文科省健康教育・食育課の三木忠一課長
(画像=文科省健康教育・食育課の三木忠一課長)

食料品が原料・石油価格の高騰で値上がりする中、ロシアのウクライナ侵攻や円安の進行などがさらに追い打ちをかけ、物価高騰が学校給食に大きな影響を及ぼしている。

2021年から今年にかけて原材料高騰に伴う学校給食食材の仕入れ値は平均で1割ほど上昇し、学校現場では栄養バランスを維持しつつ原価を抑えようと献立を工夫するなど試行錯誤しているようだ。しかし、それでも限界があり、苦渋の選択で給食費を上げる動きも各地で出始めている。すでに値上げを決めたある自治体では、小中学校で、1食あたり25円、月額で500円と、過去最も高い値上げとなったという。

そのような中、文科省は4月5日、「令和4年度における新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の取扱について」と題する事務連絡を通知した。

それによると、「新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により、物価高騰による学校給食の実施への影響や、やむを得ず学校給食費の値上げを検討せざるを得ない状況も考えられる」ため、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(以下、臨時交付金)の活用が可能な事例として、『物価高騰に伴う学校給食等に関する負担軽減』を行う事業が示された」と説明している。

4月7日に行われた学校給食物資開発流通研究協会の総会で挨拶に立った文科省健康教育・食育課の三木忠一課長は、「コロナ禍だけでなくウクライナの世界情勢の不安も含め、物流に多大な影響が出ており、給食費の値上げを懸念している。食材費・運送費などが高騰した場合、学校給食費の増額分の負担を保護者にしいるのでなく、学校給食を行う設置者、つまり公立校であれば地方自治体等、地方公共団体の判断により、増額分の負担を国が支援することが可能になった。地域で抱えている物価の高騰という問題を自治体がしっかりと負担軽減に努めることができれば」と話した。