで、苦手意識をなくしていきましょう。

目次

  1. ゆとり世代とは
  2. ゆとり世代と接する際の心構え
  3. 当たり前の指導から始める
  4. 互いの長所を生かそう

ゆとり世代とは

「ゆとり」という言葉の意味は、端的に言えば「余裕がある」ということであり、ゆとり世代とは、日本が詰め込みや競争教育からの方針転換を実施したことにより、週5日制や授業時間の削減などによる教育を受けてきた現在の若年層のことです。

一般的に、ゆとり世代は「自主性がない」とか「ストレス耐性がない」などのネガティブな側面が取り上げられることが多いです。これは、集団のなかで自分がどのように行動すれば生き残れるかという訓練を強く受けていないことが原因と考えられています。

ゆとり世代が扱いにくいとされるのは、ゆとり世代の考え方がそれより前の世代の価値観と真逆だからです。それは、まさに「競争に勝たなければならない」というものです。この価値観は、敗戦国の日本が国際競争で世界と伍して戦わねばならなかったがゆえに浸透していったものです。その結果として日本は高度経済成長期を迎えて豊かになり、だからこそゆとり世代が生まれていったと見ることもできます。

いずれにせよ、「一致団結して勝利を目指す」という価値観を持つ人と、「集団よりも個人」や「勝ちにこだわらなくてもよい」といった価値観の人とはいわば水と油であり、うまく付き合えないのは当たり前なのです。

ゆとり世代がどうこうというよりは、それより前の世代では上記のような同じ価値観のなかで動いていたために、意思の疎通が図りやすかったのでしょう。しかし、個人の価値観を尊重する大切さを教わってきた人たちが増え、コミュニケーション不全が頻繁に発生するようになっているというわけです。

したがって、問題はゆとり世代の価値観どうこうではなく、いかに価値観の異なる人々と協業していくかという欧米では当たり前にある環境が日本にも発生したということです。

ゆとり世代と接する際の心構え

資本主義社会である以上、競争に勝たなくては生き残れません。ゆとり世代に対してやってはいけないのは、この事実を曲げてしまうことです。「負けたってよいのだ」や「自分の好きなようにやってごらん」などは、単に事実から目を背けてしまうことにしかなりません。

ゆとり世代は、勝つことに慣れていないかもしれませんが、その分勝って褒められることに喜びを感じやすいはずです。つまり、勝つ経験をさせてあげる必要があるということです。

今まで、「なんとなく」チームを管理してきた人にとっては、ゆとり世代を勝たせることは大きな課題でしょう。ゆとり世代になんとなくは通用しないからです。例えば、

「仕事は頑張るものだ」
「会社の仲間は家族同然なので協力するものだ」
「責任をもって率先垂範で動く」
「失敗して怒られて強くなる」
「言い訳しないで黙ってやるものだ」

など、ゆとり世代は扱いにくいと思っている方はこのようなことを当たり前だと思っていないでしょうか。

当たり前の指導から始める


自分たちの当たり前が、異なる世代にとっての当たり前ではありません。

「なぜ会社に来ているのか」
「会社とはどういうものなのか」
「上司と部下とはどういう関係なのか」
「同僚や他部署の先輩や後輩とはどのように接したらよいのか」

これらは、社会人としての最低限のマナーのような内容かもしれませんが、繰り返し述べてきた通り、その説明を飛ばして「こういうものだ」ではゆとり世代への接し方としては不適切です。きちんと指導していかなければならないという意識を持ちましょう。

ゆとり世代の部下に目標を設定したときや指示を出した後の反応から、部下がどのようなものの見方をしているかを見極め、その上でコミュニケーションを図る必要があります。それをせず、常にこちらが正しいと言わんばかりに「最近の若い奴は」とか「これだからゆとり世代は」などと相手のせいにしていては、いずれ自分自身が他人から、「最近の年寄りは戦力にならなくて困る」と陰口をたたかれる日が来るかもしれません。

互いの長所を生かそう


ゆとり世代は「ITやテクノロジーに強い」、「明確な指示に対しては素直に実行する」、「クリエイティビティに富んでいる」などの長所があると言われています。勝たなければならないというゴールはどの世代でも共通の事実ではありますが、そのゴールへたどり着くためのマイルストーンの設定や、マイルストーン間のプロセスに対して一人ひとりの価値観を最大限発揮できるようなマネジメントをすべきでしょう。勝たなければならないという前提の教育ができれば、後は勝つために考えることです。

ゆとり世代だから頭がよくないということはありません。考えることができなければ考える習慣を身に付けさせることも大事です。

後天的にでもできるはずです。「ゲームは好きだが仕事は嫌い」という部下がいれば、「仕事はゲームとは違うんだから」と怒るのではなく、ゲームのように仕事をさせればよいのです。

世代間のギャップという観点では、団塊の世代も戦争を経験した世代からすると付き合いにくいと感じられていたかもしれません。日本という島国では、単一的な価値観が是とされる傾向がありますが、現在の日本の立ち位置からすると、日本国内においてもさまざまな価値観を受け入れ、現実に起きている問題を解決するために協力し合うことが必要なのではないかと思います。