食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

1月の東京市場の月間平均相場は、上物税抜きで468円(税込み505円、前年同月比9円高)となった。豚価の動きをみると、正月休み明けの初セリとなる1月6日には同528円(税込み570円)と高値を付けたものの、その後は年末年始の出費の反動など末端消費が冷え込んだことで相場は下げ傾向となった。

当初はこのまま末端消費が鈍れば400円台前半まで下げることも予想されたが、実際は400円台半ばで下げ止まり、横ばいで推移した。中旬以降は全国の出荷頭数が6万5千頭前後まで減少したことに加え、新型コロナウイルス感染症のオミクロン変異株の感染急拡大を受けた「まん延防止等重点措置」の適用や、輸入チルドポークの供給不安などが相まって、国産豚肉への需要は底堅く推移したものとみられる。

2月も例年でいえば需要は低迷する時期となるが、ことしは前述の通り、輸入チルドが不安定にあるなか、末端では相場が安定している国産豚肉にシフトしてくるものとみられる。また、今月は祝日の関係で稼働日が少ない週が2回あるほか、寒さによる増体悪化など出荷への影響を勘案すると、相場はやや締まった展開が予想される。このため、2月の豚価は下げ要因が少なく、月間平均で上物税抜き470~480円(税込み510~520円)前後で推移するとみられる。

〈供給動向〉
農水省が1月24日に発表した肉豚生産出荷予測によると、2月の出荷頭数は130.9万頭と前年同月比2%減と予測。同月は「建国記念の日」「天皇誕生日」と2日間の祝日があるため、18日稼働で1日当たり平均は7万3,000頭前後と推定される。2022年第1四半期(1~3月)は各月とも前年を下回る出荷が予想されるなか、2月は平年より気温が低い日が多いとされており、寒さによる増体不良など一部の地域では出荷への影響が懸念されており、想定をさらに下回る可能性もある。

農畜産業振興機構の需給予測では、2月のチルド輸入量は同4.0%増の3万2,900tと予測。新型コロナの影響から前年同月の輸入量が少なかった反動で前年を上回るボリュームを見込むものの、2月は現地工場の稼働率低下などで買付数量は限定的にならざるを得ず、引続き入船遅れによって不安定な状況となることが予想される。

〈需要見通し〉
全国的に「まん延防止等重点措置」が適用されるなか、内食需要は堅調で、バラ、カタロース中心に引合いが強い。今後、感染拡大による学校の休校やテレワークの増加などによっては、家庭で調理する場面が増えることから、より安価なスソ物関係の動きが強まる可能性もある。

また、2月は流通各社の決算月となるが、末端では相場高・玉薄な輸入ビーフに加え、不安定な輸入ポークは販促を打ち難いため、国産豚肉で利益を確保しようとする向きも多いようだ。一方で、ロースやヒレの動きは依然として芳しくなく、3月は決算月となる企業も多いため、生鮮で売り切ろうとする動きから投げものが出てくることも予想される。

〈価格見通し〉
2月1日の東京市場の豚枝肉相場は上物税抜き461円(税込み498円)となり、月初ということもあって前市比15円高でスタートした。2月は前年を下回る出荷頭数や輸入チルドの供給不安定さなど、供給面からみると相場の下げ要因は乏しい。

また、需要の低迷期といっても全国的に「まん延防止等重点措置」が講じられるなか、量販店を中心にある程度底堅い需要が見込まれることから、相場は現状より大きく下げることは考え難い。このため、月間平均では上物税抜き470~480円(税込み510~520円)と概ね前月並みの水準を維持するものと予想する。

〈畜産日報2022年2月3日付〉