「合法」という落とし穴! 身近にある破産への入り口とは?
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「合法」だからといって安全だとは限らない。奨学金やリボ払い、FX(外国為替証拠金取引)……。このようなものを利用し、破産に追い込まれる人が後を絶たない。ギャンブルの負けや連帯保証人になることなどを含め、世の中にあふれている破産の入り口を紹介しよう。

奨学金:借入額が500万円以上の人は12.4%

大学に通って新たな学びを得るために「奨学金」を借りる……。聞こえがいいが、返済が不要な奨学金でない限りは、大学卒業後に待っているのは奨学金の返済義務だ。大学を卒業しても給与が高い職に就けるとは限らない。その場合、「奨学金破産」のリスクが出てくる。

2019年3月に労働者福祉中央協議会が発表した「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」によれば、日本学生支援機構の39歳以下の奨学金利用者において、奨学金の借入平均額は324万3,000円に上り、500万円以上の人は12.4%いるという。

奨学金は「借金」だ。無利子の奨学金を借りている人はまだ負担が少ないが、有利子の奨学金を借りている場合は、返済の負担が意外に大きいと覚悟しておく必要がある。

リボ払い:毎月の支払い額を少なく抑えることができるが……

「リボ払い」(リボルビング払い)は、合法的に認められた決済手段だ。利用金額や件数にかかわらず、一定の金額や割合を毎月支払う決済手段で、毎月の支払い額を少なく抑えることもできる。しかし、支払い完了までの期間が長期化することで、意図せず手数料が高額になってしまうことがある。

仕組みを理解してリボ払いで決済するならまだ良いが、知らず知らずのうちにリボ払いになっていることもあるため、注意が必要だ。クレジットカードの設定が「自動リボ払い」になっていると、設定を解除しない限りは、全てがリボ払いとなってしまう。

クレジットカードによっては、リボ払いにするとポイント還元率が高くなる例もあるが、返済期間や手数料を確認し、本当にリボ払いでいいのかよく考えるようにしたい。

FX:レバレッジ取引であっという間に資金がゼロに?

「FX」は金融商品取引法で認められた取引で、金融庁は「証拠金を差し入れて、日本円と米ドルなど、2つの国の通貨の為替相場を予測して売買を行う金融商品」と説明している。要は、為替レートがどのように変動するか予想し、予想通りの値動きをすれば利益が得られる取引のことだ。

FXの怖いところは、レバレッジをかけた取引が可能なことだ。レバレッジをかけると、証拠金の何十倍ものリターンが得られる可能性がある反面、大きな損失を出すリスクもある。

レバレッジは最大で25倍かけることができ、仮に25倍のレバレッジで取引を行った場合、思う方向にレートが4%動けば100%(4%×25倍)分の利益を出すことができるが、逆に4%動けば100%分の損失を出す。つまり、投資資金がゼロになるわけだ。

あっという間に投資資金がゼロになることもあり、負けを取り戻そうと借金をしてまたFXで負けると、借金地獄に陥ってしまう。安易な気持ちでFXを始めるのはリスクが大きい。

ちなみに、FXに比べれば、現物株式を売買する株式投資の方がはるかにリスクは低い。FXに比べればリターンは少ないが、なるべくリスクを抑えて資産運用をしたいのであれば、FXではなく株式投資を始めることを検討したいところだ。

後払いサービス:気軽に利用できる良さはあるが……

最近サービスを提供する事業者が増えている「後払いサービス」にも注意が必要だ。

後払いサービスとは、アプリを通じて必要な金額をバーチャルカードなどにチャージし、チャージした分の金額を使って、後払いで商品を購入したりサービスを利用したりできるサービスだ。

審査がクレジットカードよりも厳しくなく、気軽に利用することができる。サービスで利用した金額分については、当然、後日請求が来る。その請求金額を支払うことができなければ、後払いサービスの提供事業者が法的措置に出るケースもある。

後払いサービスは気軽に利用できることが良さであると言えるが、法的措置により財産が差し押さえられることもあるので、安易な利用は避けたいところだ。

日常のさまざまなシーンで破産の入り口が

奨学金やリボ払い、FXなどのほかにも、破産につながるリスクを含んでいるものはたくさんある。パチンコやパチスロ、競馬などのギャンブル、連帯保証人になったことによる借金の肩代わり、などだ。

このように考えると、日常のさまざまなシーンにおいて、破産の入り口がドアを開けて待っていることが分かる。「簡単に稼ぎたい」「今すぐほしい」といった欲に身を任せてしまうと、破産に陥る可能性が高まる。

人生を踏み外したくないなら、何かを始めるときや何かを利用するときは、決して慎重さを忘れないようにしよう。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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