米フォーブス誌の2022年版のフォーブス長者番付が発表された。“大富豪数”は韓国が41人、日本は40人と微差で韓国が上回ったことが明らかになった。新たにランクインした顔ぶれも含めて世界の大富豪を見てみよう。
世界長者番付トップ10
第36回フォーブス世界長者番付の上位に輝いたのは、以下の10人だ。純資産額は2022年3月11日の株価と為替レートを用いて算出されており、純資産額10億ドル(約1,252億8,491万円)以上を保有する個人を対象としている。
ジェフ・ベゾス氏から首位を奪取したイーロン・マスク氏を筆頭に、トップ10の8割は米国が独占している。「世界一の大富豪大国」としての米国の地位は不動で、全体のランキングには735人がランクインし、純資産総額は4兆7,000億ドル(約588兆5,581億円)に達した。IT長者の勢いは健在で、トップ10中7名がテクノロジー関連だ。
日本の大富豪トップ10
ソフトバンクグループの代表取締役会長兼社長、孫正義氏に代わり日本一の大富豪の座を射止めたのは、ユニクロチェーンを有する衣料品小売のファーストリテイリング創設者、柳井正氏だ。純資産は前年から4割減だが依然としてコロナ禍以前の水準を上回っており、世界ランキングでは54位となった。
2位には、ファクトリーオートメーションシステム用センサー及び電子部品のサプライヤーであるキーエンスの創設者、滝崎武光氏がランクインし、孫氏は3位に後退した。多数の日本の大富豪の資産が前年より減少した中、日本最大の小売グループであるセブン&アイ・ホールディングスの名誉会長、伊藤雅俊氏は唯一6億ドル(約751億8,075万円)増加させた。
日本の“大富豪数”は前年より8人減って40人だった。今回新たにランクインしたのは、2013年に在宅介護のアンビスホールディングスを設立した柴原慶一氏や医療検査機器メーカーのシスメックスの中谷忠子氏、就職活動・人材育成ソフトウェア企業ビジョナル(Visional)の創設者、南聡一郎氏などの5人だ。
韓国の大富豪トップ10
韓国からは日本より1人多い、41人がランクインした。新たに7人の大富豪が生まれた。
1位はメッセンジャーアプリ「カカオトーク」を展開するカカオの創設者、金範洙氏だ。巣ごもり需要で大幅に売上高を伸ばし、同氏の資産も3倍以上増えた。
今回のランキングで注目すべきは、仮想通貨・ブロックチェーン関連の大富豪の台頭である。韓国最大の仮想通貨取引所アップビット(Upbit)を運営するドゥナム(Dunamu)の創設者兼会長ソン・チヒョン氏が初の韓国トップ10入りを果たした。
そのほか、共同設立者兼副社長のキム・ヒョンニョン氏、オンラインゲームの「ネクソン(Nexon)」の株を14%保有するユ・ジョンヒョン氏、ゲーム開発のWeMadeエンターテインメントの創設者兼会長、朴光鎬氏など、仮想通貨やブロックチェーン技術への投資に積極的な大富豪がトップ50に新規参入している。
中国は大富豪87人減でも世界2位をキープ
ランキング全体では、前年より87人減の2,668人がランクインした。純資産総額は前年より3.1%減の12兆7,000億ドル(約1,591兆288億円)だった。人数、純資産総額ともに減少したものの、1,000人以上が前年より資産を増やした。また、新たに236人の億万長者が生まれた。
その一方で、ウクライナ侵攻の影響からロシアの大富豪は34人も減った。中国(マカオと香港を含む)では政府によるハイテク企業の取り締まりなどにより87人減少したが、それでも“大富豪数”は607人、純資産総額は2兆3,000億ドル(約288兆1,587億円)で、米国に次ぐ大富豪大国の座を維持した。
文・アレン・琴子(英国在住のフリーライター)