2022年6月14日、ロンドンにてバンクシーのプリント作品のみを集めたフォーラムオークション「Only Banksy」が開催。出品された全15作品のなかから、落札価格の高かったTOP5の作品を紹介する。落札価格は手数料込み、1GBP=162.49円で計算。

5)《Very Little Helps》(2008)
落札価格:約782万円(£48,100)

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(画像=banksy verylittlehelps)

出典:https://www.forumauctions.co.uk/

「Tesco Flag」とも呼ばれる本作はイギリスのスーパーマーケット・チェーンをモチーフにした作品。タイトルの《Very Little Helps》(「ほとんど何の役にも立たない」といった意味)は、テスコのスローガン「Every little helps(どんな些細なことも役に立つ)」をもじったもの。巨大チェーン店が続々と増えていく一方で個人商店は減少し、人々の生活の選択肢を奪ってしまうこと非難している。子供たちがTESCOの旗に忠誠を誓うポーズをしている姿を描くことで資本主義のあり方も風刺した作品。本作は299枚(サインありのみ)が抽選でリリースされ、抽選会で集めた収益は慈善団体に寄付された。(予想落札価格:約569〜812万円 / £35,000 – 50,000)

現在、ANDARTでも《Very Little Helps》を取り扱い中。

4)《Pulp Fiction》(2004)
落札価格:約845万円 (£52,000)

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(画像=banksypulpfiction)

出典:https://www.forumauctions.co.uk/

クエンティン・タランティーノの映画『Pulp Fiction』から引用された本作は、ジョン・トラボルタとサミュエル・L・ジャクソンが銃ではなく、鮮やかな黄色のバナナを構えている作品。2002年、ロンドンの地下鉄オールド・ストリート駅近くに登場した壁画をプリント制作したもので、本作はサインなし600枚の作品。アンディ・ウォーホルがヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコのジャケットのために描いたバナナに似ていることから、バンクシーは何らかの影響を受けているのではないかと言われている。(予想落札価格:約650〜975万円 / £40,000 – 60,000)

現在、ANDARTでも《Pulp Fiction》を取り扱い中。

3)《Get Out While You Can (Pink)》(2004)
落札価格:約1,056万円(£65,000)

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(画像=banksy getoutwhileyoucan)

出典:https://www.forumauctions.co.uk/

バンクシーが描くモチーフの中でも、猿と並んで人気があるのがネズミを描いた作品。本作はアメリカの政治家・軍人であるジョージ・マーシャル著の『Get Out While You Can』で説明されている「Escape The Rat Race(ラットレースからの脱出)」からインスピレーションを得ている。「プラカード・ラット」とも呼ばれる本作は、文字が赤のバージョンも制作されており、それぞれサインあり75枚、サインなし175枚がある。今回落札された作品はサインありの作品。(予想落札価格:約812万〜1,137万円 / £50,000 – 70,000)

現在、ANDARTでは動物モチーフ「犬」を描いたバンクシーの《HMV》を取り扱い中。

2)《Morons》(2007)
落札価格:約1,162万円(£71,500)

banksy morons
(画像=banksy morons)

出典:https://www.forumauctions.co.uk/

本作の画面右側にあるキャンバスには、「I CAN’T BELIEVE YOU MORONS ACTUALLY BUY THIS SHIT」と書かれてあり、日本語では「こんなクソみたいな作品を買うなんて、お前達愚か者が信じられない」のような意味。有名アーティストの作品を手に入れるために巨額の入札するコレクター達を揶揄し、アート市場におけるオークションの慣習を批判した作品である。

本作は、1987年にクリスティーズでフィンセント・ファン・ゴッホの《ひまわり》が2,250万ポンドで落札され、当時の美術品についたオークション最高価格を記録した歴史的な瞬間がイメージされている。

《Morons》は、2006年に開催された展覧会「Barely Legal」にてエディション100(サインなし)が1枚500ドルで販売された。その後、バンクシーの前印刷会社であるPictures on Wallsが3色で再編集し、さらにモノクロームのサインなしプリント500枚、サイン入りプリント150枚、セピア色の背景のサイン入りプリント300枚を追加で制作した。今回落札されたのは、サインあり150枚のもの。(予想落札価格:約812万〜1,137万円 / £50,000 – 70,000)

1)《Girl with Balloon》(2004)
落札価格:約1,900万円(£117,000)

banksy girlwithballoon
(画像=banksy girlwithballoon)

出典:https://www.forumauctions.co.uk/

バンクシーの代表作の一つである《Girl with Balloon》のエディション600(サインなし)の作品。風刺的な作品が多いバンクシーの作品群のなかでも、本作は明るいイメージで希望的なメッセージが込められるため多くの人から指示を集める作品。

2018年のサザビーズにて、額装された《Girl with Balloon》が約1.5億円で落札された直後、額縁の内部に仕掛けられたシュレッダーが作動して作品の半分を細断した「シュレッダー事件」は美術史に残る出来事となり、バンクシーの市場価値をあげることになった。そういったエピソードが付随した《Girl with Balloon》はバンクシーのプリント作品の中でも特に人気を集めている。(予想落札価格:約1,462万〜1,950万円 / £90,000 – 120,000)

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現在、バンクシーの作品は全8作品を取り扱い中。バンクシー以外にも奈良美智やアンディ・ウォーホル、KAWSなどの人気アーティストを取り扱っていますので是非ご覧ください。

文:ANDART編集部