食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

2022年1月の鶏肉需給は、年末年始の需要期にそれなりの盛り上がりを見せ、「成人の日」を含む3連休前後に寒さ本番を迎えたこともあり、鍋物需要が強まった。そのため国産生鮮モモは堅調な相場展開を見せた。

2021年末から国産生産が好調なことを受け、緩んだ相場展開が予想されたものの、生鮮モモに関しては鍋需要に支えられた。一方でムネやササミは一時期ほどの強い引き合いは見られず、相場も前月をピークにジリ下げ展開となった。それでも、輸入品が高値なことに加え、国産の安定供給の面から一定需要に支えられた。輸入品は、月初めこそ卸・外食向けに一定需要が期待されたが、新型コロナ感染拡大に伴い、中旬以降は厳しい状況に転じた。ただし、大手外食チェーンやファミレス、コンビニやテイクアウト専門店など中食向け需要は、コロナ禍で安定した需要が創出され、輸入品の裾野は確実に広がっている。供給面も一時期は不安視されたが、回復を見せている。今後は、現地の感染状況・需要動向、調達コストによっては輸入量が減少する可能性もある。

1月の平均相場は、日経加重平均でモモが649円(前月642円)、ムネが330円(340円)と正肉合計979円、前月比3円安となった。前年同月比ではモモが62円安、ムネが16円高となり、正肉合計では46円安となった。

〈供給見通し〉
日本食鳥協会がまとめているブロイラーの生産・処理動向調査によると、2月の生体処理羽数は前年同期比1.6%増、処理重量も0.2%増とともに伸長を見込んでいる。3月も伸長継続を予測している。2月の地域別の処理羽数・重量は、北海道・東北では羽数が前年同、重量は0.5%減と横ばいから微減を見通している。南九州では羽数が1.6%増、重量は0.3%減と羽数増加も重量は微減見通しとなっている。一方で関東、中部、近畿・中国・四国では、羽数・重量ともに増加を見込んでおり、主要産地では重量微減になるものの、全体では微増としている。

農畜産業振興機構の鶏肉需給予測によれば、2月の国産生産量は13.3万tと前年同月比0.6%増、前月比では0.6万tの減少を見込むが、昨対比では増加基調を維持する。2021年12月~2月の3カ月平均予測でも、2.7%増の14.4万tと14万t台を維持する。輸入品はタイからの輸入量は昨対比で減少するものの、日本国内鶏肉在庫の減少などにより、ブラジル産の輸入量が増加見込みで、2月の輸入量は13.2%増の5.2万tを予測している。2021年10月以降は5万tを超える高水準での輸入が続き、12~2月の3カ月平均では5.3万t(16.4%増)を予測している。今後も国内在庫、供給量・コストとのバランスを勘案した一定水準の輸入量が維持される見込み。

〈需要見通し〉
国産品は引き続き、鍋需要により生鮮モモは量販店需要に支えられる。新型コロナの感染拡大が続く中、内食需要が継続することで、食肉の中で価格優位性の高い鶏肉需要は維持されると予測する。ムネやササミの量販店向け需要は限定的だが、加工向けでは、輸入品相場がジリ下がっているものの、高水準であることや、現地情勢次第では再びの供給不安を危ぐする声もある。加えて、コロナ禍で中食需要が創出されたことで、輸入品を消費する裾野が確実に広がっているため、それなりの荷動き・輸入量が維持されると予測する。一方で、国産凍結品在庫は消化が進んでおらず、課題となっている。

〈価格見通し〉
国産生鮮モモは量販店需要に支えられ横ばい、ムネは量販需要の弱まりから下げ基調と予測する。日経加重平均では月間でモモが650円前後、ムネは325円前後と見込まれる。農水省市況ではモモが655円前後、ムネは335円前後前後と予測する。

<畜産日報2022年2月7日付>